保険業界でのAI活用とは?メリット、事例、支援会社を紹介

AIの普及により、あらゆる業界でAIの活用が進んでいます。保険業界でも、AIによって業務の効率化や新商品の開発、マーケティング施策の改善など、様々な用途で活用されています。
そこでこの記事では、保険業界でどのようにAIを活用できるのかを事例などを交えながら解説します。保険業界でAI活用を支援してくれる会社も紹介しているので参考にしてください。
保険業界でのAI活用のメリット
保険業界でのAI活用にはどのようなメリットがあるのでしょうか?どのような利用法ができるのか、どんなメリットがあるのかを解説します。
顧客問い合わせ対応の効率化
AIを利用することで顧客対応を効率化できます。
顧客からの電話問い合わせをAIが代行することができますし、Web上での問い合わせに対してもAIチャットボットを利用することで問い合わせ業務を自動化できます。
それによって、顧客対応のための人員にかかる人件費を抑えることができます。さらに、AIを利用すれば顧客とのやり取りの議事録を保存するだけでなく、分析することができます。顧客の問い合わせにきちんと回答ができているか、感情分析なども活用することで適切な顧客対応ができているかを分析することができます。
顧客対応を効率化するとともに、対応を改善していくことができるでしょう。
新商品の開発
AIは保険の新商品の開発に役立てられます。保険の新商品開発には様々な課題がありますが、それをAIが解消してくれるのです。
AIを利用すれば、ビッグデータの分析をより効率化することができ、ニーズにあった商品を作り出すことができます。また、AIは柔軟な計算が可能であり、加入者のリスク分析や契約期間などを即時的に設定することができます。そういった新しい顧客体験を提供する商品を生み出せるのです。
さらに、保険の新商品の開発には長い期間を要しますが、それをAIによって短縮できます。生命保険に関するアンケートデータによると、アイデア創出から発売開始までには、平均6~12カ月かかるとされています。AIを活用すれば、新しいアイデアを短期間で生み出すことができますし、AIを利用することでシステム開発期間も短縮できるでしょう。
バックエンド業務の効率化
AIを利用すれば、バックエンド業務を効率化することができます。
加入希望者の危険度や金額などを考慮してその契約を引き受けるかどうかを判断する業務である引受業務は、人間が行うと多くの手間が必要ですが、これをAIが行うことで工数を大きく減らすことができます。また、AIによって保険金の支払いを行うときの保険金査定も行うことができます。
このように、AIを利用すれば人間が行っていたバックエンド業務を自動化することができ、コストを大きく減らすことができますし、正確な保険金支払いを提供することができます。
解約率の低下
AIを利用することで、解約率を下げるというメリットも得られます。
AIは機械学習によって、大きなデータの分析が可能です。AIによって、どのような顧客が契約継続をし、どのような顧客が解約をする傾向にあるのかを導き出すことができるのです。解約しそうなユーザーに対してアプローチすることで解約率を下げることができます。
また、AIを利用すれば顧客に対して、より良い提案を行うことが自動でできますし、人間では気づかない細かな提案も可能です。顧客満足度を高めることでより解約率を下げることができるでしょう。
保険業界でのAIの活用事例
保険業界においてAIには多くのメリットがあることを説明しましたが、実際に保険業界でAIがどのように活用されているかを紹介します。
顧客対応の効率化
東京海上日動火災保険
東京海上日動火災保険では、保険手続き照会にチャットGPTを用いています。顧客に対しての保険の補償内容や手続きの対応の回答案をAIが自動で生成してくれ、スタッフはそれをもとに説明を行うことで、顧客対応を効率化できます。
また、事故対応における顧客応対業務に生成AIを用いる検証を行っており、今後実用化を検討しています。AIを用いることで、応対文面の作成業務では約50%の省力化に成功したとのことです。
参照:https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230419-OYT1T50160/
https://it.impress.co.jp/articles/-/25537
新商品の開発
Warrantee
東京海上日動火災保険は、ITベンチャー企業のWarranteeとともに、オンデマンド損保の「Warrantee Now」という新サービスを開始しました。
これはデジカメやテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど所持している家電に1日単位で保険をかけることができるサービスです。申し込みに関する書類の記入や捺印は不要で、オンラインで即時完結することができます。スマホのカメラで保証書を撮影すると、その画像から文字データに変換し、製品名や型番、購入時期などを自動で管理しており、面倒な手間もありません。
参照:https://xtech.nikkei.com/it/atcl/ncd/17/071000034/
バックエンド業務の効率化
メットライフ生命保険
メットライフ生命保険では、保険金・給付金の査定業務に関して、保険金の不正請求検知に特化したAIシステム「Force」を導入。
様々な疾患やけがなどの治療理由から判別し、不正請求をより正確に見つけ出すことができるようになりました。
これまでは、人間がひとつずつ時間をかけてチェックをしていましたが、AIシステムによってこのバックエンドの業務の効率を大幅に上げることができたとのことです。
参照:https://dcross.impress.co.jp/docs/usecase/001599.html
売上の向上
三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険では、約3万8000の保険代理店の営業活動をAIで支援する「MS1 Brain」を開発。
データサイエンティストの数が限られ、外部のデータ分析人材に頼っていた状態から、AIを活用することで自社でデータ分析を行うことが可能になりました。過去7年間の契約情報や顧客情報などをAIが分析し、どの顧客にどのタイミングでどんな商品を提案すべきかを営業担当者に提案する仕組みを作りました。
保険料がいくら以上の人は更改時にドラレコ特約を付帯しやすい、などの特徴を数値化。それをトークスクリプトとして整備したことで、クロスセルやアップセルの効果は2~3倍になっているとのことです。
参照:https://wisdom.nec.com/ja/feature/ai/2023072701/index.html
AIの活用事例は以下でも解説しているので参考にしてください。
『企業における生成AIの活用事例紹介!現在の活用状況も解説』

保険業界でのAI活用を支援してくれる会社
保険業界でAI活用を行うためには、外部の会社に依頼する必要がありますが、ここでは目的ごとの専門会社を紹介します。
ビーモーション【顧客対応】
ビーモーションは接客に関するDXサービスを提供している会社です。音声会話やチャットができるAIを用いて、顧客対応を代行するシステム「接客オンデマンドAI」を提供しています。
GPT連携により商品知識や専門用語を独自に学習が可能。大規模言語モデルによって難解な日本語を解釈できますし、文脈の理解ができます。自然な日本語での対話が可能です。
AIシステムは導入後にもAIへの再学習やデータ分析が必要になりますが、ビーモーションは万全の運用体制を築いており、自社に詳しい人材がいなくてもAIの運用・分析を代行します。
保険業界においては、電話受付や顧客問い合わせのチャット対応などを自動化できます。
ダブルスタンダード【保険金査定】
引用:ダブルスタンダード(https://double-std.com/)
企業向けビッグデータの生成・提供を行っている株式会社ダブルスタンダードは、保険金支払査定業務におけるAI保険金査定システムを制作しています。
これまでに培ったAI OCRやデータベース、ビッグデータ処理に関する技術を用いて、保険金の請求において、スマートフォンで撮影した画像データを読み取り、約款に基づいて保険金の支払い基準に該当するか否かを自動で判定するシステムを開発しています。
dotData【解約率削減】
引用:dotData(https://jp.dotdata.com/)
AIによる特徴量自動設計を行っているdotDataでは、AIを用いて保険の顧客の特徴量探索とモデル構築の自動化を行っています。
人間では気づかないインサイトをAIが導き出し、どの顧客が契約継続をし、どの顧客が解約する傾向があるのかなどを予測します。保険の解約率を下げることに役立てられるでしょう。
まとめ
保険業界におけるAI活用について解説してきました。保険業界では、AIを活用することで様々なメリットを得られます。自社の課題に応じてAIを活用しましょう。
保険の顧客対応におけるコストを抑えたいという場合には、顧客対応AIがおすすめです。AIを利用することで、保険の相談や質問などの顧客対応を自動化することができます。また、AIによる保険金査定システムと組み合わせることで、保険金査定も自動化することができるでしょう。
接客オンデマンドAIは、自然な日本語で対話ができ、自社の情報を学習させることができるので、あらゆる質問に答えることができます。運用も代行してもらえるので、自社のリソースを抑えながらAIを活用できます。