AIの導入費用はどれくらいかかる?活用分野ごとの相場を紹介!
AIの発達によって、あらゆる分野でAIの導入が進んでいます。企業内でAIの検討が進んでいる会社も多いと思います。
ただ、AIを導入する際には、どれくらい費用がかかるかがわからなくては予算を準備することもできないでしょう。
そこで、この記事ではAIを導入するときにどのような項目の費用がかかるのか、どれくらいの費用がかかるのかという相場を解説します。また、AIは様々な用途でソリューションが開発されていますので、各分野での導入費用も紹介します。
AI導入の流れ
AIを導入する際には、2つの方法が考えられます。それは、自社に合わせてAIシステムを開発するか、すでにSaaSとして提供されているソフトウェアを導入するかという2つの方法です。
AIを開発する
AIを開発するというのは、自社の業務に特化したAIシステムを開発するという手法です。OPEN AI APIなどに代表されるようなフレームワークを用いることで、工数を抑えながら、自社に合わせたシステムを作ることができます。ディープラーニングなどを用いることで、膨大なデータをもとにした対応力の高いシステムを作ることができます。
AI開発の流れとしては以下のような工程が必要になります。
- 1.ヒアリング・要件定義・テスト制作
- 2.PoC(初期環境構築)
- 3.運用
まず、ヒアリングを行い、AIの要件を定義します。どのような課題を解消するのかなど、目的や必要な機能などを洗い出します。そして、テスト版を制作します。
その後、PoC(Proof of Concept:概念実証)と呼ばれる、初期環境構築作業を行います。これは、要件に沿った機械学習やシステム連携を行い、本番稼働に向けた準備を行うことです。検証を行いながら学習内容の調整やエラー改善を行います。
システム稼働後には、修正や再学習、エラーの調整などを継続的にメンテナンスを行っていきます。
SaaSを導入する
AIを導入するには、SaaSを利用する方法があります。ソフトウェアとして、すでに特定の機能が盛り込まれたサービスを利用することができます。
SaaSの場合は、開発作業などは必要ありません。自社の現状を把握し必要な機能を調べ、自社の課題を解決できるサービスを選定することになります。サービスを導入したあとにも、各種設定や調整などが必要になります。
特定の課題があり、独自の学習をさせる必要がない場合などに有効な方法です。
AIシステムの種類
AIはその学習能力から、様々な分野の業務を行うことができます。ここでは、企業で活用できる代表的なAIシステムの種類を紹介します。
AIチャットボット
AIチャットボットは、AIを利用したシステムとして導入が進んでいます。AIチャットボットとは、大規模言語モデルを用いることで大量の情報を学習させるとともに、GPTによって自然な文章を作成することが可能なシステムです。
AIに情報を学習させることで、あらゆる質問に回答させることができます。音声認識と組み合わせることで、AIチャットボットはテキストだけでなく音声で会話することもできます。人間のような対応ができることから、AIチャットボットはカスタマーサポートや受付、営業など広い場面で用いられています。
画像認識
画像認識は、画像に何が写っているのかを認識するシステムです。AIによるディープラーニングによって、膨大なデータをもとにパターンを認識することで、画像に何が写っているかを理解することができるのです。
顔認識によってカメラに映る人物を判別したり、文字認識によって紙や画像の文字を認識したり、物体を認識しその計測を行ったりすることができます。その特徴から、不良品検品や無人対応、自動読み込み・自動入力、サイズ計測など、様々な用途に利用されています。
音声認識
音声認識とは、人間が発した音声をAIが解析してテキストデータへ変換するシステムです。
入力された音声を解析し、コンピューターが理解できるよう変換するとともに、学習データと照らし合わせることで、意味を理解しながらテキストに変換します。それによって、音声からその内容を理解することができます。
音声認識は、会話ができるAIロボットやAIコールセンター、議事録の自動作成などに利用されています。
予測・最適化
データからAIが予測を立て、最適化を行うことができます。AIは膨大なデータを分析し、未来の予測を行うことができます。さらに、その結果をもとに、どのような対策を行うべきかも導き出すことができます。
この予測・最適化の能力は、商品の需要予測や製品の故障リスク、株価予測など、一定の法則性があるような分野で利用が進んでいます。人が分析するにはデータ量に限界がありますが、AIを用いることでより正確な予測や最適化の方法を知ることができます。
AIシステムの導入費用の相場
AIシステムの種類ごとの導入費用の相場を紹介します。AIを開発した場合と、SaaSを導入した場合のそれぞれで説明します。
AIチャットボット
AIを開発する場合
AIチャットボットを開発する場合の費用の目安は以下のとおりになります。開発はプログラムに携わる人の人件費が中心になるため、どのくらいの期間をかけて開発するかで大きく変動します。
初期開発(1人月あたり) | ランニング(月額) |
---|---|
2,300,000円~ | 320,000円~ |
「1人月」とは開発に1名が1ヶ月かかる場合の費用を指します。開発期間は要件定義において実現したい目的を明確にして、必要な機能や学習量などにより算出されます。
また初期開発の規模が大きいほど、保守や追加学習量も増える傾向があり、それを前提としたランニングの設定が行われます。
パッケージ型SaaSを導入する場合
AIチャットボットの費用感を紹介します。ここでは、いくつかのSaaSのWebサイトに掲載されている価格をもとに説明します。
テキストAIチャットボットであるチャットプラスの料金プランは以下です。
プラン名 | AIライト | オートAI | AIチャットボット |
---|---|---|---|
年契約 | 50,000円/月 | 80,000円〜/月 | 150,000円/月 |
月契約 | 54,000円/月 | 88,000円〜/月 | 170,000円/月 |
有人チャット対応も組み合わせることができるAIチャットボットの「MOBI BOT」は以下のような料金プランとなっています。ただし、AIと連携するには追加費用が必要なようです。
初期費用 | 月額基本料 |
---|---|
30万円より | 15万円より |
AIチャットボットのSELFBOTの場合は、以下のような費用プランとなっています。
初期費用 | 月額基本料 |
---|---|
20万円より | 20万円より |
このような料金プランをみると、AIチャットボットのSaaSの費用相場としては、初期費用が0~30万円ほど、月額料金は15万円~20万円ほどのようです。もちろん、利用する機能や目的によって費用は大きく変わるので、直接確認するのがおすすめです。
画像認識
AIを開発する場合
画像認識AIシステムの開発を行う時の費用相場に関しては、画像認識AI専門のITシステム開発会社であるキュレコ株式会社を例として紹介します。画像認識AIの開発メニューは以下のようになっています。
項目 | 費用 |
---|---|
プログラム開発 | 120万円/人月 |
初回プロトタイプの開発 | 300万円 |
保守運用サービス | 10万円/月 |
一般的な企業からの依頼では、3人月相当で300万円程度が相場となるようです。
SaaSを導入する場合
画像認識AIをAPIで提供するクラウドサービスである、NTTドコモのドコモ画像認識プラットフォームでは料金は以下となります。基本料金は11万円であり、独自の学習をさせるために追加で費用が必要なようです。月額としては20万円程度が相場といえるでしょう。
基本料金 | 110,000円/月 | |
---|---|---|
API利用料金 (1エンジン・1学習モデルあたり) | 物体検出エンジン | 110,000円/月 |
一般物体認識エンジン | ||
API利用料金 (1辞書あたり) | 特定物体認識エンジン | 26,400円/月 |
類似画像検索エンジン | 81,400円/月 |
音声認識
AIを開発する場合
音声認識AIを開発している会社で費用を掲載している会社はないようです。費用は機能によって大きく変わってくるので、見積りを取るのがよいでしょう。音声認識AIは、コールセンターで利用する、議事録作成に利用するなど、目的によっても費用が変わります。
音声認識AIを開発するとなると、企業独自の専門用語や業界用語などを認識させる必要もあるので、一定の工数がかかります。100万~数百万円はみておいたほうがよいでしょう。
SaaSを導入する場合
コンタクトセンター向けの応対支援サービス「AI Dig」では、2か月検証パッケージが150万円〜であり、本番導入では初期費用30万円・月額費用40万円〜となっています。
また、議事録作成のAIサービス「Rimo Voice」では、以下のような料金プランとなっています。
トライアル | ライト | ベーシック | |
---|---|---|---|
月額 | 3万円 | 6万円 | 12万円 |
月の記録時間 | 10時間 | 20時間 | 45時間 |
このように、音声AIのSaaSに関しても費用に幅があります。目的によって必要な機能も変わるので問い合わせましょう。
予測・最適化
AIを開発する場合
需要予測などの予測を行い、最適化をするようなAIシステムを開発する際は、その要件によって費用が大きく変化します。その他のAIシステムよりも学習させる内容も多くなりますし独自の設計が必要になるので、その分費用がかかると考えておいたほうがよいです。
最低でも300万円は必要でしょうし、内容によっては1000万円を超えるような場合もあるでしょう。300万円~800万円くらいが相場といえると思われます。
SaaSを導入する場合
需要予測を行うAIはSaaSで提供されています。料金を掲載しているサービスは少ないですが、いくつかのサービス費用から相場がわかるでしょう。
例えば、AI inside社の「Learning Center Forecast」では以下のような費用となっています。
Standard Plan | Premium Plan |
---|---|
300,000円/ 月 | 800,000円/ 月 |
最大50モデル運用可能 最大5ユーザ登録可能 | 最大200モデル運用可能 最大20ユーザ登録可能 |
ただし、PoC期間の費用は別途お見積りとなっており、大きな費用がかかると考えられます。需要予測AIの相場としては初期費用が数万円、月額が30~100万円程度で考えるとよいでしょう。
AIの導入費用を抑える方法
AIの導入には一定の費用が必要なので、企業内で導入するのが難しいと考える場合もあると思います。そんなときには、以下のような方法を検討するのがおすすめです。
補助金を利用する
AIの導入に利用できる補助金があります。補助金を利用することで、コストを抑えながらAIの開発を行うことができます。
AI導入に利用できる補助金としては、「AI導入補助金」「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」「AI活用融資:日本政策金融公庫の特別貸付」「商業・サービス競争力強化連携支援事業」などがあります。
現在はAI技術の黎明期ということもあり、様々な補助金があるので検討してみましょう。
SaaSを利用する
AIシステムを開発するよりも、すでにソフトウェアとして開発されているSaaSを利用する方がコストを抑えることができます。
SaaSの場合、サーバーなどもサービス元が管理を行うのでコストを抑えることができますし、運用における調整や学習なども行ってくれるので人件費などを抑えることができます。
スモールスタートで開発する
スモールスタートで開発することも、AIの導入費用を抑えるための手です。
システム開発においては、要件をはじめにすべて定義して後戻りしない前提で作っていくアジャイル開発と、小さな単位での開発を繰り返し徐々にシステムを作りあげていくアジャイル開発があります。
AIシステムを開発する際にもアジャイル開発を用いることで、初期の費用を抑えながら継続的に開発していくということが可能です。アジャイル開発であれば、開発途中で不具合やトラブルが起こっても早期の対応ができるので、工数的なメリットもあるといえるでしょう。
まとめ
AIの導入には一定の費用がかかりますが、長期的にみたときにAIによって得られるメリットは大きいといえるでしょう。計画を立てる際には、こういった長期的な費用と削減できるコストや利益を合わせて考えるのがよいです。
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