AIで企業は業務効率化できる?活用方法、事例を紹介
日本でもAIの普及が進んでいますが、AI導入を検討している企業も多いと思います。ただ、AIを導入することで本当に企業は業務効率化ができるのでしょうか。
ここでは、AIによってどのような業務で効率化ができるのか、業務効率化に成功した事例を紹介します。また、業務効率化を実現するための方法、注意点も解説します。
企業におけるAIの利用
AIは現在どれくらい導入されているのでしょうか。
総務省の企業への調査によると、2019年時点ではデジタルデータの収集・解析等のためにIoT・AI等のシステム・サービスを導入している企業・導入予定企業は約2割となっています。
また、総務省の「情報通信白書」によると、「積極的に活用する方針である」、「活用する領域を限定して利用する方針である」の合計は42.7%となっています。まだまだ導入企業は少ないですが、今後はAIを導入する企業は増える見込みであることがわかります。
デジタルデータの収集・解析にAIを用いている企業の目的をみると、「効率化・業務改善」が83.5%と最も高くなっており、多くの企業がAIによる業務効率化を期待しているようです。
AIによって業務効率化ができる業務
AIによって、幅広い業務を効率化することができます。業務においてどのように効率化ができるのかを紹介します。
問い合わせ対応
お客様からの問い合わせ対応にAIを用いることで、業務効率化が期待できます。
お客様からの問い合わせ窓口には、サービスや商品についての質問や操作方法、対応状況などの質問が寄せられます。AIに自社のデータを学習させれば、こういった問い合わせに対して自動で回答することができ、業務効率化をすることができますし、人員の削減も可能になります。
テキストでのやり取りを行うチャットボットだけでなく、音声認識AIを用いて電話での問い合わせに対応できるものなどもあります。ほかにも、問い合わせ対応を行うスタッフに向けて、問い合わせ内容をAIが理解し回答のヒントを出す業務支援システムなどもあります。
AIによる問い合わせ対応については以下の記事で詳しく解説しています。
『問い合わせ対応はAIで大きく変わる!メリット、AIシステムを解説します』
受付
受付の業務もAIによって効率化することができます。企業や施設の受付では来訪者を案内するためのスタッフが配置されますが、AIを活用すればモニターを設置するだけで、そういった人員を削減できます。
お客様はモニター上で操作したり、AIに語りかけることで即座に回答を得られます。AIであれば複数の外国語にも対応ができるので、外国語を話せるスタッフに取り次ぐ手間などもありません。
お客様に語りかけて質問を促すシステムなどもあり、より人間のスタッフと同じような対応が可能になってきています。AIによる受付対応については、以下の記事で詳しく解説しています。
ヘルプデスク
ヘルプデスクでもAIは活用でき、業務効率化が可能です。ヘルプデスクは、企業外のお客様や企業内のスタッフからの、操作方法についての回答やトラブル対応を行う部門です。
ヘルプデスクに寄せられる問い合わせには定型の回答があることが多く、AIが対応しやすい分野です。ヘルプデスクにAIを取り入れることで、対応を自動化するとともに問い合わせ内容と解決方法をFAQなどに自動でまとめてもらうことなどが可能です。
さらに、ヘルプデスクにAIを用いれば、問い合わせ内容の蓄積・分析を自動で行うことができ、サービスの改善やマーケティング施策への反映なども行うことができます。人間が行う業務を大きく効率化することができるでしょう。
『ヘルプデスクでAIは活用できる?そのメリット、事例、サービスを紹介』
文書作成
AIを利用することで、文書作成業務の効率化が行えます。ChatGPTに見られるように、AIは自然な日本語で文章を作成できるようになりました。いまでは命令を入力するだけでAIが自動的に文章を作成してくれるので、文章を作成する様々なシーンで活用できます。
例えば、メールの文面をAIに作成させる、翻訳、資料作成、文章の校閲など、幅広い場面で活用できると考えられます。AIを利用することで、本来多くの時間がかかっていた文章作成の業務を効率化できます。プログラムコードの作成などもAIに行ってもらえ、業務時間や人材の効率化が可能です。
リサーチ
リサーチ業務にもAIを活用することができ、業務効率化ができます。リサーチ業務では、統計データや企業情報、アンケート、Web情報などをもとに、市場動向やトレンド、競合分析、消費者ニーズなどを分析します。AIであれば、情報を学習させるだけであらゆるリサーチを行うことができます。
人間が分析を行う際には多くの時間がかかっていましたが、AIを利用すれば高速でこういった分析が可能になります。AIによって、人間は分析結果をもとにした戦略作成などよりコアな業務に集中できるようになるでしょう。
コンテンツ作成
AIによってコンテンツ作成業務を効率化することができます。AIのなかには、条件を入力すれば自動で画像や動画などを作成してくれるものがあります。広告の画像や動画などを短時間で作成することが可能です。映像や画像にエフェクトをかけることなどもでき、編集作業を効率化することもできます。
ビジュアルだけでなく音声や音楽なども自動で作成することができるので、動画コンテンツで使用する音も短時間で作成することができます。
検査・判定
製造業における製品や部品の外観の検査にAIを用いることもできます。表面の傷や変形、不良品がないかなどをカメラと画像処理システムで自動でチェックをすることができるのです。
これまで人間が目視で行っていた作業をAIに代行させることができ、業務を効率化することができます。人間の場合は見落としや判定の間違いなどがありますが、AIを使用することでそういったヒューマンエラーを防ぐことが可能です。ミスの対応コストなども防ぐことができるでしょう。
配膳
配膳業務ではAIロボットを利用することができます。飲食店において料理の配膳を行うためにはホールスタッフが必要でしたが、AIロボットがお客様のテーブルまで料理を運ぶことができます。AIが搭載されることで、複数台数でも避けながら自律的に走行ができます。
AIロボットを利用することで、スタッフの数を減らすことができますし、ピーク時の混雑の緩和や座席回転率の向上など、効率化することができます。
AIによる業務効率化の事例
AIによる業務効率化は様々な会社で行われています。その事例を紹介します。
ハイセンスジャパン:接客をAIが対応
引用:共同通信(https://www.kyodo.co.jp/life/2024-05-17_3859375/#google_vignette)
家電メーカーのハイセンスは、業界初の「AI接客アドバイザー」を導入しました。これは、商品知識や専門用語を個別に学習したAIが、テレビに関する一般的な質問やハイセンスのテレビについての質問に、タブレット上で音声やテキストを用いて回答してくれるというものです。
ハイセンスでは、繁忙期に多くのお客様対応をしなくてはならず、案内が受けられないお客様からクレームを受けることがありました。そういったお客様への対応のためにAIアドバイザーを導入。販売のサポート役として活用するとともに、お客様の関心を呼ぶ話題性に期待しているそうです。
AIアドバイザーは、全国の大型家電販売店約300店舗でスタートし、将来的には500店舗、1000店舗と拡大し、さらに白物家電にも応用する予定とのことです。ハイセンスAI接客アドバイザーは、Webサイト上にもチャットボット形式で設置し、Webからも気軽にテキストで質問ができるようになっています。AI接客アドバイザーは私たちビーモーションが導入や運用の支援を行っています。
参考:https://www.kyodo.co.jp/life/2024-05-17_3859375/
サッポログループ:問い合わせ対応の負担を削減
引用:クラウド Watch(https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/case/1211844.html)
サッポログループの総務・経理・ITでは、他部門からの問い合わせに多くの時間を割かなくてはならないという状況でした。業務の3~4割が問い合わせ対応となっており、労働生産性が上がらないという事態を招いていました。また、ナレッジが各社員の頭のなかにだけある状態で、共有がされていない状態でした。
これらを解決するために、FAQシステムとAIチャットボットを組み合わせたシステムを導入。問い合わせ内容と回答をFAQシステムにまとめるとともに、社内のナレッジもFAQシステムに統合しました。それにより、各人が検索をすることができるようになり、問い合わせ対応の手間を減らすことができたとのことです。
45%は人手を介さずAIチャットボットから回答をし、FAQの検索時間が従来の平均3分45秒から30秒へと大幅な時間短縮になったそうです。
六甲バター:AIが検品を効率化
引用:MONOist(https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/post_328.html)
六甲バター株式会社では、1分間に500個のアルミ包材に包まれたチーズが流れてくる製造ラインにおいて、熟練作業者が最終検査工程を目視で確認を行っていました。この作業をAIが行うことで、自動化し省人化・生産性向上ができないかとAIシステムを導入しました。
これは、AIを活用したカメラ画像分析によって自動で検品できるシステムであり、AIが学習した画像と比較して、製品の良・不良を判断し、不良と判断された製品は排出します。
この結果、製造ラインのスピードを落とさずに、作業者では見つけるのが難しかった面や角度も網羅的に検査できるようになることや、個人の体調などに左右されない一定の検査品質が期待されています。
企業でAIを導入するときの注意点
企業においてAIを導入するときには注意すべきことがあります。
社内で目的・目標を浸透させる
企業でAIを導入するときには、社内で目的や目標を共有し、全社員に浸透させなくてはなりません。AIをスムーズに導入するためには、様々な部署がかかわることになります。なぜAIを導入するのか、どの業務がどのように変わるのかなどがわかっていないと、AIの導入に対して協力を得られないでしょう。
また導入後の運用においても、スタッフのほうで操作方法の学習や継続的に利用を行う必要があります。そのためには、目的や目標、意義を理解していないと、運用における作業が面倒などと感じて、AIの活用がうまくいかないかもしれません。目標などは定量的な指標で設定するのがよいでしょう。
厚生労働省の調査によると、導入前に従業員に共有する方法としては、「説明会の実施(50.2%)」や「幹部による説明や意見交換の場の設定(34.6%)」、「日常的な業務上の中での説明(32.8%)」、「社内報や社内掲示板での情報提供(29.8%)」を行っているという結果になっています。
担当者を用意する
AIを導入するには、社内に担当者を用意する必要があります。AIを社内に導入し利用方法を説明したり、AIシステム開発会社との橋渡しをしたりする担当者が必要になるのです。
この担当者には一定のITやAIに関する知識が求められます。担当者になってから学習をすることもできますが、基礎的な知識がある理系人材などがふさわしいでしょう。
社内にそういった人材がいない場合には、専門知識を持った外部の専門家やコンサルタントなどに依頼するのもひとつの方法です。また、AIサービスを提供している企業のなかには、導入や運用に対して支援を行ってくれる企業もあります。そういった企業に依頼すれば、外部の人材に依頼せずとも導入や運用を進めてもらえます。
スタッフの教育が必要
AIを社内に導入したあとには、スタッフの教育が必要になります。
AIを活用して業務効率化をするためには、AIにデータを学習させる必要がありますし、FAQや対応方法などの情報を準備しなくてはなりません。そういったデータの準備方法もスタッフは学ばなくてはなりません。
ほかにも、AIシステム自体の使い方、AIシステムを現場の作業に活かす方法なども知る必要があります。スタッフからすると、慣れない作業をしなくてはなりませんし、はじめは抵抗があるかもしれません。社内で研修を行う、使用状況についてマネジメントを行うなど、教育と管理が必要になります。
まとめ
ここまで企業の業務において効率化できるものや導入事例、導入するときのポイントなどを説明してきました。AIを導入することで、大きく業務を効率化できる可能性があります。ぜひAIの導入を検討してみてください。
接客オンデマンドAIは、接客や受付、ヘルプデスクなどのように人からの質問に対して答えるAIシステムの開発が可能です。モニター上のリアルなアバターが人の代わりに、音声やテキストで接客や案内を行います。
また、AIへの学習や調整、既存システムとの連携、データ分析などにおいても専門のスタッフが運用サポートを行うので、自社の負担なくAIオペレーターを運用することができます。詳しくは担当者からご説明させていただきますので、まずはお問い合わせください。