採用でのAI活用とは?メリットやAIツール、事例まとめ

AIの普及により、AIは幅広い分野で利用され始めていますが、採用においても活用する企業が増えています。採用にAIを活用することでどのような効果があるのでしょうか。
この記事では、採用にAIを活用するメリットやデメリットを紹介するとともに、採用に利用できるAIツールと、導入企業の事例を解説します。AI採用ツールを導入しようかを検討している方はぜひ参考にしてください。
採用でのAIの活用状況
AIはさまざまなところで採用に用いられていますが、まずはどのような活用状況かを解説します。
採用でのAI活用に前向き
2024年1月の『「企業の新卒採用における生成 AI(ChatGPT 等)利用実態」に関する調査』を見ると、新卒採用に関する業務で生成AIを利用している企業は11.4%となっています。利用場面としては、「スカウト文面の作成(33.3%)」「募集要項の作成(30.3%)」となっています。
また、就職活動でもAIを利用する学生が増えていますが、約6割の企業が前向きな反応であるという調査もあります。
採用での効果を実感
企業での採用は増えてきていますが、どのような効果があるのでしょうか。
上の調査では、「面談・面接などの対面コミュニケーションにかけられる時間が増えた(35.0%)」、「採用基準の 言語化・標準化に役立った(25.0%)」という効果があったとされています。また、生成AIを利用している企業の65%が「プラスの影響があった」と回答しています。
さらに、採用活動でAIを活用したことがある採用担当者200名へのアンケートでは、「AIの活用で採用の質が高まった」と82%が答えています。AIは選考の判定にも用いられており、AIでの判定に有効性を感じる割合は64%となりました。
このように、AIを用いることで採用の自動化ができますし、選考の質が高まる可能性があるようです。
採用でAIを利用するメリット
AIを採用で用いることでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
採用の質の向上
上でも紹介しましたが、採用においてAIを用いることで採用の質を高めることができます。
AIは大量のデータを学習させることができるので、より優秀な人材、自社に適性がある人材を自動で判定することができます。AIがスカウトなどを行うこともできるので、人材獲得の負担を減らすとともに質を高めることができるでしょう。
また、人間が選考をする場合にはどうしても主観が入ってしまいますが、AIであれば特定の基準に従って選考をするので、ぶれることがありません。さらに、採用の企画なども人間では思いつかないようなものを生み出すことができます。より求職者にアピールができ、良い人材の応募を獲得できる可能性があります。
リソースの確保
採用にAIを用いることで、リソースの確保を行うことができます。採用では、企画の作成、応募内容の作成、面談、評価、選考作業などさまざまな作業が必要であり、多くのリソースがかかってきます。
AIを用いることで、人間が行っていた作業を自動化することができますし、AIに人間の作業をサポートしてもらうこともできます。それによって、大幅に工数を減らすことができるのです。
現にAIを活用することで、人員リソースの充足状況について73.3%が「足りていた」「まあまあ足りていた」と回答しました。AIツールを活用していない人だと49.5%だったので、AIを利用したほうが人的リソースを削減できたことがわかります。ほかにも、生成AI利用企業の35%が「面談・面接などの対面コミュニケーションにかけられる時間が増えた」と答えています。
AIを用いることで人の工数を減らすことができ、リソースを確保することができるでしょう。
採用コスト削減
AIを用いることで採用コストの削減が可能です。採用には多くの人が関わることになりますしそれぞれの作業量も多いのでコストがかかってしまいますが、AIによってその人件費を減らすことができるのです。
AIは応募要項の作成、メール対応や面接の自動化、書類選考でのスクリーニング、求職者とのマッチングなどを人に代わって行うことができます。それによって、採用のためのスタッフの人数や稼働時間を減らすことが可能なのです。採用スタッフの負担を減らすことができるので、より生産性を高めることになり、費用対効果も高めることができるでしょう。
応募者からの評価の向上
採用にAIを用いることで、応募者からの評価を高めることができます。応募者のなかには、AIを用いている企業は、新しい技術を取り入れており時代の変化についていけているという印象を受けたり、評価にAIを用いることで主観や感情ではなく公平な評価をしてもらえるという印象を受けたりする可能性があります。
現に、「中途採用・転職活動の定点調査(2024年7〜9月)」では、採用にAIを活用することで「応募・入社意欲が高まる」という人は37%でした。さらに、「応募・入社意欲が高まる」という人は20代で53.8%、30代が44.8%、40代が29.9%でした。若い世代で特に評価が高まることがわかります。

採用でAIを利用するデメリット
採用におけるAIにはメリットが多いですが、デメリットもあります。
導入コストがかかる
採用でAIを導入するにはコストがかかってきます。AIを導入する際には、システムの導入作業が必要ですし、AIへの学習も行わなくてはなりません。自社が採用したい人材のデータなど独自の情報を学習させたり、システムでは必要な機能をカスタマイズしたりといったことも必要です。
そのため、導入に際しては初期費用やシステム作成費用、学習のための費用などがかかるのです。パッケージ化されたAIシステムであれば比較的低価格で提供されていますが、自社独自にカスタマイズするには一定の費用がかかってきます。費用対効果を検討しながら導入をしなくてはなりません。
誤りが起こる
採用AIシステムでは、AIによる評価や回答において誤りが起こることもデメリットです。
AIでは、事実に基づいていない架空の情報をさも事実のように回答する「ハルシネーション」という現象が起こることがあります。応募者との面接をAIが行う場合や応募者の評価を行うとき、応募要項を作成する場合などには、AIが間違った情報を回答することがあるのです。
すべてをAIに任せるのではなく、人間の目でも確認する必要があるということに注意しましょう。
AI採用に抵抗を持たれる可能性
採用にAIを用いる場合には、応募者に抵抗を感じさせる可能性があるということもデメリットとなります。AIによる面接やAI適性検査などを利用していると、機械的な印象を与える可能性がありますし、AIと話すことに抵抗を感じる人がいるかもしれません。
「中途採用・転職活動の定点調査(2024年7〜9月)」では、「応募・入社意欲が下がる」と回答した人が8.5%はいましたので、一定数は抵抗を感じる可能性があります。AI採用が普及してくると意識が変わるかもしれませんが、採用にAIを用いる場合にはその目的や効果などをしっかりと応募者に伝えておく必要があるでしょう。
採用で利用できるAIツール
AIツールは採用におけるさまざまな場面で利用することができます。利用できるAIツールを紹介します。
生成AI
採用では生成AIを利用することができます。生成AIとは、学習したデータをもとにコンテンツを生成するAIのことです。
採用においては企画や応募要項を作成する必要がありますが、これにAIを用いることで人間では思いつかない企画を作成したり、応募要項作成の時間を短縮したりといったことが可能です。
生成AIにはChatGPTやGeminiなどのようにテキストを生成してくれるもののほかに、画像を生成してくれるものなどがあります。これらを利用すれば、魅力的な募集要項を短時間で作成することができるでしょう。生成AIは比較的低コストで利用することができるという点もメリットです。
AIチャットボット
AIチャットボットも採用で活用できます。AIチャットボットとは、チャットでの質問にAIが自動で回答するものです。
採用活動においては、応募者は企業の特徴や制度、応募要項などについて疑問に思うことに回答しなくてはなりません。AIチャットボットにあらかじめそういった情報を学習させておけば、自動で回答をさせることができ、人が対応する手間をなくすことができます。AIチャットボットのなかには、音声で会話を行うことができるものもあり、面接を人の代わりに行うことができます。
また、応募受付や面接の予約などもAIチャットボットが自動で対応することができます。AIチャットボットを利用すれば、応募者への対応を自動化でき、担当者の工数を減らすことができるのです。
AIソーシング
採用においては、AIソーシングという手法も用いることができます。AIソーシングとは、データベースの大量のデータを分析し、ニーズに合ったものを提案してくれるというものです。採用では、大量の候補者データのなかから、自社の求める人材をすぐさま提案してくれるのです。
AIソーシングを用いることで、人がデータを検索する手間をなくすことができますし、主観によるぶれや属人性をなくすことができます。システムのなかには、候補者の現在の就職活動の状況などを反映して、より採用に適したタイミングを知ることができるものなどもあります。
AIマッチング
採用においてはAIマッチングも利用できます。AIマッチングとは、求職者のスキルや経験、志向を分析し、企業の募集要項と照らし合わせ、結びつけるサービスです。
AIは膨大なデータを分析・学習することができるので、求職者のデータから最適な人材を提案してもらえるとともに、応募者にも企業をアピールし、マッチングの獲得を促進します。よりスムーズにお互いがマッチングすることで、応募獲得の負担を減らすことができます。
マッチングしたあとの候補者とのやりとりもAIがサポートしてくれるので、より効率的に採用活動を行うことができます。

採用AI導入企業の事例
採用AIは様々な企業で導入されていますので、その事例を紹介します。
エントリーシートをAIで判定
ソフトバンクでは、2017年5月より新卒採用のエントリーシート評価にAIを導入しています
。それまでは、応募が1月から3月に集中することもあり、エントリーシートの評価に多くの時間がかかっていました。
ソフトバンクでは、エントリーシートのテキストを解析して「合格」「不合格」のカテゴリに分類するという振り分けにAIを利用しています。AIの評価は100%正確というわけではないので、不合格とされたエントリーシートを担当者が読み、誤判定を防いでいます。
この結果、エントリーシート評価の時間を年間680時間から170時間に減らすことに成功したそうです。担当者は内定者のフォローや面接などに注力できるようになったとのことです。
一次面接をAIが代行
キリンホールディングスでは、新卒採用の一次面接でAI面接官のトライアル導入が決定しています。AI面接官がエントリーシートを読み込み、社会人基礎力の能力を評価します。生成AIがベースになっており、人と同じような自然な会話を実現しています。
中長期の視点で人財マッチングの精度を高め続けられることや、面接動画を通じて初期段階で多くの学生と接点を持てることに価値を考えているとのことです。
AIが学生の社会人基礎力を判定
阪急阪神百貨店では、2018年度新卒採用の本選考からAI採用を導入しています。
AIによる分析・評価により全学生の基礎力を公平に判断するとともに、録画した面接データをAIが分析して社会人基礎力を測定しています。さらに、オンデマンドとライブという2つのスタイルで面接を実施しています。
今までとは異なる次元の優秀な層と多様な人材を発掘できたとともに、業務の効率化によって学生にかけられる時間が増えたとのことです。
まとめ
AIを利用することで採用に大きなメリットが得られますし、採用においてAIを利用している企業は増えてきています。自社のニーズに即したAIシステムを導入することで、採用にかかっているコストを減らしたり、より自社に合った人材を採用できる可能性があります。求職者にポジティブな印象を与えられ、応募を増やせる可能性もあるのでAIシステムを検討してみてください。
「接客オンデマンドAI」は、対話型AIが自動で面接を行ったり、AIチャットボットに求職者からの質問に回答させたりといったことができるサービスです。自社情報や選考基準、質問事項などを学習させることで、対話型AIが会話をしながら面接を行います。さらに、AIチャットボットを設置することで、応募者からの質問にも自動で回答することができます。
「接客オンデマンドAI」では導入支援・運用支援が充実しており、専属の担当者が導入や運用をサポートするので、自社にITに詳しい人材を用意する必要がありません。負担少なく導入ができるので、ぜひご検討ください。