不動産業界でAIはどう活用できる?活用シーン、事例まとめ

近年、AIの発達は目覚ましく、様々な業態においてAIが取り入れられ始めています。不動産業界においても、AIを利用する会社が大きく増えています。
不動産業界は、多くの物件情報や顧客情報を利用するからこそ、AIのメリットを受けられるといえます。ただ、どのようにAIを不動産の業務に活用すればいいのか、どのようなメリットが得られるのかわからないという人も多いと思います。
そこでここでは、不動産業界のどのような業務でAIを活用できるかや、AIによってどんなメリットが得られるのか、AI導入の成功事例、不動産業界におすすめのサービスなどを紹介します。
不動産業界におけるAIの現況
不動産業界においてはAIの現況はどのような状況なのでしょうか。不動産業界での利用状況と生成AIに求められているものを解説します。
AIの利用状況
不動産業界におけるAIの利用は進んでいるのでしょうか。「生成AIの利用率についての調査」によると、不動産会社とエンドユーザーともに、利用率は25%以下ということがわかっています。まだまだ生成AIは利用されていないのが現状のようです。
「生成AIの活用において、どのような点が課題だと感じていますか?」という質問に対して、「利用したことがない」がもっとも多く、一度も使っていないのでAIの便利さが実感できていないのだと思われます。また、「使いこなせる人材がいない」は19%で2位であり、使うための能力や人材が不足していると伺えます。
ただし、不動産会社への「今後生成AIを業務で使いたいですか?」という質問には68.8%が「利用したい」と回答しており、生成AI利用の需要が高いことが伺えます。
不動産業界でAIに求められるものとは
生成AIはどのような業務に利用したいと考えられていて、どんなものが求められているのでしょうか。
現在、不動産会社に生成AIが利用されている業務としては、「物件紹介や広告文の作成」が36.4%ともっとも多くなっており、次に「顧客対応問い合わせの自動応答」が多く20.4%となっています。これらの業務で今後も利用が進むと考えられます。
そして、すでに生成AIを利用している不動産会社にメリットを尋ねたところ、「時間の節約になる」(29.0%)が最も多く挙げられ、次に「作業効率が上がる」(25.9%)という結果になっています。AIに求めるものは時間短縮や効率化であることがわかります。
不動産業界でAIを使わない場合のリスク
不動産業界ではAIを取り入れる企業が増えてきており、AIを使わない企業にはさまざまなリスクがあります。
顧客満足度の低下
不動産業界でAIを活用しない場合、顧客満足度の低下というリスクを抱えることになります。
AIを活用しない企業では、顧客対応がすべて人手に依存してしまい、対応のスピードや正確性にばらつきが出やすくなります。一方、AIチャットボットや対話AIシステムなどを導入すれば、顧客からの問い合わせに対して24時間自動で応答したり、希望条件に基づく物件提案を即座に行うことが可能です。
このようなAIによる顧客対応の自動化は、対応スピードの向上や情報の正確性を担保し、顧客の利便性と満足度を大きく高める要因となります。
業務効率の低下と人的ミスの増加
不動産業界でAIを活用しないままでいると、業務効率が低下し、人的ミスの発生リスクが高まるおそれがあります。
不動産業務には、物件情報の管理、顧客対応、契約書類の作成など多岐にわたる作業がありますが、これらをすべて人力で対応していると、時間がかかるうえにヒューマンエラーが発生しやすくなります。AIを導入すれば、ルーティンワークの自動化やデータ処理の正確性が向上し、担当者の負担を軽減できます。結果として、業務のスピードアップと品質向上が同時に実現できるのです。
AIを導入していない企業では、物件情報の登録ミスや契約書の入力ミスといったトラブルが頻発しやすく、それが顧客との信頼関係の損失につながることもあります。特に繁忙期には作業が集中するため、人力対応だけでは対応に限界が出やすくなるでしょう。
人材不足への対応が困難に
不動産業界がAIを活用しないままでいると、深刻化する人材不足への対応が困難になります。
現在の不動産業界では少子高齢化や若年層の業界離れにより、人材確保がますます難しくなっています。そうした中で、AIを導入しなければ、一人ひとりの業務負担が大きくなり、長時間労働や業務品質の低下といった悪循環に陥るリスクがあります。AIを活用すれば、物件情報の登録・管理、顧客対応、書類作成などの業務を自動化・効率化でき、人手が少なくても業務を円滑に進めることが可能になります。
人材の確保が困難な今こそ、AIの活用が現場を支える鍵となるでしょう。
市場動向の分析精度が劣る
不動産業界でAIを活用しないままでいると、市場動向の分析精度が劣る可能性があります。
不動産業界における市場分析は、膨大なデータの処理と予測精度が求められます。AIを活用すれば、地価の変動、人口動態、過去の売買履歴、気象データ、SNSのトレンド情報など、複数のビッグデータをリアルタイムで収集・分析でき、より精度の高い意思決定が可能になります。しかし、AIを導入しなければ、これらの情報を人力で処理することになり、時間がかかるうえに情報の精度や網羅性にも限界が出てきます。
情報の正確性と即時性が求められる現代において、AIを使わないことが競争力の低下につながりかねないので注意しましょう。
競合他社とのデジタル格差が拡大する
不動産業界でAIを導入しないと、競合他社との間にデジタル格差が広がってしまう可能性があります。
近年、不動産業界でもAIを活用した業務の自動化や顧客データの分析、オンライン内見などが進んでおり、テクノロジーを積極的に取り入れる企業は、業務効率化や顧客満足度向上に成功しています。こうした企業と比べてAIを導入しない企業は、情報の活用力や対応スピードで後れを取るリスクがあります。
AIを導入しないことで競合他社との間にデジタル格差が広がり、不動産市場での競争力を失うリスクが高まってしまうでしょう。

不動産業界でのAI活用で得られる効果・メリット
不動産業界でAIを活用するメリットとはどのようなものなのでしょうか。
コスト削減
不動産業界においてAIを活用することで、業務の効率化によるコスト削減が期待できます。
不動産業務では、物件情報の管理や顧客対応、契約手続きなどに多くの時間と人手が必要ですが、AIを導入することでこれらの作業を自動化・効率化することができます。これにより、人的リソースの削減や作業時間の短縮が可能となり、結果として固定費や人件費の圧縮につながるのです。
例えば、AIチャットボットを導入すれば、顧客からの問い合わせ対応を自動化でき、担当者の人件費を減らせます。また、物件の価格査定やレコメンド機能をAIで行うことで、営業担当者の業務量を減らすことができるでしょう。
業務効率化
不動産業界では、AIの導入によって業務効率化を実現することができます。不動産の業務には、物件情報の登録・更新、顧客対応、書類作成など多くのルーティン作業が存在します。AIを活用することでこれらの作業を自動化し、作業時間の短縮と人的リソースの最適化を図ることができます。これにより、スタッフはより付加価値の高い業務に集中できるようになるでしょう。
例えば、物件データの自動入力や写真の自動分類、問い合わせへのチャットボット対応などをAIが担うことで、これまで手動で行っていた作業の多くが自動化できます。加えて、AIによるデータ分析を用いれば、見込み顧客の行動傾向を可視化することで営業活動の精度も高まるでしょう。
不動産業界におけるAIの導入は、日常業務の効率化を推進し、全体の業務品質と生産性を向上させる手段となるのです。
データ活用
不動産業界においては、AIを活用することでデータを効果的に活用できるようになります。
不動産業界では、物件情報、顧客データ、市場動向、地域別の成約履歴など膨大なデータが日々蓄積されます。AIを活用すれば、これらのデータを自動的に分析し、販売戦略やマーケティング施策、価格設定などの意思決定に活かすことが可能になるでしょう。
また、AIを使って顧客の検索履歴や問い合わせ内容を分析することで、パーソナライズされた物件提案が可能となり成約率の向上につなげることができます。AIを活用することで大量のデータを価値ある情報に変換し、戦略的な意思決定を支援することができるのです。
サービス向上
不動産業界においては、AIを活用することで顧客対応やサービスの質を向上させることが可能です。
不動産取引では、物件案内、問い合わせ対応、契約手続きなど、顧客との接点が多く、きめ細かな対応が求められます。AIを活用することで、チャットボットによる24時間対応や、顧客データに基づいた提案の自動化など、より迅速かつ的確なサービス提供が実現可能です。これにより、顧客満足度の向上とリピート率の改善につなげることができるでしょう。
例えば、AIチャットボットを導入すれば、営業時間外でも問い合わせに対応できるため、顧客の機会損失を防げます。AIの導入により、不動産業界では顧客対応の質を高め、サービスの向上を実現することができます。
物件検索やレコメンドの精度向上
不動産業界においては、AIを活用することで物件検索やレコメンドの精度を大幅に高めることが可能です。
AIは膨大な物件データとユーザーの行動履歴を学習し、ユーザーごとのニーズに最適化された検索結果やレコメンドを提供できます。従来の検索機能では、エリアや価格帯などの静的な条件による絞り込みが主でしたが、AIは好みの間取りや閲覧履歴、成約傾向なども加味して、より個別性の高い提案ができるようになります。
AIを活用することで物件検索やレコメンドの精度を高め、ユーザー満足度と成約率の向上を図ることができるでしょう。
不動産業界でAIを活用できる業務とは
不動産業界における幅広い業務において、AIを活用することができます。賃貸や売買、開発など様々なカテゴリがありますが、それらのカテゴリにこだわらず活用できるでしょう。
接客
顧客への接客をAIに行ってもらうことができます。不動産業界においては、問い合わせに対するヒアリング、物件やお部屋の紹介、営業など、様々な接客が必要になりますが、そういった接客をAIが代行するのです。
ChatGPTに代表されるように、AIはユーザーからの質問に対して自然な文章で回答をすることができます。あらかじめ情報を学習させることで、顧客の求める情報を人間が対応するようにAIが提示することができるのです。
多店舗での接客を1つのシステムで対応することもでき、接客のためのスタッフを減らすことで人件費削減を行うことができます。初期のヒアリングのみAIが行い、それ以降の接客や営業は人間のスタッフが対応するという利用方法もでき、より効率を高めながら成約率を高めることができるでしょう。
また、顧客からの情報を蓄積することで顧客のニーズを分析することができますし、CRMやMAツールと連携することで、顧客対応を最適化することもできます。不動産業界においては特定の人員にスキルや知識が集中することがありますが、ナレッジを共有するのにも役立つでしょう。
AIを利用した接客については以下で詳しく解説しています。
▶『AIは接客にも活用できる?メリットや活用シーン、導入事例を紹介』
査定
AIは不動産の査定にも利用できます。不動産を売却するときや賃料を決定・見直すときには、査定を行わなくてはなりませんが、この査定でもAIを活用することができるのです。
これまでは、営業担当者などが調査をし査定を行っていましたが、どうしても経験や勘など属人性があり、金額にばらつきが生まれていたはずです。AIであれば、物件自体のデータや周辺の事情、相場などから金額を決定するので、より適正な金額の査定を行うことができます。
また、AIを利用すれば、査定の提案書やレポートなどを自動で作ってくれます。査定に関する工数を大きく減らすことができるでしょう。
画像登録
AIは、画像の分類や登録、編集などにも利用できます。
賃貸、売買どちらにおいても、不動産の物件はWeb上に掲載して顧客にリーチすることも多いでしょう。この画像の分類やCMSへの登録を人が行うと、1つひとつの画像を確認しながら作業を行わなければならず、多くの手間がかかってしまいます。AIを利用すれば、複数の画像をまとめてカテゴリごとに分類し、Webシステムに自動で登録することができます。
このようにAIを利用することで、日常的に多くの時間がかかっていた画像登録作業の工数を大きく減らすことができるのです。
間取り作成
AIは間取り作成も行うことができます。不動産業では、見込み客に対してわかりやすい間取り図を作らなくてはなりません。
これまでは人間が住宅の設計図をもとに間取り図を作る必要がありましたが、AIを利用すれば画像をAIが読み取り、わかりやすい間取り図をすぐに作ってくれます。
2Dの図から3Dの間取り図を作ってくれるようなものもあり、より訴求力の高い間取り図を、手間を抑えながら作ることができるでしょう。
シミュレーション
AIを利用すれば、入居を検討している不動産物件に家具を置いた場合などのシミュレーションをすることができます。
AIが間取り図や家具のサイズを読み取り、リアルなシミュレーションを作るとともに、バランスのよい家具やカラーのインテリアを提案してくれます。
実際に住宅を購入する場合や不動産に入居する場合に、どんなインテリアになるかを知ることができますし、より良いインテリアを見せることで、成約率を高めるとともに顧客満足度を高めることができるでしょう。
また、VRと連携することで、自身がその物件で暮らした場合のシミュレーションをよりリアルに行うことができます。
空室対策
AIは賃貸管理における空室対策にも活用できます。
賃貸管理を行っている不動産会社が、オーナーに対して空室対策の提案をするときには、人がレポートや提案書を作成することになりますが、属人的になることが多いですし、少ないデータをもとに分析をするので正確性に欠ける可能性があります。
AIの場合はビッグデータを学習することで、周辺の類似物件や環境が似ている物件、ターゲット、設備など幅広いデータをもとに分析を行ってくれます。提案の正確性が高まりますし、人では気づかないような提案ができる可能性があります。
物件紹介や広告文の作成
不動産業界においては、AIは物件紹介や広告文の作成に用いることができます。
物件紹介や広告文の作成には、物件の特徴を的確に表現し、ターゲットユーザーのニーズにマッチした内容をスピーディーに作成する必要があります。人が対応する場合、物件ごとにイチから紹介文を考える必要があり、時間と労力がかかるうえ、表現にばらつきが出ることがあります。AIを活用すれば、物件情報を入力するだけで自動的に整った文章を生成することができます。
AIを活用することで、物件紹介や広告文の作成業務を効率化しながら質を高めることができるのです。
マッチング
不動産業界においては、AIを活用することで顧客と物件のマッチング精度を高めることが可能です。
不動産のマッチング業務では、顧客の希望条件やライフスタイル、予算に合った物件を選定する必要があります。従来は営業担当者の経験や勘に頼る場面が多く、効率面や精度面に課題がありました。しかしAIを導入することで、顧客の希望条件をデータとして正確に把握し、膨大な物件情報の中から最適な選択肢を瞬時に提示できるようになります。
AIであれば、物件データから参照するだけでなく、過去の類似案件の成約データや閲覧履歴、行動パターンなども加味して、最も成約率が高いと推測される物件を提案することができるでしょう。AIによって顧客と物件のマッチング精度が向上し、不動産業務の効率化と顧客満足度の向上が期待できます。
地盤調査
不動産業界においては、AIを活用することで地盤調査の精度と効率を向上させることができます。
地盤調査は、建物の安全性や価値を左右する重要な工程です。従来は専門家が現地に赴き、地質データをもとに分析を行っていましたが、多くの時間とコストがかかるのが課題でした。AIを導入すれば、過去の地盤データや地形、地質情報をもとに解析を行い、危険性のある土地を事前に特定したり、適切な調査方法を導き出すことも可能になります。
AIは国土地理院や自治体が保有するオープンデータを活用することで、地震や液状化のリスクが高いエリアを自動的にマッピングすることも可能です。これにより、不動産業者は初期の段階でリスク判断ができ、地盤改良のコストを見積もる際にも活用できるでしょう。

不動産でAIを活用した事例9選
不動産業において、すでにAIを活用している会社も多いので、ここではその事例を紹介します。
1.AIアバターを物件説明に活用
東急リバブルでは、新築マンション販売における物件説明を営業担当者に代わってAIが行うというシステムを導入しています。マンション販売で培った知見を組み合わせて、交通や周辺環境、仕様など不動産情報の説明を対話をしながら行ってます。初期のヒアリングや説明をAIが行い、そのあとは人間の営業担当者が行います。
週末や夜間、定休日など、営業担当者の対応が難しい場合にもAIが対応できるので、機会損失を防ぐことができています。また、AIがヒアリングなどを行うことで、営業担当者がより効率的にお客様の求める物件を提案できています。
2.画像分類、登録作業をAIで自動化
大東建託は、ディープラーニングを活用した賃貸不動産の画像分類システムを採用しています。
大東建託グループが管理する100万戸を超える賃貸物件をWeb上にアップする際には、スタッフが目視で画像を1枚ずつ分類していました。しかし、AIによって物件ごとの画像をまとめて分類、物件サイトへの掲載ができるようになり、約3,000時間の作業時間削減が期待できるとのことです。
3.AIが査定書作成の作業を代行
関西不動産販売株式会社ではAI不動産査定システムを導入。豊富なデータをもとに中立的な価格査定が可能になり、その結果を提案書にまとめてくれます。
これまでは、査定書作成に1件あたり1~2時間ほどかかっており従業員の負担になっていましたが、AIシステム導入により作業時間が10分ほどに短縮されました。簡単に査定書を作成することができることで、従業員の負担を減らすとともに、お客様を待たせることもなくなったそうです。
4.AIが空室対策を提案
株式会社日立不動産では、賃貸物件オーナーへの提案力アップのために空室対策AIシステムを導入。
これまでは営業担当者が周辺事例を調べながら賃料査定や設備導入提案を行っていましたが、AIを用いることでビッグデータに基づいた空室対策を提案できるようになりました。資料化も行ってくれるので、口頭だけで説明するよりも説得力を増すことができたとのことです。
AIによる空室対策によって入居率の向上に繋がっていますし、若手担当者の営業においても有効な手段となっているようです。
5.物件画像のキャプションを自動生成
アットホーム株式会社は、不動産情報プラットフォーム「ATBB」において、AIを活用した「かんたん画像登録」機能の提供を開始しました。
この機能では、物件画像の種別(外観、キッチン、浴室など)をAIが自動で識別し、画像の内容や特徴に基づいて魅力的なキャプションを自動生成します。これにより、物件登録の手間を軽減しながら、利用者に物件の魅力をより的確に伝えることが可能になります。
AIは画像種別の判定、特徴の抽出、間取図の解析に活用されており、キッチンの形状や設備の有無、動線の把握などから、特徴タグを自動生成します。この技術によって、不動産会社の業務効率化と、顧客への情報提供の質の向上が期待されています。
6.営業のロープレをAIが実施
株式会社クラスコは、2025年4月よりAIを活用した賃貸営業ロールプレイング(ロープレ)研修を社内で開始しました。この取り組みは、深刻化する人材不足や教育リソースの課題に対応し、営業スタッフの育成を効率化することを目的としています。
研修では、AIが顧客役を演じ、実際の店舗に近い接客シーンを再現。信頼関係の構築やニーズのヒアリング、提案、クロージングまでの一連の流れを実践します。AIは、スタッフの対応を評価し、良かった点や改善点をフィードバックとして提供します。
スタッフの自主練習や教育スタッフの負担軽減、接客品質の向上に寄与しています。今後は、クレーム対応トレーニングなど、さまざまな分野への展開も予定されています。
7.物件情報の入力時間を短縮
GA technologiesは、投資用不動産の調達業務における「物件情報の手入力」という課題をAIで解決しました。
2017年当時、調達部門では月3000件以上の売却物件情報を数人で処理し、PDFで届く販売図面から手作業でデータを入力していました。入力項目が多く、契約書作成にも使用するため正確性が求められ、1枚あたり約5分かかっていました。
そこで、AIの画像解析と文字情報抽出技術を導入し、販売図面から必要情報を自動で抽出・入力できる仕組みを構築。これにより、月250時間の作業時間を削減しました。2025年2月時点では、処理件数が月9600件に増加しても柔軟に対応できる体制となり、業務の効率化と成長を支えています。
8.AIが高い精度でスピード査定
東急リバブルは、AIを活用した不動産価格査定システムをRist社と共同開発し、特許を取得しました。
このシステムは、1,000件超の査定データをAIに学習させ、一般的な査定ルールと担当者の経験則を融合するものです。その結果、マンションで誤差率1.98%、土地・戸建てで3.88%と高精度な査定を実現しています。既に320組超の顧客が利用し、業務標準化や時間短縮にも貢献しているそうです。今後は外部提供も検討されています。
9.AIが不適切な画像を検出・処理
アットホーム株式会社は、2018年よりアットホームに掲載される物件画像に対し、AIを活用した不適切画像の自動検出および加工処理システムの運用を開始しました。
このシステムは、AIに約10万枚のオープンデータと物件画像を学習させることで、人の顔や車両のナンバープレートといったプライバシー侵害の恐れがある要素を高精度で検出し、モザイクやぼかし処理を自動で施します。
全国のアットホーム加盟・利用不動産店(約54,000店)において、月間約2,000万枚に及ぶ画像を対象に、AIシステムが自動的にチェックと加工を行っています。従来人手で行っていた確認作業の負担を大幅に軽減し、業務効率化と働き方改革にも寄与しています。
AIの活用事例は以下でも解説しているので参考にしてください。
『企業における生成AIの活用事例紹介!現在の活用状況も解説』
不動産業界におすすめのAIサービス
不動産業界においては幅広い業務でAIが利用されており、様々なサービスが開発されています。ここでは、不動産業界において特におすすめのサービスを紹介します。
接客オンデマンドAI【接客・シミュレーション】
接客オンデマンドAIは、対話型のAIアバターシステムです。GPT連携によるLLMを採用しており、自社の情報や不動産の情報を大量に学習させることができ、不動産に関するお客様からのあらゆる問い合わせに自然な日本語で回答することができます。
リアルなAIアバターが対応するので、違和感を感じさせずに接客をすることが可能。提案なども可能なので営業を行うこともできます。複数の店舗での接客を1つのシステムで対応することができるので、多店舗展開している企業にもおすすめです。
また、接客オンデマンドAIは、あらゆる接客に関する課題を解決するDXサービスであり、ARやVRを用いたシミュレーションシステムなども提供しています。住宅をVRやARで紹介することも可能です。
スピードAI査定【査定】
引用:スピードAI査定(https://www.livable.co.jp/ai-satei/)
スピードAI査定は、東急リバブルが提供する不動産査定システムです。マンション、戸建て、土地などの所有不動産の情報を登録するだけで、AIが査定を行ってくれます。
MYページでは、周辺の相場や売出事例などの最新の情報を確認できますし、最新の査定価格をメールで送ってもらうことができます。登録者数も1万人を超えているそうです(2024年3月)。
Grung Plan【間取り作成】
引用:Grung Plan(https://grung.co.jp/plan/)
Grung Planは、株式会社グラングが提供する、AI間取り図作成サービスです。
間取り図を読み込むだけで、AIが画像を解析してオリジナル間取り図を作成してくれます。スタッフの経験によらず、スピーディに間取り図を作れるので、工数を大幅に短縮することが可能です。
豊富なパーツがあるのでカスタマイズ性も高く、デザイン性の高い間取り図を作ることができます。
参謀くん【空室対策】
引用:参謀くん(https://www.sambo-kun.com/)
参謀くんは空室対策提案AIシステムです。AIがビッグデータを用いて最適な賃料査定を行ってくれるとともに、空室対策の提案をまとめてくれます。AIが物件の情報を分析し、市場、競合と比較をすることで、効果的な提案を作成。
膨大なデータをもとにしているので、説得力のある空室対策提案が可能になりますし、新規オーナーの獲得にもつながります。

まとめ
不動産業においてAIを活用することで、多くのメリットが得られます。ぜひ自社の業務を見直し、利用できるものがないか検討してみてください。
接客オンデマンドAIは、AIが顧客からの質問に対話をしながら自然な日本語で回答します。企業や物件の独自の情報を大量に学習させることができ、あらゆる質問に対応することができます。24時間365日対応することが可能ですし、機会を逃さず営業担当者へ引き継ぐことができます。
オンライン接客システムやAR・VRなども取り扱っており、それらを連携することで、よりコストを抑えながら顧客満足度を高めるサービスを提供できるはずです。ぜひご相談ください。