VR訓練とは?メリットや注意点、事例、おすすめサービス9選
VR技術の高まりを受け、VRを駆使した訓練が登場しています。VR訓練は、リアルな訓練と比較するとメリットが多々あります。
しかし、まだまだVR訓練についてよく分からない方も多いと思います。そこでVR訓練について、何ができるのかやどのようなメリットがあるのかをご紹介します。
VR訓練とは?
VR訓練とは、VR技術を活用した訓練のことです。ゴーグルを使用し、バーチャル空間内で現実と同じような体験ができます。
VR訓練では、目の前に現実と同じような世界が広がり、目的ごとの課題やシチュエーションが設定されています。体験者は目の前のバーチャル空間内で、課題や出来事に対処していくことで訓練ができます。
VR訓練は、防災訓練や消火訓練、職業訓練などで導入が進んでいます。一部では軍事訓練などにも利用されています。
VR訓練のメリット
VR訓練が注目を集めている背景に、多くのメリットを備えている点が挙げられます。様々な理由でこれまでの訓練では難しかったことも、VR訓練であれば可能になります。ここでは具体的に、どのようなメリットがあるのかを紹介します。
コスト削減
VR訓練によってコストの削減ができます。通常、訓練を行うときには、場所やスタッフ、カリキュラムの準備が必要でした。外注する場合にも費用がかかっていました。
VR訓練ではバーチャルなシステムなので、そういった費用を抑えることができます。スタッフは少人数で対応できますし、場所を借りる必要や訓練会社に外注する必要もありません。
また、VR訓練では一度システムを作れば、それ以降はコストがかかりません。現実の訓練では都度コストがかかっていましたが、VR訓練ではランニングコストを大きく抑えられるのです。
時と場所に影響されない
VR訓練は、時間や場所に影響されません。現実の訓練だと、訓練場所までの移動が必要だったり、天気によって体験ができなかったり、夜間は体験できないなどがあります。VR空間ではそのような影響を受けることはありません。
VR訓練はVR上にて行われる訓練であり、バーチャル空間上で体験ができます。ですので、目の前のPCでゴーグルをつけるだけで体験ができ、訓練場所までの移動は必要ありません。天気にも影響を受けませんし、24時間いつでも体験ができます。
時と場所に影響されないので、自分の都合のよいタイミングで自宅や会社のPCなどから体験ができ、負担や制約を大きく減らすことができます。
リアルな体験
リアルな体験ができることもVR訓練のメリットです。
VR体験ではバーチャルリアリティ技術を利用しているので、まるで目の前に現実のような世界が広がります。消火訓練では実際に火事が起こっているような体験ができますし、職業訓練では実務と同じ業務を体を動かしながら体験できます。だからこそ、現実と変わらないレベルで訓練の成果が得られるのです。
VR訓練だからこそ、実際の場所に行かなくても現実と変わらないリアリティのある経験ができ、より訓練の内容を身に着けることができるでしょう。
カスタマイズ性
VR訓練は目的に沿ったカスタマイズが可能です。訓練の目的はそれぞれ異なるものですが、VR訓練では内容を柔軟に変更できます。
実際の訓練の場合、用意した環境は簡単には変更できません。大掛かりな訓練であればあるほど変更が難しくなりますが、VR訓練であれば自由に内容を変更できます。より目的に沿った訓練や、訓練の途中でより精度の高い訓練に変更することも可能です。
手軽に訓練内容をカスタマイズできるVR訓練であれば、様々なシチュエーションでの訓練を気軽に実践できます。
VR訓練の注意点
VR訓練ではシステムを構築しなくてはなりません。システムを作るためには、制作会社などとどのようなシステムにするかを相談しながら制作をする必要があり、制作会社へ支払う制作費がかかります。
システムを運用するときには細かな調整やカスタマイズなどを行うには、運用のためのポジションに人を配置する必要もあるでしょう。
また、人によっては「VR酔い」と呼ばれる不快感を覚えることもあります。そういった人へのフォローなどが必要になるということも覚えておきましょう。
VR訓練の活用シーン例
VR訓練は以下のように様々な利用方法が考えられます。
地震訓練 | 大型の地震でどれくらい揺れるか、家具の固定やガラスの飛散防止など対策について学ぶことができます。 |
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土砂・火災などの災害訓練 | 土砂災害がどのように起きるのか、火災時の煙による視界不良など体験することができます。 |
医療現場での訓練 | VRによって手術のシミュレーションをすることができますし、看護師の処置の訓練などができます。 |
医薬品の分析試験の訓練 | 特定の環境や各種器材、教育者が必要になる、医薬品分析試験を行う試験員の育成をVRで行うことができます。 |
自動車整備士の職業訓練 | 自動車整備士の職業訓練では、指導員や車両、工具、天井の高い訓練施設が必要なく、VRで作業を学ぶことができます。 |
建機操縦の職業訓練 | 高所作業車、クレーン、フォークリフトなどの操縦をバーチャルで体験でき、機能や使い方、危機管理方法を学べます。 |
VR訓練の5つの事例
実際に利用されたVR訓練の事例を紹介します。
建設現場向けの安全教育訓練
三機工業株式会社では、建設現場向けの安全教育をVRで実施しています。建設現場において、不安全箇所を探す方法や手順を学ぶことができます。
自分から不安全箇所を歩いて探しにいくことができ、自発的に探す姿勢を育てることができます。
さらに、手順に沿って作業を進めることで転落等の危険性があることを学ぶこともできます。
コンビニでの接客をVRで訓練
ファミリーマートは、店舗スタッフの教育にVRを利用しています。レジの操作や品物の発注、宅配便の受付対応などをVRで学ぶことができます。
研修では指導役がついて指導をしなくてはならずコストがかかっていましたが、VRによって通常36時間かかる研修時間が1/3に短縮されたとのことです。
また、10か国語にも対応しており、日本語が得意でない外国人に対してもスムーズに理解をしてもらえるようになったとのことです。
農家の育成をVRで実施
島根県出雲市農林水産部では、農家育成VR学習システムを作成し、熟練技術者が高齢化している農家において後継者の育成に役立てています。
農産物の栽培技術の習得には、生育時期にしか作業経験ができませんが、VRによって様々な育成時期を体験でき、時期や場所に左右されずに自由に技術を体得することができます。
VR訓練によって、人材育成時間の短縮、指導者の工数削減に役立っています。
線路関係の工事での安全教育に利用
JR東日本では、線路関係の工事担当者に危機意識を持たせるためにVRを活用。危険行動を取っている作業員や危険な状況をVRで見せ、その行動を指摘・回答していくという訓練です。
映像は車両の運転席からの道程を360度で撮影。3DCGによって合成されており6分間のコンテンツとなっています。
講師側は受講者のスコアを確認できますし、問題ごとの正答率などを見ることができます。
土砂災害をVRで疑似体験
神戸市では、災害時の避難率が約5%と低かったことから防災意識を高めるためにVRを活用。
神戸市内によくある山際の斜面に近い坂道のある住宅街を想定し、実際に起きた災害をもとにVRを作成しました。土砂災害をミニチュアの実験場で再現し、リアルな映像を作成。
利用者は臨場感のある災害の様子を体験することができ、参加した市民の防災意識は5割向上したとのことです。
VR訓練サービス
VR訓練をサービスとして提供している会社もあります。VR訓練ができるサービスを9つ紹介します。
接客オンデマンド(ビーモーション)
株式会社ビーモーションの接客オンデマンドでは、職業訓練用のVR制作を行えます。主にMatterportなどのVRアプリを使用して「訓練」「研修」「工場見学」の作成を行います。
3D-VR/CG技術を活用して、店舗や施設など現実空間をデジタル化が可能なことから、よりリアルなVRの作成が可能です。
さらに立体図+平面図+空間移動設計によって自由な確度からの俯瞰的回遊も実現。4K空間撮影によって細かい部分まで高精度で再現している点もポイントです。
計測機能やタグの埋め込み、HTMLによる演出の追加などカスタマイズも可能。それぞれの会社に合わせてリアルなVR訓練が制作できるサービスです。
VRトレーニングシステム(東芝テクノロジーズ)
座学のトレーニングの限界を打破するためのVRトレーニングです。
VRだけではなく、画像認識や音声認識、データ分析など最新技術を駆使した教育訓練システムであり、現実の環境を忠実に再現したVR空間での体験・訓練を実現します。
VR空間を複数の人間で共有することも可能です。遠隔地から熟練者が複数の受講者に対して指導を行うこともできる点が特徴で、既に日本航空株式会社、第一三共プロファーマ株式会社、久留米工業大学、島根県出雲市農林水産部などが採用しています。
VR消防訓練サービス(大和ライフネクスト)
VRを活用したマンション消防訓練です。スマートフォンやタブレット、PCからVR動画を視聴することで消防訓練に参加できるシステムなので、いつでもどこからでも参加できるシステムです。
利用方法は対象のマンションにQRコードを配布し、読み取ってもらうだけです。VR消防訓練の参加状況や視聴状況を確認できるため、管理も容易です。
手軽に何度でも参加できることから、世帯の代表者だけではなく住人全員の訓練参加を促進します。
シニアの新体験トレーニング(大日本印刷)
高齢者向けのVR訓練サービスです。足漕ぎペダルとハンドル操作を行うことでVR空間を自由に移動し、高齢者の運動不足解消を促進する狙いがあります。
VR空間内を自由に移動できるシステムなので、プログラム次第で様々な体験を行える点がポイント。
例えば旅行気分を疑似体験できるツアーもあれば、心拍数と連動させてゴールを目指すトレーニングモードなどが用意されています。
CoreBasis(積木製作)
CGコンテンツ制作を得意としている積木製作では、VRの安全体感トレーニングやVR専用のトレーニングプラットフォーム「CoreBasis」を提供しています。
内製・外注を問わずにVRアプリケーションを配布できるサービスで、ブラウザにて管理サイトから開発したコンテンツの確認や配布設定、履歴閲覧が可能。
内製化が困難な企業でも、活用することで内製アプリケーションとして配布が可能になります。
防災訓練VR(田中電気)
専門家監修による科学的根拠をベースにした、最新の防災訓練VRです。
自治体の防災イベントや会社内の防災訓練で利用されているサービスで、ホテル火災、オフィス火災や工場火災、土砂火災に地震など、多くのVRコンテンツを提供しています。
リアルな災害体験により個々の正しい避難方法の習得をすることができます。
NEC VR現場体感訓練システム for 防災(NEC)
システムインテグレーション型にて提供されている訓練システムです。
実態に近い危険現場を認知できる点や、10人以上同時体験が可能な点が特徴。集団訓練でも効率の良い訓練が可能で、ポータブルで持ち運び可能な構成です。
専門家のノウハウを取り入れた災害現場モデルを適用し、「やってはいけない行動」を判定することで、訓練の目的意識を向上させます。
複数人参加型VR訓練システム(ジャパンディスプレイ)
大規模訓練から救助訓練、技能訓練など、フリーローム型訓練ソリューションです。訓練に使用される状況や道具までVRで再現しています。
複数人で参加して訓練ができます。個人での訓練だけではなく、チームワークが求められる高度な訓練も実践可能です。
また、特殊な状況も再現することで、予期せぬ事態の訓練も可能です。
mcframe MOTION VR-learning(mcframe)
VR技術を活用した現場教育コンテンツを自作できるシステムです。
自由な場所・タイミングで実施できる訓練を提供する教材を作成することで、現場の臨場感の体験はもちろんですが、より自社が必要とする訓練を作成・提供します。
VR訓練は結果の採点機能が搭載されていることから、学習成果を定量的に確認可能。チェックポイントの設定も可能で、積極的に参加し訓練意識を高めることが可能です。
まとめ
VR訓練は、従来の訓練と比較するとコストや訓練のタイミング、カスタマイズ性に優れています。VR上の訓練なので安全性にも優れており、かつ何度でも繰り返し行えるなどのメリットもあります。
今回紹介したようにVR訓練サービスは多く登場しています。それぞれ特徴・強みが異なることから、自社が求める訓練を提供しているVR訓練の使用が望ましいでしょう。
接客オンデマンドは、リアルなVRを作ることができ、カスタマイズ性にも優れているので、自社に合った訓練システムを作ることができます。訓練環境の見直しを考えている方や、自社の求めるVR訓練を探している方にこそおすすめのVR訓練です。
VR制作については以下のページで詳しく紹介しています。