問い合わせAIとは?おすすめ15選・選び方・導入事例【2026年版】

秋山 宗一
ビーモーション株式会社
マーケティング部 部長 DXソリューションサービス責任者
精密機器メーカー、プロモーション支援、人材サービス業界で法人営業・事業開発・マーケティングを経験。現在はビジネス向け対話AIソリューション領域で、接客、教育、採用業務における制度設計・導入支援を手掛けている。「人が行ってきた接客や教育を、テクノロジーでどこまで再現できるか」をテーマに、実運用に耐えるAI活用を研究・実装している。
問い合わせ対応は単なる事務作業ではありません。社外にとっては「顧客体験の入口」、社内にとっては「従業員の入口」となる重要な業務です。近年では、この問い合わせ対応にAIを活用する事例も増えてきました。
AIを活用することで、人手不足の解消や対応の自動化、24時間対応の実現などの様々なメリットがある一方、リスクなどもあるので導入には注意が必要です。
そこで、この記事では問い合わせ対応のAIシステムとはどのようなものか、問い合わせ対応にAIを取り入れることのメリットや注意点を解説するとともに、おすすめのシステムを紹介します。
問い合わせ対応AIの概要
問い合わせ対応のAIとはどのようなものなのでしょうか?まずは意味や導入状況について解説します。
問い合わせ対応AIとは
問い合わせ対応AIとは、企業内外から寄せられる質問や問い合わせに対して、AIが自動で回答を行うシステムのことです。
自然言語処理(NLP)や生成AIの技術を活用し、ユーザーの質問内容を理解して、テキストや音声で適切な回答を提示します。従来のFAQ検索やチャットボットとは異なり、文章全体の文脈を判断して柔軟に返答できる点が大きな特徴です。
もちろん、どんな質問にでも回答できるわけではなく、あらかじめ学習させた企業のデータをもとに回答します。また、問い合わせのやり取りをもとにAIに学習をさせていくことで、回答の精度を高めていくことができます。
問い合わせ対応AIの導入状況
問い合わせ対応AIは、現在どれくらい企業に浸透しているのでしょうか。
「お問い合わせ対応時の課題」に関する調査の、「どのように問い合わせ対応をしていますか?」という質問に対しては、約6割が「手動のみ(57.0%)」と回答しており、問い合わせ対応に何らかの自動化ツールを導入しているのは約4割となっていることがわかります。
また、「AIチャットボットの導入実態と顧客満足度に関する調査」によると、「貴社ではAIチャットボットを導入していますか?」という質問に対し、4割以上の企業が「導入済み(37.5%)」と回答した結果となりました。このように、問い合わせ対応AIは徐々に導入が進んできていることがわかります。
さらに、AIチャットボットを「現在導入を検討中」「導入の予定なし」と回答した方への、今後の導入意向でも、『すぐに導入を検討したい(18.2%)』『1~2年以内に導入を考えている(48.6%)』となっており、6割以上の企業が導入を検討しており、今後さらに導入が進むと思われます。
問い合わせ対応AIのメリット
問い合わせ対応にAIを利用するメリットには様々なものがあります。
コスト削減
問い合わせ対応AIではコストを削減することができます。問い合わせ対応部門を設置する場合、設備や場所を準備するとともに、人員の採用に大きな費用がかかります。
問い合わせ対応AIであれば採用費用は必要ありません。人間の場合は教育コストが発生しますが、AIであれば初期の学習や運用時の学習をさせるだけで、自動で最適化できるので研修のコストも抑えられます。人間は退職したらまた採用してイチから教育をしなくてはなりませんが、AIはシステムなのでそういった学習のしなおしのコストも必要ありません。
さらに、複数の拠点を運営している場合でも、AIシステムであれば1つのシステムで対応できるのでコストを減らすことができるでしょう。
対応力向上
問い合わせ対応AIを利用することで対応力を向上させることができます。
人間の場合には深夜や休日の対応が難しいことも多いですが、AIであれば24時間365日稼働が可能です。電話だけでなくオンラインからの問い合わせにも対応できますし、方法を問わずあらゆる問い合わせに自動で対応ができます。
また、人では対応するスタッフによって知識や経験も様々で、応対のレベルも異なってしまいますが、AIであれば問い合わせへの回答の内容や応対のレベルを保つことができます。
生産性向上
問い合わせ対応AIを利用することで、生産性を高めることができます。
社内・社外問わず、問い合わせ対応にはスタッフは多くのリソースを割かなくてはなりません。ひとつの問い合わせの解決には時間がかかりますし、同じ内容の問い合わせに何度も対応しなくてはなりませんし、共有などにも時間を取られます。
AIに問い合わせ対応を任せれば、これらの時間が必要なくなり、スタッフはその分の時間をコア業務にかけることができるようになります。さらに、AIは一度あった問い合わせは学習し自動で回答してくれますし、FAQ作成により共有なども自動化してくれます。それにより、スタッフは企業の業績を成長させることに多くの時間を費やせるようになるでしょう。
ナレッジの蓄積
問い合わせ対応AIを導入することで、企業内にナレッジを継続的に蓄積できるようになります。
問い合わせ対応AIは、過去の対応内容やFAQ、マニュアルなどの情報を一元管理し、学習データとして蓄積していく仕組みを備えています。だからこそ、人によって対応品質がばらつくことなく、組織全体で知識を共有できる基盤が整います。
AIであれば、よくある質問や複雑な問い合わせ内容も自動で整理され、誰でも同じ情報にアクセスできるようになります。結果として、対応スピードと品質の双方が向上しやすくなるでしょう。
外国人対応
問い合わせ対応AIを導入することで、企業は外国人のお客様にもスムーズに対応できるようになります。
問い合わせ対応AIは多言語対応機能を備えているものがあり、日本語以外の問い合わせでも自動で翻訳し、適切な回答を生成できます。これにより、英語や中国語などに対応できるスタッフが社内にいなくても、24時間一貫した品質で案内を行えます。
AIならリアルタイム翻訳と自動回答によって、問い合わせ量が増えても負担を減らすことが可能です。また、専門知識を必要とする内容でも、事前に学習させたデータをもとに正確な返答ができます。

問い合わせAIの種類
問い合わせ対応に利用されるAIは、用途や仕組みによっていくつかの種類に分類されます。
生成AI型
生成AI型は、ユーザーからの質問内容を理解し、その場で最適な回答を文章として生成するタイプの問い合わせAIです。
あらかじめ用意されたQ&Aに依存するのではなく、マニュアルやFAQ、社内ドキュメント、Webサイトの情報などをもとに柔軟に回答を作り出せるため、複雑な問い合わせや想定外の質問にも対応できます。
WebサイトやECサイトでのチャットサポート、コールセンターにおけるオペレーター支援、メール返信の自動生成、社内ヘルプデスクでの問い合わせ対応などで利用されます。
音声対話AI型
音声対話AI型は、ユーザーの話した言葉を理解し、音声で応答することで対話を行う問い合わせAIです。
音声認識技術によってユーザーの発話をテキスト化し、その内容をもとにAIが回答を生成、さらに音声合成によって自然な声で返答します。人と会話しているかのようなスムーズなコミュニケーションが可能で、電話対応の自動化なども可能です。
コールセンターでの一次対応や予約受付、営業時間案内、受付での顧客対応などが挙げられます。また、24時間365日対応が可能になるため、顧客満足度の向上やスタッフの負担軽減にもつながります。
『音声対話型AI・会話できるAIを9選で紹介!メリット、注意点についても解説』
自律AIエージェント型
自律AIエージェント型は、ユーザーからの問い合わせに対して回答するだけでなく、必要に応じて複数の処理や外部システムと連携しながら、タスクを自動的に実行できる高度な問い合わせAIです。
単なる応答にとどまらず、問い合わせ内容に応じて情報検索やデータ取得、予約処理、申請手続きなどを一連の流れとして自律的に判断・実行できます。複雑な業務フローにも対応できるため、従来は人手が必要だった業務の自動化を実現します。
顧客からの注文・予約対応、社内の各種申請処理、在庫確認や見積作成、複数システムをまたぐ業務の自動化などで活用できるでしょう。
問い合わせ対応AIの選び方・比較ポイント
問い合わせ対応AIにはさまざまなツールが存在し、それぞれ機能や強みが異なります。そのため、自社に適したAIを選定するためにも、以下のようなポイントで比較するのがよいでしょう。
| 比較ポイント | 内容 |
|---|---|
| 自社の目的に対応できるか | 音声対応・多言語対応・チャット対応など、自社の目的に合った機能が備わっているか |
| 費用対効果と料金体系 | 初期費用・月額費用・従量課金などの料金体系を把握し、投資に見合う効果が期待できるかを比較 |
| サポート体制と導入支援 | 導入時のサポートや運用支援、トラブル対応など、ベンダーのサポート体制が充実しているかを確認 |
| セキュリティ | 個人情報や機密情報を扱うため、データ管理・アクセス制御・各種認証などのセキュリティ対策が十分かをチェック |
| 既存システムとの連携 | CRMやFAQシステム、チャットツールなど、既存システムとスムーズに連携できるかを確認 |
| 導入・運用のしやすさ | 管理画面の使いやすさや設定のしやすさ、運用負担の少なさなど、現場で継続的に使えるかをチェック |

【目的別】問い合わせ対応AIシステム15選
では、問い合わせ対応ができるAIシステムにはどのようなものがあるのでしょうか?タイプごとに分類して紹介します。
統合型・AIエージェント
接客オンデマンドAI

接客オンデマンドAIは、対話型生成AI技術を活用し、テキスト・音声でのやり取りに対応したAIシステムです。
OpenAI APIとの連携により、Webサイト・FAQ・カタログ・マニュアルなど自社が保有する情報を学習させることができ、商品知識や専門用語を含む幅広い問い合わせに対応できます。また、在庫情報・位置情報・見積計算などの外部データとのリアルタイム連携にも対応しており、社内外の多様な問い合わせに活用できます。
活用シーンとしては、店舗・施設での顧客対応自動化、WebサイトやECサイトでのCV獲得支援、コールセンター・ヘルプデスクでのユーザーサポートなど幅広く対応。複数拠点への展開では、2拠点目以降はライセンス費用のみで導入できるため、多拠点運営の企業にも導入しやすい料金体系となっています。ビーモーションは、FAQボットや生成AIチャット、自律型AIエージェントすべての領域でサービスを展開しています。
2.AIto

引用:AIto(https://mediatalkgai.studio.site/aito)
「AIto」はあらゆる問い合わせ対応を自動化するAIエージェントです。AIチャットボット、FAQシステム、ボイスボット、メール自動返信など多彩な機能を備えており、どんな問い合わせにもAIが即時に自動対応することができます。
複数のAIモデルを組み合わせられるため、まるで人が対応しているかのような自然な応答が可能です。また、社内ナレッジを集約して独自の回答を生成できるため、運用効率を改善し、問い合わせ削減と業務負荷の軽減に貢献します。
3.KARAKURI

引用:KARAKURI(https://karakuri.ai/)
「KARAKURI」は、問い合わせ対応業務を自動化するAIツールです。オペレーターやカスタマーサポートへの問い合わせに対して、チャットボットによる自動応答、FAQの自動生成、電話対応AIなどを組み合わせることで、幅広い問い合わせチャネルを一元的にサポートできます。
独自のAI技術によって顧客の質問意図を深く理解し、最適な回答へ導く点が大きな特徴です。文脈や意図を捉えて回答するため、複雑な問い合わせにも対応できます。一般的なチャットボットで必要となる「シナリオ作成」や「大量の学習用データの準備」が不要で、導入後すぐに運用を開始できるのも魅力です。
4.Helpfeel

引用:Helpfeel(https://www.helpfeel.com/)
「Helpfeel」は、特許技術「意図予測検索」を搭載し、顧客対応や社内サポートの自己解決率を向上させるAIナレッジプラットフォームです。FAQシステムと社内ナレッジ管理・検索ツール、AIチャットボット、問い合わせフォームなど、目的に応じたツールが用意されています。
AIがユーザーの意図を瞬時に読み取り、最適な回答候補を提示するため、検索精度が高く、問い合わせ前の自己解決を強力に促進できます。また、ナレッジの更新や管理も容易で、担当者の運用負担を軽減できる点も特徴です。顧客向け・社内向けのどちらにも対応しており、幅広い業務で活用できるサービスです。
5.DECA AI接客

引用:DECA AI接客(https://deca.marketing/service/cloud/ai-cs/)
「DECA AI接客」は、カスタマーサービスにおける幅広い顧客対応をAIで自動化し、有人対応の効率化を実現する接客支援ツールです。チャットボットによる自動回答、チャット/メールの返信文生成、接客履歴にもとづくFAQ自動作成など、多彩な機能を搭載しています。
蓄積されたナレッジだけでなく、生成AIがさまざまなデータから新たなナレッジを自動生成し、常に最新の情報にもとづいた対応が可能になります。さらに、オンライン接客の文字起こしや要約にも対応しており、対応後のナレッジ化や情報共有もスムーズです。
電話対応向けAI
6.AI電話サービス

引用:AI電話サービス(https://www.ntt.com/business/services/aitelephone.html)
AI電話サービスは、NTTコミュニケーションズが提供する、AIによる自動電話対応ボイスボットです。
お客様からの電話に対して、オペレーターに代わり対話します。50種類以上の音声を用意しており、人のように自然な発話ができます。業務の効率化、生産性向上を実現できます。
クラウドサービスなので導入の手間がかからず、保守費も不要です。
7.LINE WORKS AiCall

引用:LINE WORKS AiCall(https://line-works.com/ai-product/aicall/)
「LINE WORKS AiCall」は、企業の電話への問い合わせ対応をAIで自動化する音声AIソリューションです。問い合わせ内容の振り分け、予約受付、よくある質問への自動応答などをAIが代替することで、担当者の負担を軽減。
自社開発の音声認識技術により、自然な対話で顧客の要望を正確に処理し、業務効率化と顧客満足度向上を同時に叶えることが可能です。企業ごとのニーズや業務フローに応じて個別にシナリオ設計・AI学習・システム連携を行うため、高い対応完了率を発揮します。
8.ミライAI

引用:ミライAI(https://www.miraiai.jp/)
ミライAIは、電話での問い合わせに対してAIが取次、折り返しを行うサービスです。
頻繁に問い合わせされる内容にAIが回答するとともに、難しい内容については担当者に取り次ぎます。AIが担当者名を伺い、スマートフォンやパソコンを呼び出します。
録音、テキスト化の機能があるので、マイページから後で通話内容の確認も行えます。
ヘルプデスク・社内問い合わせ向けAI
9.PKSHA AI ヘルプデスク

引用:PKSHA AI ヘルプデスク(https://aisaas.pkshatech.com/aihelpdesk/)
PKSHA AI ヘルプデスクは、社内ドキュメントから社内問い合わせに対してAIが回答を自動生成してくれるものです。
社内の各種ドキュメントをAIが学習し、問い合わせへの回答を生成。対話ログからFAQを自動生成してくれるので社内問い合わせに関する工数を大きく減らすことができます。有人応答への連携なども可能です。
普段使用しているTeamsアプリ上に問い合わせ窓口を設置することもできます。
10.WisTalk

引用:WisTalk(https://www.panasonic.com/jp/business/its/wistalk.html)
WisTalkは、生成AIによって社内問い合わせと社内ナレッジの共有を効率化できるAIシステムです。
社内にある既存ドキュメントを登録するだけで、社内からの問い合わせにAIが回答します。パナソニック独自開発の言語認識AIによって、QA検索からの回答と生成AIによるドキュメントからの要約で回答の2種類の方式が利用できます。
QAの作成もAIが自動で行ってくれるので管理者の工数を削減するとともに、社内に眠っているナレッジを活用することができます。
11.OfficeBot

引用:OfficeBot(https://officebot.jp/)
「OfficeBot」は、AI領域の研究開発を長年行っているネオス株式会社が提供する、社内ナレッジの検索と問い合わせ対応を自動化するAIチャットボットです。
マニュアルやFAQ、各種ドキュメントを登録するだけで、AIが内容を理解し、最適な回答を生成します。レイアウト認識やOCR、画像認識により紙資料や図表も活用可能。さらにRAGやCoTにより文脈を踏まえた高精度な回答を実現することができます。
人事・総務・情報システムへの定型的な問い合わせに自動対応し、ヘルプデスクの工数削減に役立てられるでしょう。
12.ヘルプデスクの達人

引用:ヘルプデスクの達人(https://info.solutiondesk.jp/solutions/04)
ヘルプデスクの達人は、ナレッジと生成AIを組み合わせることにより、問い合わせ対応の効率化と品質向上を実現するヘルプデスク向けAIソリューションです。
マニュアルやFAQ、業務規程など社内ナレッジをもとにAIが回答を生成し、オペレーターはチャット形式で必要な情報を即座に取得できます。プロンプトの活用により経験の浅い担当者でも均一な対応が可能となり、属人化の解消にも貢献します。
さらに、対応履歴やナレッジをもとにFAQを自動生成・更新できるため、運用負荷を大幅に軽減。AIチャットボットにより顧客の自己解決も促進し、ヘルプデスク全体の生産性向上にも寄与します。
チャットボット型AI
13.RICOH Chatbot Service

引用:RICOH Chatbot Service(https://www.ricoh.co.jp/service/chatbot)
「RICOH Chatbot Service」は、月額18,000円から利用できるAIチャットボットサービスです。社内問い合わせにも社外からの問い合わせにも対応することができます。
Excel®で作ったQ&Aデータを読み込むだけでAIチャットボットが自動で返答をしてくれます。MicrosoftTeams、kintoneなどのツールと連携することができますし、チャットボットに入力された情報を蓄積してAIによる回答に利用できます。
14.PEP

引用:PEP(https://pep.work/)
「PEP」は、問い合わせ対応を自動化できるAIチャットボットツールです。ノーコードで誰でも簡単にチャットボットを構築でき、Q&Aを登録するだけで即時に運用を開始できます。
会話データを自動で学習し、わずかな手間で精度向上が可能なため、メンテナンス負荷を最小限に抑えられます。また、外部クラウドサービスとの連携にも対応しており、情報照会や社内業務の自動化にも活用できます。
カスタマーサポートやヘルプデスク、バックオフィスの問い合わせ対応の工数削減に役立てられます。
15.sinclo

引用:sinclo(https://chat.sinclo.jp/)
「sinclo」は、Web接客に特化したAIチャットボットツールで、サイト訪問者の行動に合わせた最適なコミュニケーションを実現します。
オートメッセージや自動応答機能があり、問い合わせ対応の自動化とCV率向上が期待できます。よくある質問や資料請求などは自動で対応しつつ、複雑な問い合わせはオペレーターが対応するハイブリッド運用が可能です。
チャット履歴や自動応答率、訪問者の行動データなどを可視化できるため、どのタイミングで離脱が発生しているかといった分析も可能です。
AIによる問い合わせ対応のデメリット・リスク
AIによる問い合わせ対応にはメリットだけでなく、デメリットもあるので理解しておきましょう。
初期コストがかかる
AIシステムを導入するには初期コストがかかります。
AIシステム導入にはAIへの学習やテスト制作、初期環境構築などの作業が必要になります。そのための費用がかかるのです。
初期費用としては人の問い合わせ対応部門を作るよりもかかる可能性がありますが、長期的なコストとしては人よりも抑えることができるでしょう。
運用作業が必要
問い合わせ対応AIを活用するには運用作業が必要になります。
導入時にはしっかり時間をかけてAIに知識を学習させても、その後のアップデートや情報の追加がおろそかになると、AIが古い情報をもとに回答し続けてしまいます。料金改定・商品変更・規約の更新が反映されていない状態では、顧客に誤った情報を案内するリスクが生じてしまいます。
問い合わせAIシステムを導入した後には、問い合わせのデータをもとに正しい回答を学習させ、より精度の高い回答ができるようにしなくてはなりません。その作業のためには専門の人材も必要になります。ただし、システム提供会社によっては運用を代行してもらえる会社があります。
複雑・イレギュラーな問い合わせへの対応が難しい
AIでは、複雑な質問やイレギュラーな問い合わせへの対応が難しい可能性があります。
問い合わせAIは、あらかじめ学習させたデータをもとに回答します。そのため、想定外の言い回しや複数の条件が絡み合う複雑な質問、過去に事例のないイレギュラーなケースに対しては、的外れな回答や誤った情報を提示してしまうリスクがあるのです。
たとえば、通常の返品対応は対応できても、「購入から半年以上経過した商品を、領収書なしで返品したい」といった複合的な条件が重なるケースでは、AIが適切な判断を下せないことがあります。
誤回答・ハルシネーションが発生する場合がある
AIによる問い合わせ対応では、誤回答やハルシネーションによって業務事故が発生するリスクがあります。
AIはその仕組み上、存在しない情報や不正確な内容を事実であるかのように出力してしまうことがあります。後から誤りが発覚すれば、顧客との信頼関係が損なわれるだけでなく、対応コストの増大や口コミによるブランドイメージの低下にもつながりかねません。
個人情報・セキュリティ管理のリスクがある
AIによる問い合わせ対応では、個人情報・セキュリティ管理のリスクがあります。
問い合わせ対応では、顧客の氏名・住所・購入履歴・問い合わせ内容など、機密性の高い個人情報がAIシステムに入力されます。AIがクラウド上で動作する場合には、入力されたデータがAIの学習に利用されたり、外部サーバーに保存されたりする可能性があります。
そのため、情報漏えいやプライバシー侵害につながるリスクを排除できません。また、システムの脆弱性を突いた不正アクセスによって、蓄積された顧客データが外部に流出する危険性もあります。

問い合わせ対応AIの導入の流れ
問い合わせ対応AIの導入は、主に以下の手順で進めます。
- 1.課題の整理と導入目的の明確化:自社の問い合わせ対応における課題を洗い出し、対応工数の削減や顧客満足度の向上など、導入目的を具体的に定めます。
- 2.要件定義とツール選定:必要な機能・対応範囲・連携要件を明確にし、自社に適した問い合わせ対応AIを選定します。
- 3.ナレッジ整備とAI学習:FAQやマニュアル、過去の問い合わせデータを整備し、AIが正確に回答できる状態を構築します。
- 4.初期設定・テスト運用:回答フローやエスカレーション設定を行い、テスト環境で動作確認と精度検証を実施します。
- 5.本番導入・公開:検証完了後、本番環境で公開します。段階的に適用範囲を広げながら運用を開始するのが一般的です。
- 6.効果測定と継続的な改善:設定したKPIをもとに効果を測定し、誤回答の傾向を分析しながら継続的に改善します。
問い合わせ対応AIを導入するときのポイント
問い合わせ対応AIを導入する際には、知っておいたほうがよいポイントがあります。
正しいKPI設計を行う
問い合わせ対応AIを導入する際には、正しいKPI設計を行うことが重要です。KPIの設定を誤ると、AIが数値上の目標を達成していても実際の業務品質や顧客満足度が低下するという事態が起こります。
例えば、「人による対応件数の削減」のみをKPIとして設定した場合、AIが不適切な回答を強行し、顧客の問題が解決されないまま対話が終了してしまうケースが生じます。その結果、同じ顧客から再度問い合わせが来たり、サービスへの信頼を損なったりするかもしれません。
問い合わせ対応AIのKPIとしては、以下のような指標を設定することが適切であると私たちは考えています。
- AIのみで問い合わせが完結した割合
- AI対応後の再問い合わせ率
- 不満やネガティブな感情を示すキーワードの出現率
これらの指標を組み合わせることで、対応件数の削減だけでなく、回答の質や顧客満足度も継続的に把握・改善できるようになるでしょう。
継続的に運用を行う
問い合わせ対応AIを導入する際には、継続的な運用が欠かせません。AIは一度設定すれば終わりではなく、実際の問い合わせ内容に合わせて適宜メンテナンスを行うことで回答の精度を高めることができます。
導入時にはしっかり学習させても、その後の情報更新がおろそかになると、AIが古い情報をもとに回答し続けてしまいます。料金改定・商品変更・規約の更新があった際にナレッジが更新されていないと、顧客に誤った情報を案内するリスクが生じるでしょう。
また、問い合わせ内容は季節やキャンペーン、サービス仕様の変更によって変化するため、データを随時更新し、誤回答の傾向を分析しながら回答ルールを調整し続けることが、問い合わせ対応AIの効果を最大限に引き出すために重要になります。
「AIが対応できないこと」を事前に明文化・定義する
問い合わせ対応AIを導入する際には、「AIが対応できる範囲」と「対応できない範囲」をあらかじめ明確にしておくことが重要です。対応可能な内容を整理して明示しておくことで、利用者の過度な期待を防ぎ、AIなのに対応できないという不満の発生を抑えることができます。
また、AIが対応できない問い合わせが発生した場合に備えて、スムーズに人による対応へ切り替える導線を設計しておくことも欠かせません。たとえば、一定回数回答できなかった場合にオペレーターへ接続する、もしくは問い合わせフォームや電話窓口へ誘導する仕組みを整備することで、対応の抜け漏れを防ぐことができるでしょう。
現場スタッフとお客様の心理的抵抗と対策を行う
問い合わせ対応AIの導入においては、現場スタッフや顧客が抱く心理的な抵抗にも配慮することが重要です。現場では、AIによる独断的な判断への懸念や、確認・修正作業の増加、自身の業務がAIに奪われることへの不安などの声が上がる可能性があります。
こうした不安を軽減するためには、AIの役割を明確に定義することが有効です。AIは担当者の代替ではなく、あくまで業務負荷を軽減するための下準備や一次対応を担う存在であることを社内にしっかりと共有し、認識を統一する必要があります。
また、顧客側の不信感を払拭するためには、AIの回答に根拠(エビデンス)を併せて提示する仕組みを整えることも重要です。AIと人が適切に役割分担しながら運用することで、全体の対応品質と顧客満足度の向上につながるでしょう。

AIによる問い合わせ対応の最新事例
AIによる問い合わせ対応は様々な企業で取り入れられています。最新の事例を紹介します。
AIチャットを社内問い合わせに活用

引用:(https://it.impress.co.jp/articles/-/25980)
プリント基板の設計・製造会社のキョウデンでは、製造プロセスや基準、スペック、管理要項などの多くの情報を文書として管理していたが、それらのナレッジを生成AIのチャットで参照可能なシステムを導入しました。
2500人の全社員が利用しており、導入以前は社内の問い合わせが月間で約150件あったものが、導入後には40件に減り、担当者の工数を約75%減らすことに成功したそうです。
また、分析や情報の探索に費やしていた時間を使って戦略的な仕事に集中できるようになったとも評価しています。
参照:IT Leaders(https://it.impress.co.jp/articles/-/25980)
自動音声応答をAI化

引用:PKSHA AI SaaS(https://aisaas.pkshatech.com/success/orixlife_01/)
オリックス生命保険株式会では、住所変更に関する受付をAIで対応。
導入初月には、住所変更に関する電話の8割をAIに誘導でき、5,000件を超える対応件数となったとのことです。そのうち71.2%の人が対話を完結しました。コールセンターのメンバーからは、問い合わせが大きく減った、と喜びの声があったそうです。
また、対話の途中でオペレーターに転送する分岐も用意しており、顧客の満足度を下げないように工夫をしています。
参照:https://aisaas.pkshatech.com/success/orixlife_01/
AIオペレーターサービスについては以下の記事でまとめています。
『AIオペレーターとは?活用シーン、導入時の注意点、おすすめのシステムを紹介』
自治体での問い合わせ対応に活用

引用:自治体通信Online(https://www.jt-tsushin.jp/articles/case/jt56_ines)
横須賀市では、市民からの相談や問い合わせに対して職員の経験値に左右されない業務の均一化を目的に、福祉の相談窓口で令和2年度からAIを導入しています。
このシステムは、電話や窓口での相談時に音声をAIがテキスト化して表示し、相談内容に応じて適切なサービスを画面上に表示してくれるものです。それによって聞き漏れを防ぐとともに、相談記録票作成の効率化も実現しました。
それによって、職員の経験値によらない対応ができるようになったとともに、相談記録票作成の負担を大きく減らすことに成功したそうです。さらにAIが記録表の全体を要約してくれ、職員は要約内容の最終確認をするだけでよくなったとのことです。
参照:https://www.jt-tsushin.jp/articles/case/jt56_ines
AIの活用事例は以下でも解説しているので参考にしてください。
『企業における生成AIの活用事例紹介!現在の活用状況も解説』
まとめ
問い合わせ対応をAIに行ってもらうことによって、人間のスタッフの工数を削減することができます。また、問い合わせに関してAIにFAQなどを自動で作成してもらえば、社内問い合わせも自己解決に導くことができます。対応力向上や生産性向上にも繋がるので、ぜひ導入を検討してみてください。
接客オンデマンドAIは、GPT連携によるLLMを採用しており、自然な日本語で問い合わせに回答してくれるAIシステムです。生成AI型、音声対話AI型、自律AIエージェント型のサービスを備えており、幅広い問い合わせに対して回答が可能です。
また、CRMやPOS、顧客データベース、遠隔接客ツールとの連携にも対応しており、より柔軟な応対ができます。運用に関するサポートも充実しているので安心です。ぜひお問い合わせください。