企業のメンタルヘルス対策にAIは有効?メリット、おすすめサービスを紹介
現代では、メンタルヘルスは企業が必ずといっていいほど対策をしなくてはならない問題です。メンタルヘルス対策によって、従業員の心身を健康に保つことができますし、離職を防ぎ、生産性を高めることができます。
近年では、技術の発達とともにメンタルヘルス対策にもAIを用いたサービスが登場しています。ここでは、AIを利用したメンタルヘルスの方法やメリット、サービスについて解説します。
メンタルヘルスの現在
メンタルヘルスは現在の日本において重大な問題になっていますが、どのような状況なのでしょうか。データをもとに解説しておきます。
メンタルヘルスに不調がある人はどれくらい?
まず、メンタルヘルスに不調がある人はどれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策の現状等」の「メンタルヘルス不調により休業または退職した労働者がいる事業所の割合」を見ると、令和4年ではメンタル不調によって連続1か月以上休業した人、もしくは退職した人がいる割合は13.3%となっています。多くの事業所でメンタルに不調を抱える人が存在していることがわかります。また、この割合は平成30年と比べると増えています。
「メンタルヘルス不調により休業または退職した労働者の割合」でも、0.8%の人が休業もしくは退職をしていることからも、メンタルヘルス対策が喫緊に求められていることがわかります。
メンタルヘルスへの取り組み状況
では、企業のメンタルヘルスへの取り組み状況はどのようになっているのでしょうか。
上の調査の「メンタルヘルス対策の実施状況」を見ると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%となっています。半数以上がメンタルヘルス対策を実施していることがわかります。
事業所の規模別にみると、規模が大きくなるに従って対策の実施割合は大きくなり、50人以上では91.1%が対策をおこなっていますが、10~29人では55.7%となっています。今後は小規模な企業でもメンタルヘルス対策が求められるでしょう。
企業にとってメンタルヘルス対策は重要
メンタルヘルス対策が求められていることはわかりましたが、なぜそれほどまでに重要なのでしょうか。ここで今一度その重要性を確認します。
メンタルヘルスによるリスク
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの資料「経営リスクとしてのメンタルヘルス」によると、メンタルヘルスには「生産性の低下」「コスト負担」「イメージダウン」のリスクがあるとされています。
メンタルヘルスの不調があると、注意力や意欲の低下によってヒューマンエラーが増加し、不良率や事故発生などのリスクが高まります。また、周囲にも悪影響を及ぼしますし、人事担当部門の負担が大きくなります。それによって、企業全体の生産性の低下につながるでしょう。
メンタルヘルスの不調が起きると、企業は医療費や傷病手当金、労災補償などの費用を負担しなくてはならないですし、訴訟になった場合には訴訟費用や賠償費用が必要になります。休職や退職による欠員補充費用などもかかってきます。このように、メンタルヘルスによってコスト負担が発生するリスクがあるのです。
また、メンタルヘルス対策が不十分だとみなされてしまうと、企業のイメージは大きく損なわれてしまう可能性があります。それによってロイヤリティ低下、売上低下などが起こってしまうかもしれません。
メンタルヘルス対策で重要なポイント
メンタルヘルス対策を実施するときには、どのように行えばいいのでしょうか。ここでは、メンタルヘルス対策を行うときに重要なポイントを紹介します。
「職場におけるメンタルヘルス対策の現状等」によると、職場におけるメンタルヘルス対策は以下の順で行うのがよいとされています。
- 一次予防: メンタルヘルス不調の未然防止
- 二次予防: メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応
- 三次予防: 職場復帰支援
労働者のストレスマネジメントの向上、職場環境等の把握と改善を行うことで予防するとともに、相談対応や早期発見、適切な対応を行います。さらに、職場復帰支援プログラムの策定や実施、主治医との連携によって職場復帰を支援するのです。
メンタルヘルス対策にはAIを活用できる
メンタルヘルス対策のプログラムやサービスには様々なものがありますが、AIを取り入れたものも生み出されています。メンタルヘルス対策には、様々な形でAIを利用することができます。
AIはメンタルヘルス対策の指針である一次予防・二次予防・三次予防のすべてにおいて活用することができます。ここでは、どのようにAIを活用できるかを解説します。
まず、AIを用いることで、メンタルヘルスに関する教育や啓蒙を行うことができます。非言語情報なども分析することが可能になり、メンタル状態のチェックや日々のケアなども行えます。そして、メンタルヘルスに不調を抱えた人に対しても、気づきを与えたり、自身のメンタルの状態のチェックなど、様々な面でAIを活用することができるのです。
AIをメンタルヘルスに取り入れるメリット
企業がAIをメンタルヘルス対策に取り入れるのには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
早期発見ができる
AIによって、メンタル不調者の早期発見が可能になります。
AIシステムのなかには、問答形式や会話における音声などで日々の心理状態、メンタルの状態をチェックすることができるものがあります。こういったシステムを使うことで、メンタルに不調を起こす前の発見が可能になるのです。
自身のストレスに気づき、事前にストレスへ対処したり誰かに相談したりといったことが可能なので、メンタル不調者を減らすことができます。また、メンタルに不調を起こしている人が悪化することを防げる可能性があります。
コストを抑えられる
AIをメンタルヘルス対策に取り入れることで、コストを抑えることができます。
オンラインカウンセリングやストレスチェックなどのメンタルヘルス対策のシステムを取り入れたり、産業保健師に依頼したりするには一定のコストがかかります。社員数が多くなればその分費用がかかるでしょう。
AIであれば様々な機能が備わっており、多くのメンタルヘルス対策をひとつのAIシステムで対応することができます。また、人を採用するよりも費用を抑えることができるので、メンタルヘルスにかかるコストを抑えることができます。
利便性を高められる
AIを企業のメンタルヘルス対策に取り入れることで、利用者の利便性を高めることができます。カウンセリングをする場合にはオンラインで行う場合でも時間を調整する必要がありますし、ストレスチェックや日記なども手間がかかるものも多いです。
AIであればスマートフォンからストレスチェックやカウンセリングを簡単に行うことができるものが多く、時と場所を選ばずメンタルヘルス対策を行うことができます。音声で会話をすることで短時間でチェックができるものなどもあります。
利便性が高いことで、日々のチェックや相談、改善のための施策などをもれなく行うことができるでしょう。
相談のハードルを下げられる
AIの場合には、カウンセリングなどでの相談のハードルを下げることができ、発見が遅れるということを避けられます。
メンタルに不調を感じても、カウンセリングを受けるというのはハードルを感じるものです。精神的に問題があるとは信じられなかったり、不調があることを認められなかったりするのです。また、相手が人であることからも、自分の問題を話しにくいということもあるでしょう。
しかし、AIであれば人間ではないので本心を話しやすいですし、不調を感じたときに気軽に相談することができ、早期発見につながります。
メンタルヘルスAIサービス3選
メンタルヘルス対策になるAIサービスには様々なものがあります。ここでは3つほど紹介します。
COCOPRO(ココプロ)
引用:COCOPRO(https://www.mri.co.jp/service/mental-care-ai-service-cocopro.html)
COCOPROは、三菱総合研究所が開発したメンタルヘルスツールです。
過去にメンタルケアが必要になった従業員のデータを蓄積し、その特徴をAIに学習させます。その結果をもとに、従業員の勤務状況や評価データ、人事関連データをAIが分析をし、心の健康状態をAIが数値化してくれます。それによって、メンタルに異変が起こっている人の早期発見が可能になります。
そして、健康状態が低下しているような場合は、従業員向けの支援プログラムや産業医や外部サービスに相談することが可能です。
アウェアファイ
引用:アウェアファイ(https://www.awarefy.com/)
アウェアファイは、認知行動療法やマインドフルネスといった科学的に根拠のある心理学の理論を取り入れたAIアプリです。
スマートフォン上のAIアプリであり、AIと会話をしたり、日々の出来事について記録することで、自身のコンディションや心の状態をAIが分析してくれます。AIによって気づきを与えることで早期に発見ができるとともに、自身のケアを行うことができます。
現在は個人での利用になりますが、法人向けサービスである「Awarefy forBiz」が現在開発中であり、企業全体で利用することができるようになる予定です。
ビーモーション
ビーモーション株式会社は、接客オンデマンドAIという対話AIサービスの開発・運用支援を行っている企業です。ビーモーションでは、AIを用いたあらゆるシステムの開発を行うことができます。
メンタルヘルス対策においては、AIアバターからカウンセリングを受けられるサービスを開発することができます。LLMを利用したAIであり、相談者の発話を理解し自然な日本語で会話をすることができます。会話をしながら自身の心理状態を話したり、自身の行動を振り返ったりということができます。
専門医と提携することで、医療的なノウハウを取り込んだ、より有効なシステムを作ることができるでしょう。また、ストレスチェックや日記機能などをつけることもでき、ひとつのAIシステムであらゆる課題に対応することができます。
サポートも充実しているので、社内にITに詳しい人材がいなくても運用を行っていくことができます。
まとめ
企業はAIを用いることで、メンタルヘルス対策に対して様々なメリットを得られます。そして、メンタルヘルス分野においてはAIを使ったサービスが多く生み出されています。自社の規模や目的に合ったものを利用するのがよいでしょう。
ビーモーション株式会社では、生成AIを用いた対話AIシステムの開発・運用の支援を行っています。AIと会話をしながらメンタルの不調をチェックするシステムや、自身の感情をAIに対して吐き出すことで不調を緩和するシステムなどを開発することができます。
接客に関する対話AIシステムを運用しているからこそ、自然な日本語で会話ができるAIシステムを作ることができます。要件定義や運用などは専門のスタッフが行うなど、サポート体制が充実しているので、社内にIT人材を採用する必要がありません。ぜひご相談ください。