ChatGPTを業務利用するには?活用用法、事例、注意点を紹介
AIの進歩が目覚ましい近年、ChatGPTは業務利用できるのかという疑問を持つ方は少なくないと思います。
ChatGPTは様々な業務で利用が進んでいますが、日本企業での利用率はまだ少ないです。株式会社MM総研の調べによると、ChatGPTの利用率は日本では7%とまだまだ少なく、対照的にアメリカでは51%と多くの企業で業務利用されています。
ここではChatGPTの基礎的な知識だけでなく、活用方法や業務利用の事例、そして注意点について詳しくご紹介します。
ChatGPTとは?
ChatGPTは、OpenAI社によって開発されたテキスト生成AIサービスです。ChatGPTの「GPT」は、「Generative Pre-trained Transformer(事前にトレーニングされた翻訳生成)」の意味です。
ChatGPTは入力された質問に対して、学習したインターネット上の情報から回答をします。
大規模言語モデルを使用しており、大量のテキストデータを自然言語処理するアルゴリズムによって、より自然な言い回しで回答することが可能です。
さらに、過去のやり取りなどを参考して、より自然な回答ができるように学習する機能も備えています。
ChatGPTの業務利用方法
ChatGPTは様々な分野の業務で利用することができます。ここでは、利用できる業務の例を紹介します。
情報収集
ChatGPTは、情報収集に特に有効です。特定のトピックやキーワードに関するテキストベースの情報を、短時間で効率的に収集することができます。
ChatGPTを利用すれば、新商品開発における調査、知見のない領域についての情報収集、課題解決案の作成などに利用できます。
また、拡張機能を追加することで、関数を入れると回答が導き出されるようにしたりと、より便利に調査をすることができます。
ただし、ChatGPTが生成してくれる情報は、インターネット上の情報がもとになっているので、必ずしも正しいとは限らないので注意が必要です。
文章の作成・編集
ChatGPTは、与えられた質問に対して、人間が自然と感じる回答となる文章を生成する能力を持っています。記事やレポートの初稿の作成や、文章のリライト、文法の校正などに利用できるでしょう。
また、新しいプロジェクトの提案書を作る場合に、テーマや背景、目的に基づいた概要をChatGPTに記憶させ、プロジェクトの提案書を作成してもらうという使い方もできます。
さらに、ChatGPTは、英語・スペイン語・フランス語などの主要な言語において、優れた言語翻訳機能があります。翻訳したものを確認する、ChatGPTが翻訳したものを編集していくという使い方もできるでしょう。
顧客対応
ChatGPTは顧客対応業務に利用することができます。Webサイトでのチャットボットや問い合わせフォーム、受付での質問に対して、ChatGPTが対応を行うのです。
各企業の情報をChatGPTに学習させることで、顧客からの質問に対して的確に回答させることができます。それによってチャットボットなどのシステム作成が必要ありませんし、オペレーターを用意する必要がなくなります。ChatGPTは人間が自然と感じる回答を生成できるからこそ、顧客対応に活用できるのです。
顧客からの電話での問い合わせの内容をリアルタイムで文字に起こし、それに対する回答を生成し、オペレーターをサポートするシステムなどもあります。
GPTを利用したチャットボットについては以下で詳しく解説しています。
https://www.bemotion.co.jp/ondemand/column-list/chatbot-gpt/
プログラミング
プログラミング業務においてもChatGPTは有効です。
ChatGPTに具体的な要件を伝えることで、それに基づいたコードを生成させることができます。コードのひな形を作成したり、言語やライブラリに対する初期の学習をすることができます。
また、ChatGPTはコードの問題点や細かなバグを発見するのにも利用できます。人間が目視でチェックするには時間がかかりますが、ChatGPTを利用することで、工数を大きく減らせるのです。
ChatGPTを利用することで、開発の効率化が図れ、エンジニアの作業負担を軽減できるでしょう。
教育
ChatGPTは社員の教育、研修にも活用できます。ChatGPTは教材や様々なデータを記憶させることができ、それらをカスタマイズすることが可能です。それにって、社員が学ぶべきことを網羅した教育プログラムを作成することができるでしょう。
社員の知識レベルやニーズに合わせて、最適な回答を出力することが可能なので、より効率的な学習をサポートすることができます。大量のケーススタディを作成することもできるので、社員は短時間でより状況に応じた対応ができるようになるでしょう。
ChatGPTを利用すれば脱属人化も可能です。従来の教育や研修は担当者が行いますが、担当者ごとに教える内容や成果に差が生まれがちです。ChatGPTであれば、そういった属人性は生まれません。
さらに、24時間いつでも学習が可能なので時間や場所に縛られることもありません。よりコストを抑えながらも、効率的に学習を進めることができるでしょう。
業務別のChatGPTの活用事例
ここからは、ChatGPTの業務利用について、実際の例を紹介していきます。
大和証券【情報収集・文章作成】
2023年4月18日、大和証券はChatGPTを全社員約9000人の業務に導入することを発表しました。
同社はChatGPTを活用して、英語での情報収集のサポート、資料作成の時間と費用の削減、書類や企画書の素案作成による業務効率化に活用しています。さらに、新しいChatGPTの活用方法のアイデア創出を目指しています。
安全性を確保するために、マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を使用し、情報が漏れない環境を整備しています。
大阪府門真市役所【文章作成】
大阪府門真市(かどまし)は、市役所の業務効率向上を目指し、ChatGPTの活用実証を行っています。
門真市では、文書の要約、翻訳、さらに用途に応じた文章構成のアイデア出しにChatGPTを活用。市役所職員の業務効率化や市民の利便性向上を目指しています。
ガイドラインを定め、個人情報や著作権の保護を重視しています。
GMOインターネットグループ【文章作成】
GMOインターネットグループは、サービス品質の向上と業務効率化を目的にChatGPTを導入。
文章作成時のタイトルやキャッチコピーのアイディア出し、文章の要約やトンマナ変更、EXCEL関数の構築、プログラムの生成やデバッグなどに活用しています。
また、社内の資料や報告書の作成、さらには新しいプロジェクトの提案書やビジネス戦略の策定支援にも用いられています。
ポート株式会社【顧客対応】
ポート株式会社は、土日、深夜帯などのユーザーからの問い合わせに、ChatGPTを活用した問い合わせ対応システムを導入。
スタッフの対応が難しい時間帯でも即時の案内が可能になり、見込みユーザーの離脱を防ぎ、成約率向上が期待されています。
同社は対応の音声データを保管しているので、それらをテキスト化し、学習させることで、より高い精度のシステムに成長させる取り組みを行っています。
アナグラム株式会社【企業分析】
デジタル広告運用会社であるアナグラム株式会社では、ChatGPTを活用して「3C分析」「SWOT分析」「ファイブフォース分析」による企業分析を行っています。
例えば、ChatGPTにクライアントの情報を入れ分析を行うことで、業界のトレンドや競合企業の情報を素早く収集し、レポート生成し活用しています。
また、分析以外の利用方法として、広告のキャッチコピーやターゲティングなどのアイデア出しとしても利用。瞬時に複数の案が出てくるので、ブレインストーミングという位置付けでスタッフをサポートしています。
サイバーエージェント【広告オペレーション】
株式会社サイバーエージェントでは、デジタル広告のオペレーションの作業時間を削減するために、「ChatGPTオペレーション変革室」を設立。
広告運用業務には、緻密な広告配信や改善、レポート作成などの多岐にわたる業務があり、広告オペレーションの月間総作業時間は約23万時間と膨大なものでした。
そこで、ChatGPTを自動回答や海外拠点とのコミュニケーションなど社内コミュニケーションの補助に活用することで、月間作業時間の削減を図っています。
ChatGPTの業務利用での注意点
ChatGPTはインターネット上の情報や学習させる情報によって回答を出します。だからこそ、情報が正しいとは限りません。ChatGPTの回答は精査する必要があるでしょう。
特に法律や医療に関しては、専門家の意見を取り入れるなど、ChatGPT以外の信頼性の高い情報源を参照し、しっかりと検証することが求められます。
また、ChatGPTでは重要な情報を入力することによる情報流出やセキュリティの問題があります。企業の機密情報や個人の情報を入力しないルール作りなど、最大限の注意が必要です。
まとめ
ChatGPTの技術は、情報収集から文章の作成、プログラム、教育支援、広告のオペレーションに至るまで、多くの業務で利用が可能です。実際に国内の企業の利用状況を見ても、ChatGPTを業務利用する動きは活発になっていくでしょう。
特に、顧客対応や接客業務に関しては、自然言語での自然な回答ができるChatGPTはその効果が期待できるでしょう。ChatGPTに自社の情報を学習させれば、受付やカスタマーサポートなどのコストを抑えながらも、顧客の課題を収集・データ化することもできるでしょう。
接客オンデマンドでは、GPTと連携したAIチャットシステム「kasanare」を提供しています。OPEN AI APIを連携した業務向けカスタマイズモデルで、企業単位に個別の情報を学習させます。
GPTの文章生成能力を活用しており、ChatGPTのように自然な回答を行います。質問対応だけでなく、接客風にユーザーへの質問、誘導も可能なので、購買率を高めたり課題の抽出なども行えます。
ご興味がある方は資料ダウンロードをしていただければと思います。