接客ロボットとは?ロボットのメリット・デメリット、事例を紹介

今、飲食店や宿泊施設、交通機関などでは、接客ロボットの導入が急速に進んでいます。接客ロボットはAIを活用したものなど、自動化ができるものも多く、人が対応することなく接客ができるのでとても便利です。
ただ、接客ロボットの活用はまだ始まったばかりなので、導入しようと思っているけれど以下などが気になる方もいるのではないでしょうか。
「本当に人手不足を解消できるのか?」
「自社のオペレーションに対応できるのか?」
「顧客が不便を感じないか?」
そこでこの記事では、サービス業における接客ロボットやAIを活用することのメリット・デメリットを紹介するとともに、導入時の課題について解説します。活用事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
接客ロボットとは?
接客ロボットとは、対面での接客を想定したプログラムが組まれていたりAIを活用することで、お客様への接客を人に代わって行ってくれるロボットのことです。お客様からの質問に答えたり、自分で移動して案内や配膳をしたりといった接客を行います。
主に以下のようなシーンで活用されています。
- 飲食店や宿泊施設の受付
- 飲食店の配膳
- 商業施設や空港内の案内
接客ロボットのニーズが高まっている背景には、慢性的な人手不足、アフターコロナに向けた新しい販促、内閣府が主導するAIとロボットの共進化1)などが大きく影響しています。
AIでの接客については以下の記事で詳しく解説しています。
『AIは接客にも活用できる?メリットや課題、導入事例を紹介』
1)内閣府「ムーンショット目標3 2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」
接客ロボットの種類
接客ロボットは、現場のニーズに合わせて様々なものが開発されています。ここでは、実用化されているロボットはもちろん、実証実験中のロボットもタイプ別に紹介します。
1.配膳ロボット
配膳ロボットとは、AIやセンサー技術によって、自動で配膳ができる接客ロボットのことです。カメラで料理を認識したり、音声で操作できる機種もあります。
自律走行ができるため、活用シーンは配膳に留まりません。商業施設内でのチラシ配布や、デジタルサイネージを取り付けて広告を配信することも可能です。
代表的な機種
- BellaBot(ベラボット)
- PEANUT(ピーナッツ)
- Servi(サービィ)
2.自律型対話ロボット
自律型対話ロボットとは、ユーザーが話しかけた内容に対して適切な返答を自動的に生成する接客ロボットのことです。
現時点では店舗や施設の受付、案内業務を中心に活用されていますが、コミュニケーションロボットとして医療や介護、教育の現場でも実証実験が進んでいます。
代表的な機種
- Pepper(ペッパー)
- unibo(ユニボ)
- Sota(ソータ)
- cruzr(クルーザー)
- Kebbi Air(ケビーエア)
3.自己推薦ロボット
自己推薦ロボットとは、商品そのものに動く・話しかけるなどの生命感を付与して、商品自らが機能や利便性を推薦する自律型の接客ロボットのことです。
株式会社サイバーエージェントなどが実用化に向けて実証実験を開始2)しており、無人化が進むコンビニやスーパーなどで、POPやサイネージ代わりに導入されることが予測されています。
販売対象の商品が直接ユーザーに話しかけることで、メッセージ性の高い販促効果を得ることが狙いです。
2)「AI Lab、2種類のロボットによる分業型推薦の販促効果について実証 ~グリーンローソンで、DXを加速させる新たな接客コミュニケーションを目指し実証実験を開始~」
遠隔操作型ロボット(ロボット型アバター)
遠隔操作型ロボットとは、人間が遠隔で操作する接客ロボットのことです。
飲食店のオーダー、施設のインフォメーションカウンターなどで導入が進んでいます。操作する人間は、ディスプレイやVRゴーグル、ロボットアームシステムなどを介してユーザーとコミュニケーションが取れます。このロボットは人が操作するのでAIなどは利用されません。
遠隔操作型ロボットは様々な分野で実用化に向けて研究が行われており、障がい者の就労を支援する実証実験も行われて3)います。
代表的な機種
- Orihime(オリヒメ)
- MORK(モーク)
- mini MORK(ミニモーク)
3)「ローカル5Gと通信品質制御技術を用いた遠隔ロボット操作の実証実験を分身ロボットカフェDAWN ver.βにて実施」

接客ロボットを導入するメリット
接客ロボットを導入するメリットは以下の6つです。
- 人的コストの削減
- 国や自治体の補助金
- サービス品質の向上
- 多言語対応(英語・中国語・韓国語など)
- 顧客満足度の向上
- 顧客データの蓄積・活用
それぞれについて説明します。
人的コストの削減
接客ロボットによって、人的コストを削減できます。
AIなどを使用した自律型ロボットは人間の代わりに働けるため、新人育成や欠員補充など採用に関わる業務を削減できます。採用費をはじめ、面接の時間やシフト作成の負担も軽減できるでしょう。
また、人間が操作する遠隔型ロボットであれば、従業員の制服代や交通費、賄いなどの福利厚生費を削減できます。このように人的コストを抑えることができるのです。
国や自治体による補助金がもらえる
接客ロボット導入に取り組む中小・中堅企業には、以下のような補助金制度が用意されています。
制度名 | 対象 | 補助 |
---|---|---|
小規模事業者持続化補助金 | 常用雇用20人以下の小規模事業者 | 対象経費の2/3もしくは3/4。上限50万円もしくは100万円。 |
ものづくり補助金 | 中小企業または特定事業者の内、別途定める従業員数に満たない事業者 | 対象経費の1/2もしくは2/3。上限750万円〜1250万円。 |
事業再構築補助金 | 中小・中堅事業者かつ別途定める売上規定に該当する企業 | 中小企業は対象経費の2/3、中堅企業は対象経費の1/2。上限100万円〜8000万円。 |
※2023年2月現在
このほか、ロボット活用を促進するために、独自の制度を設けている自治体もあります。導入検討の際は、自治体に直接問い合わせてみましょう。
ロボットに利用できる補助金は、以下の記事で詳しく解説しています。
『ロボット導入に利用できる補助金、助成金とは?補助金の種類を紹介』
サービス品質の向上
接客ロボットによってサービス品質を底上げできます。人間は個人の能力や知識にバラつきがあり、たった1人の印象が悪いだけで評判が落ちてしまうこともあります。ロボットではそのような心配がありません。
自律型ロボットはサービスに合わせて最適なプログラムが組めますし、遠隔型ロボットは1人で複数の事業所を掛け持ちできるため業務を標準化できます。
接客ロボットの導入によって、サービスの質と生産性を高められるのです。
多言語対応(英語・中国語・韓国語など)
多言語対応の接客ロボットを活用することで、インバウント対策ができます。
たとえば、遠隔操作型ロボットの「OriHime-D」には、声色そのままで多言語翻訳できる「クロスリンガル音声合成技術」が搭載されています。
ホテル、旅館、小売業、飲食店など訪日外国人の多い業態が接客ロボットを導入すれば、さらに売り上げを伸ばせるでしょう。また、語学スキルのある人材の採用コストも抑えることができます。
多言語対応については以下で解説しています。
『多言語対応するには?多言語対応の方法、メリット、サービスを紹介』
顧客満足度の向上
接客ロボットは顧客満足度の向上に役立ちます。
お客様の中にも、「生身の人間だと声をかけづらい」「販売員の声掛けが苦手」と感じている人はいます。
羽田空港が遠隔接客ロボットの「mini MORK」を導入したところ、実証実験の段階で人間のスタッフの10倍以上の利用率を記録しました。また、正式導入後も人間のスタッフの対応数を常に上回って4)います。
このようなことから、単にロボットが目新しいだけでなく接客ロボットの手軽さや利便性を好む人も多いと考えられます。AIへの興味というのも顧客の心をくすぐるでしょう。
4)NVIDIA「羽田空港で活躍中の遠隔接客ロボットがNVIDIA Jetsonを搭載してリニューアル」
顧客データの蓄積・活用
接客ロボットではデータを蓄積することができます。搭載されているAIカメラで、人物や空間を的確に検知できます。
従業員の様子や店内の混雑状況を把握してオペレーションに通知したり、お客様の表情や声色、身振りなどを可視化して接客品質を高めたりできます。
また、動線分析ツールと連携することで、最適な商品陳列や什器レイアウトを導き出せます。
ロボット接客のデメリット
ロボットによる接客のデメリットについて解説します。
ロボット操作の教育が必要
接客ロボットを導入する前に、従業員向けにロボット操作の教育が必要です。
電源のオン・オフ、完了ボタンや緊急停止ボタンの位置、ボディのメンテナンスや充電方法などを指導するほか、遠隔操作のオペレーターに関しては、マニュアルを読み合わせる研修会などを実施する必要があります。
イレギュラーに弱い
接客ロボットの多くは、配膳・受付・対話・道案内など特定の作業に特化しているため、人間のように1人で複数の業務をこなすことはできません。
マニュアルが作れるほど判断基準が明確になっていれば接客ロボットの導入は比較的スムーズですが、都度判断が求められる業務は分岐が多すぎて複雑なため、現時点では人間の方が適しています。
業務実態に合わせてプログラムを最適化する必要がある
接客ロボットのプログラムは、設置する場所や環境、時間によって大きく変わってきます。
店舗や施設に接客ロボットを導入して終わりではなく、その効果を最大化するために分析と改善を繰り返しながら運用する必要があります。
システムを導入する際には、こういった運用面までサポートしてくれる会社を選ぶのがよいでしょう。AIの場合は、AIが学習する時間や工数も必要になります。

ロボット接客の課題
ロボット接客の今後の課題について説明します。
ロボットが動きやすい店舗設計
現状の店舗や施設は、接客ロボットに適した設計になっていないことも多いです。
配膳ロボットであれば、稼働に最適な通路幅、床材、フロアコーティング剤、対話型ロボットであれば騒音、BGM、スピーカーの位置、話しかける顔の位置や角度を考慮する必要があります。
経済産業省はロボット導入促進に向けて、ロボットを導入しやすい環境(通称:ロボフレ環境)の支援措置を進めています5)。
接客ロボットを導入しやすい環境へと変革できれば、パフォーマンス効率を大幅に高められるでしょう。
5)経済産業省「ロボットフレンドリーな環境の実現に向けた取組が加速しています~各予算事業の採択に加えて、ロボフレ推進法人の新設などの取組~」
価値とコストのバランス
接客ロボットを活用し続けるには、導入によって得られる価値がコストを上回っていなければなりません。
接客ロボットの導入には、本体や周辺機器、設計、組み立てなどのイニシャルコストと保守・サポート契約費などのランニングコストもかかります。ロボットの導入には補助金なども活用できる場合があります。以下の記事などを参考にしてください。
『ロボット導入に利用できる補助金、助成金とは?補助金の種類を紹介』
また、遠隔操作型ロボットの場合は、1人が複数のロボットを操作できるような環境を整えることも重要です。
接客オンデマンドは、アバター接客や無人受付でコストのスリム化を実現します。
接客オンデマンドの接客ロボット
接客オンデマンドは、店舗や施設のDX化をサービスです。接客オンデマンドでは、店舗や受付で利用できるロボットも提供。AI受付型サービスロボット「MINI」を採用しています。
この接客ロボットには、音声会話・案内・ツアーガイド・パトロール・ダンスの機能があり、あらゆる接客を行ってくれるので、コスト削減、作業効率、サービスの向上を実現できます。
レストラン、不動産、医療・介護施設、教育機関、オフィスホール、ホテル、公共施設などで活用することができます。
また、接客オンデマンドはオンライン接客やAIアバター、バーチャルショップ制作などにも対応しており、包括的にお客様のDX化を支援します。導入だけでなく、運用時におけるメンテナンス、データ分析、改善提案など、ワンストップでサポート。オペレーターなどの人材提供も行っており、お客様のリソースまでも支援します。
接客ロボットの導入を検討されている方はぜひお問い合わせください。

まとめ
接客シーンにおけるロボット活用は日々進化しています。
ロボットのほかにも、モニター上で従業員がCGキャラクターに扮するアバター接客なども注目を集めており、近い将来ロボットやアバターが接客を担う時代が訪れるかもしれません。
接客オンデマンドは、接客ロボットの導入、アバター接客、バーチャル店舗、AIチャットボット、AIアバターなどを活用して、戦略立案から実行検証まで総合的なサービスを提供します。
接客オンデマンドではAI受付型サービスロボットの「MINI」を採用。音声会話、案内、ツアーガイド、パトロールなどを行います。
運用面における手厚いサポートのほか、遠隔操作のオペレーション人材の提案も可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。