人材育成にAIを活用するメリットとは?ツールや活用事例も紹介!

AIを人材育成に活用することで、さまざまなメリットが得られます。しかし、人材育成にAIを利用することでどのような効果が得られるのか、どうやって活用すればいいのか、どんなAIツールを選べばいいのかなど疑問を持たれる人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、人材育成にAIを活用するメリットや活用できるツール、具体的な活用事例を紹介します。導入における注意点についても解説するので参考にしてください。
人材育成にAIを活用するメリットとは?
人材育成にAIを活用するメリットとはどのようなものなのでしょうか。
コスト削減
人材育成にAIを活用することで、コスト削減効果が期待できます。従来の人材育成では、講師の人件費や会場費、教材作成コストなど多くの費用がかかっていました。しかし、AIを導入することで、そういった費用を抑えることができます。
対話AIを利用すれば講師が不要になりますし、いつでもどこでも学習やロールプレイングが可能になります。また、同じプログラムを複数の社員に繰り返し提供できるため、追加コストをかけずに継続的な教育が行えます。学習データの蓄積によって、進捗状況や理解度に応じた最適な指導も可能となり、無駄な研修時間を減らすことができます。
AIを活用した人材育成は、企業の教育コスト削減に大きく貢献するでしょう。
教育担当者の負担軽減
人材育成にAIを導入することで、教育担当者の負担を軽減することができます。
教育担当者は、研修資料の作成、研修の実施、進捗管理、質問対応、理解度の評価などの業務を行わなくてはならず、大きな負担を抱えることになります。AIを活用することで、これらの業務の多くを自動化・効率化できるため、担当者の作業量を大きく減らすことが可能です。
例えば、対話AIを用いれば教育担当者が個別に研修やロールプレイングをする必要がなくなります。さらに、学習内容に関する理解度テストや進捗状況の管理もAIが自動で行ってくれるため、担当者はより戦略的な教育計画の立案やフォローアップに集中できるようになります。AIを用いることで教育担当者の負担を大きく減らすことができるのです。
属人化の防止
人材育成にAIを活用することで、教育内容やノウハウの属人化を防ぐことができます。
人材育成を人が行う場合には、教育の質が担当者のスキルや経験に左右されやすく、ノウハウが個人に依存してしまうリスクがあります。こういった状態だと担当者のリソースに影響されてしまうため育成のスピードが遅くなりますし、担当者が異動や退職をしてしまうと育成体制が崩れたり、再構築に時間とコストがかかったりする恐れがあります。AIを活用することで、このような問題を解決できる可能性があるのです。
AIは個人のスキルに依存せず、誰がいつ受講しても一定の品質を保ったトレーニングを提供できるため、ノウハウの属人化を防ぐことができます。さらに、受講者の理解度や進捗も自動的に記録・分析されるため、担当者が変わっても継続的な育成が可能になります。このように、AIを導入することで人材育成における属人化を防ぎ、組織全体でノウハウを共有・蓄積できる体制を構築することができるのです。
成果の可視化
人材育成にAIを活用することで、育成の成果を可視化することが可能です。
AIを活用すれば、従業員一人ひとりの学習進捗やスキルの習得状況を数値化することができます。これらのデータをもとに個々の成長度合いや課題点を把握することができ、より効果的な育成方針の策定が可能になります。また、AIによるデータ分析により、どの研修プログラムが効果的であったかが明確になり、育成施策の改善にもつながります。
曖昧だった教育効果が数値として示されるようになり、上司や人事部門も育成の成果を正確に評価できるようになるでしょう。このようにAIを活用することで人材育成の成果を可視化し、より効果的な育成施策の実現が可能になるのです。
人材育成に活用できるAIツール・サービス一覧
人材育成に活用できるAIにはどのようなものがあるのでしょうか。
接客オンデマンドAI
「接客オンデマンドAI」は、接客や販売、営業支援を行っているビーモーション株式会社が提供する、対話型生成AIを活用した接客・教育支援ソリューションです。AIを用いてスタッフのスキル向上と教育の効率化を実現します。
AIアバターが顧客役を演じ、実際の接客シーンを再現。ターゲットシチュエーションに合った人格を持ったAIがロールプレイングを行います。これにより、スタッフは現場に近い形でのトレーニングが可能となります。
さらに、AIが対話内容や質を評価し、良い点や改善点をフィードバックします。声のピッチや抑揚、表情からわかる自信度などを科学的に解析し、具体的な改善策を提示します。
PCやタブレットなど、複数同時接続ができ、さまざまなデバイスで利用可能です。24時間いつでもどこでも繰り返し練習ができ、場所や人材リソースに関係なく人材育成を行うことができます。
リスキリング・プラットフォーム「Generalist」
「Generalist e-University」は、東芝デジタルソリューションズが提供するAI搭載の学習プラットフォームです。
東芝の独自AI技術とマイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用し、学習者の属性や理解度に応じて最適な教育コンテンツをレコメンドします。ITスキル、マネジメント、DXなど、700種類以上の教育コンテンツが用意されており、学習者は自身のニーズに合わせて学習を進めることができます。
AIによる個別最適化された学習支援と豊富な教育コンテンツ、ポイント制を組み合わせることで、中小企業の人材育成を効率的かつ効果的にサポートすることができます。
タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューション
『タレントマネジメントシステム「カオナビ」×人材育成ソリューション』は、NTT ExCパートナーと「カオナビ」が連携したサービスです。
「カオナビ」に蓄積された社員一人ひとりのスキル、経験、評価、志向性などの詳細なデータを、NTT ExCが提供する人材育成のノウハウと組み合わせることで、個別最適な育成プランの設計・実行を行ってくれます。
課題設定・予測、振り返り、改善提案までを繰り返し、やりっぱなしを防ぎ、成果につなげてもらえます。

人材育成にAIを導入するときの注意点
人材育成にAIを導入するときには注意すべきポイントがあります。
AIに任せすぎると人間的な育成が不足する
人材育成を目的としてAIを導入する際には、気をつけたほうがよい注意点があります。
AIは自律的に研修やロールプレイングを行ってくれますし、個々の進捗を数値で可視化できるため効率的な育成を実現できます。しかし、人間的な関わりを通じて得られる育成機会が不足する懸念があります。
具体的には、部下の表情や声のトーンから気持ちを汲み取り、励ましたりアドバイスをしたりするような対応はAIでは難しいでしょう。また、コミュニケーション能力やチームワーク、主体性などの育成はAIでは限界があるため、指導者や先輩社員による直接的なサポートが必要になります。
導入コストと社内体制の整備が必要
人材育成にAIを導入するには、導入コストの確保と社内体制の整備が必要です。
AIツールの導入には、システム構築にかかる費用のほか、従業員が使いこなせるようにするための教育やマニュアル整備などの教育コストも必要になります。また、AIを効果的に運用するためには、専門知識を持った人材の確保や運用体制の構築が必要です。業務フローや評価制度の見直し、関係部門との連携強化といった組織全体の対応も求められます。
このようにコストや体制の整備などが必要になるので、長期的な視点で用意・計画を行うのがよいでしょう。
プライバシーや学習データの取り扱いに注意
人材育成にAIを導入する際には、プライバシーや学習データの取り扱いに十分な注意が必要です。
AIは個人情報を蓄積しますし、企業の機密情報などが含まれる場合があります。AIが作成するアウトプットには、これらの情報が意図せず反映される可能性があるため、十分なリスク管理が求められます。
個人を特定できる情報については、可能な限り匿名化を行い、プライバシーを保護する措置を講じるとともに、情報の取り扱いに関しては社内でのガイドラインを整備するとともに、法令や規制を遵守することが重要です。また、AIに学習させるデータは、目的に応じて選別することも有効でしょう。
AIによる人材育成の成功事例
AIによる人材育成の成功事例を紹介します。
アフラック
アフラック生命保険は保険代理店向けに営業担当者の教育AIを開発しました。新人を含む営業担当者はAIアバターを相手にロールプレイングをすることで、営業スキルを実践的に習得できます。
ロールプレイングの内容をAIが音声を認識することでチェックし、会話の中で挙げるべきキーワードが盛り込まれているかを分析・評価してくれます。
利用から1年後、営業担当者が新規契約を獲得した挙績を見ると、AIによる研修を受講し終えた営業担当者は未完了の営業担当者に比べて約1.3~1.5倍の成績を収めたとのことです。
IBM
IBMは、AIコーチングツール「Watson Career Coach」を導入することで、従業員のキャリア開発を支援しています。
このコーチングツールは、プロジェクトの達成度、営業成績などの対象者のパフォーマンス、コミュニケーションスタイル、リーダーシップスタイル、問題解決スキル、他者から受け取ったフィードバックのデータを収集することで、従業員のパフォーマンスやキャリア目標を分析し、AIが個々に最適なアドバイスを実施することができます。
AIによって、パーソナライズされたコーチングが可能となっています。
オリックス生命
オリックス生命保険では、コールセンター部門に配属する新入社員の研修においてAIアバターとの対話を通じたスキル学習サービスを活用。ロールプレイング研修の約4割でAIを取り入れています。
研修では実際のコールに近い対話シナリオをAIに設定することで、現実に近い内容のロールプレイングを行うことができます。不適切な発言がないか、適切な敬語で対応しているかなども含め、評価基準に基づいて100点満点でAIが評価してくれ、個別にフィードバック。
管理者はそれぞれの研修の進捗や評価基準の達成度などを確認できますし、どのような受け答えをしたのか、対話内容のテキストログや動画記録も確認することができます。

まとめ
AIを人材育成に活用することでさまざまなメリットが得られます。コストやリソースの面だけでなく属人化の防止や成果の可視化など、より組織全体における人材育成の成果を高めることができるでしょう。人材育成AIツールは多く開発されてきていますので、自社の目的や現状に合ったツールを導入するのがおすすめです。
「接客オンデマンドAI」の教育AI・ロープレAIは、音声対話型AIがロールプレイングを代行
するサービスです。ターゲットシチュエーションに合った人格を持ったAIがロールプレイングを実施。生成AIを活用しているので、LLMの推測力や文章生成力を活かして、自然な対話をすることが可能です。
企業ごとの評価基準を学習したAIが専門家目線で対話の特長を分析。対話内容や声のピッチ、抑揚、表情などを科学的に解析します。場所や時間を選ぶこともないので、効率よく人材育成の成果を高めることができます。