アパレル業界でAIはどのように活用できる?メリットや事例も紹介

AIの発達により、ビジネス環境が大きく変化しています。アパレル業界においてもAIの活用は始まっており、アパレルにおける様々な業務がAIによって改善されるとともに、AIによって顧客もこれまでにない新しいサービスを受けられるようになっています。
この記事では、アパレル業界においてどのようにAIを活用できるか、AIを活用することによってどのようなメリットが得られるか、AIが活用された事例などを紹介します。
アパレル業界でのAI活用アイデア
AIは様々な形で利用することができます。まずはアパレル業界でのAI活用のアイデアを紹介します。
AIチャットボット
AIチャットボットとは、質問に対しAIが回答してくれるものです。AIに情報を学習させることで、あらゆる質問に答えることができるようになります。AIはやり取りのなかで学習をしていき、よりニーズに合った回答ができるように成長します。
アパレルにおいては、Webやリアルの店舗において、好みや理想を伝えることで商品を紹介したり、自分に合うコーディネートを提案したりといった活用方法が考えられます。AIチャットボットによって、人による接客の負担を減らすことができるでしょう。複数の外国語対応も可能なので、外国語を話せるスタッフを雇うためのコストを抑えることもできます。
AIによるカスタマーサービス
カスタマーサービスでもAIは利用することができます。
店舗の問い合わせ窓口にAIを用いることで、人を配置せずにお客様に対して案内ができます。店舗独自の情報を学習させることもできるので、フロアの紹介や製品の紹介など細かな接客を行うことができます。
また、電話でのカスタマーサービスにAIを利用することで、お客様からの電話での問い合わせに対応することができます。カスタマーサービスに人を配置する必要がなくなり、人件費や教育費を抑えることができます。
AIによる接客については以下の記事で詳しく解説しています。
▶『AIは接客にも活用できる?メリットや活用シーン、導入事例を紹介』
需要予測
AIには優れたデータ分析機能があるので、アパレルの需要予測、販売予測を立てることができます。
AIを利用して需要予測を行うことで、各店舗ごとにどれくらいの販売が見込めるか、そのためにどの商品をどれだけ生産する必要があるかの見込みを立てることができるのです。大量の在庫が残った場合には割引販売しなくてはなりませんが、在庫を最適化することで収益率を高めることができます。
また、SNSのデータからトレンド予測なども行うことができるので、より販売が見込める商品の開発ができますし、顧客に対して流行を踏まえた提案が可能です。
AIによる採寸
AIは写真から採寸をすることも可能なので、自宅にいながら採寸が行えます。店舗まで来てもらうという手間を省けますし、採寸のためのスタッフの時間を削減することができます。
手軽に採寸ができることで、自分の体型にフィットする最適な服の提案ができますし、サイズ違いを防ぐことができ、より顧客満足度を高めることにも繋がります。
AIを用いれば、採寸データから着用した際のイメージを作成することも可能です。服がより自身に合うかどうかを確認することができます。
AIが提案
AIにあらゆる服やコーディネートの情報を学習させることで、希望の服やコーディネートを提案することができます。人の場合、各人によって提案内容が属人化しますが、AIの場合にはそういった情報のばらつきはなく、同じ品質の提案を常に行うことができます。
また、顧客がこれまでに購入した商品や閲覧した商品などのデータをもとに提案することもでき、顧客それぞれに対する個別の提案をすることができます。
AIモデルの利用
AIは、実際の人間のアバターを作成させることも可能です。リアルな人間と3Dキャラクターを作成し、モデルとすることができるのです。
人間のモデルを利用しての着用写真の撮影には大きなコストがかかりますが、AIで作成したキャラクターを利用することで、その手間やコストを抑えることができます。
AIによるモデルは、性別や体型、髪型などを自由に作成することができるので、ブランドのコンセプトに合ったモデルを起用することができます。
アパレル業界でのAI活用のメリット
アパレル業界でAIを活用することで、様々なメリットが得られます。ここでは、代表的なメリットを3つ紹介します。
購買促進
AIを利用することで、顧客の購買を促進することができます。
AIによってトレンドを分析できれば、より購買につながる製品を生み出すことができるでしょう。さらに、AIによって顧客に最適な提案ができれば、より顧客のニーズに合った製品を知ってもらい、購買してもらえるでしょう。AIチャットボットやAIアバターによる接客サービスには話題性もあり、より店舗への集客力を高めることができるでしょう。
また、採寸などのサービスを取り入れれば、オーダーメイドの店舗においても、簡単に採寸ができることで遠方の顧客の購買を増やすことができるでしょう。
人件費削減
AIを活用すれば人件費を大きく減らすことが可能です。
アパレル業界においては、製品の企画からデザイン、製造、販売、在庫管理、プロモーションにいたるまで、多くの人が関わることになります。こういった業務のなかにはAIが代行できたり、AIによって効率化できたりするものも多くあります。
例えば、AIによって需要予測を行えば企画や在庫管理のための人員を減らすことができるでしょう。また、販売においてもAIによる接客サービスやAIによる提案を取り入れることで、店舗における販売スタッフを減らすことができるでしょう。
このように、AIを用いることで、人件費を大きく減らすことができるのです。
在庫最適化
AIによる在庫最適化もメリットです。アパレル業界において、在庫というのは大きな負担といえるでしょう。需要よりも多くの製品を作ってしまうと、大量の在庫を抱えてしまうことになります。そのまま在庫が売れない場合には、割引をして売るしかなくなりますし、割引をしても売れないような場合には廃棄するしかありません。こういった事態に陥ると、利益率が大きく下がってしまいます。
AIを活用して需要予測を行えば、どの地域のどの店舗で、ある製品がどれくらい売れるなどといった予測を立てることができます。それによって、過剰に作りすぎることなく、適正な価格で販売をすることができ、利益を大きく高めることができるのです。

アパレル業界でAIが活用された事例
アパレル業界ではAIの活用が進んでいます。ここでは、2024年2月の時点での活用事例をいくつか紹介します。AIの活用アイデアごとに紹介します。
インフルエンサーの個性を引き継ぐAIチャット
引用:PRTIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000796.000011430.html)
アパレルブランドのCIAOPANICなどを運営する株式会社パルは、インフルエンサースタッフをもとにしたAIが顧客に対してチャットで接客、コミュニケーションをする「ファッションメイト」を提供しています。
インフルエンサースタッフのInstagramに投稿されたデータから、価値観や好み、得意なコーディネート、好きなアイテムなどを分析・学習。まるでインフルエンサーと会話をしているような体験を顧客に提供します。
AIチャットボットを利用することで、人に近い接客やコミュニケーションを実現できます。
AIが24時間問い合わせ対応
引用:PRTIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000024429.html)
アパレルの店舗やECサイトにおいては、商品情報の確認や注文の変更、キャンセル、営業日の確認など、電話対応や問い合わせ対応にスタッフの時間が奪われてしまいます。
ナノ・ユニバース株式会社は、ECサイトにAIを活用したチャットボットを採用。オペレータが対応できない時間でも顧客対応が行え、購買意欲を逃さないことで売上を20%以上向上させました。
AIであれば24時間365日対応が可能なので、スタッフが対応できない深夜帯などもAIが回答することができます。電話対応ができるAIなどもあり、顧客からの問い合わせに答えるだけでなく提案も行うことができるので、より購買意欲を高めることができるでしょう。
AIによる需要予測で在庫を8割まで圧縮
引用:WWDJAPAN(https://www.wwdjapan.com/articles/786161)
アース ミュージック&エコロジーを運営するストライプインターナショナルグループでは、AIを用いた需要予測、在庫最適化を行っています。
AIを用いて大幅な在庫圧縮を行うことで、セール販売を抑制でき、「値引き率が14ポイント改善して54%になり、タイムセール時間も4割減った」とのことです。粗利益も前期の2倍以上となっています。
商品配分に関してもAIによって8つに細分化し、最適な数を生産、配置。在庫を圧縮することで、物流コストも抑えられ、検品などの店頭作業量も減らすことができたとのことです。
AIで採寸を自動化
引用:日経ビジネス電子版(https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00109/00053/)
三越伊勢丹では、スマートフォンのカメラで撮影したデータをもとにAIが採寸を行い、紳士服の注文までできるサービス「Hi TAILOR(ハイ・テーラー)」を提供しています。
写真を2枚撮影するだけで、AIが胸囲や裾丈、ゆき丈などを自動で計算してくれます。これは伊勢丹が蓄積した約20万件のデータやスタイリストの意見をAIに学習させることで実現しています。仕上がりと体のサイズの誤差は5%から1%に縮まったとのことです。
AIによって、人が採寸したり高額な3Dスキャナーを利用したりしなくても、正確な採寸が可能になっています。
AIが自分に似合うコーデを提案
引用:niaulab by ZOZO(https://niaulab.com/)
ファッションECサイトのZOZOTOWNでは、AIとプロのスタイリストの知見を用いて、似合うコーディネートを提案するサービスを行っています。実店舗を貸し切り、アンケートなどをもとにAIとスタイリストがコーディネートを3つ提案してくれます。
ZOZOTOWNが蓄積してきた1300万件のコーディネートデータをもとにして、AI「niaulab AI」を開発。あらゆるブランドをミックスして、似合うコーディネートを教えてもらえます。そのコーディネートを試着して撮影などもしてもらえます。
大量のデータ分析、画像解析が可能なAIだからこそ実現できるサービスです。
キッズAIモデルを起用
引用:PRTIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000330.000006294.html)
カジュアルウェアを販売する株式会社ライトオンでは、オンラインショップの子ども服の画像にキッズAIモデルを起用しています。AIで生成されたブランド専属の男の子と女の子をモデルとしています。
今後は大人用でもAIモデルを採用する予定で、それによって従来と比べて6~7倍の着用写真を掲載できるようになるとのことです。
人間のモデルを利用した場合には、採寸や着用、撮影の手間がありますが、AIを利用することでそういったコストを大幅に削減できます。
AIがアパレル業務をサポート
引用:Maison AI(https://maisonai.io/)
株式会社OpenFashionは、ファッション業界向けAIサービスの「Maison AI」を開発しました。
ECサイトや広告で使えるキャッチコピーの作成、ECサイトの商品タイトルや説明文、画像の作成をAIが行ってくれます。さらに、「ファッションデザイナー」や「パタンナー」などの職種ごとに専門的な質問に答えてくれる業務アシスタント的な機能も用意。
中期的には現在の業務の大半を自動化するツールを目指しています。
AIの活用事例は以下でも解説しているので参考にしてください。
『企業における生成AIの活用事例紹介!現在の活用状況も解説』
まとめ
アパレル業界におけるAIの活用方法や活用のメリット、事例などを紹介してきました。AIを導入・活用することで、アパレル業界において人件費削減や在庫最適化、顧客購買率の増加など、多くのメリットが得られます。ぜひAIの導入を検討してみてください。
接客オンデマンドAIでは、対話型のAIやAIチャットボットを用いて、アパレル店舗やECサイトでの接客や提案を最適化します。AIアバターがお客様のお問い合わせを理解し、会話をしながら回答します。特定の企業のデータを学習させることができるので、自社のことや商品に関しての幅広い質問に答えることができます。
また、AIはカスタマーサービスの対応なども代行することができ、人件費削減や教育費削減、顧客満足度向上などを実現できます。
ほかにも、オンライン上でショップを再現するバーチャルショップやモニターに表示するアバターの制作なども行っています。お気軽にお声がけください。