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AIエージェントの活用事例10選!活用シーンや失敗事例も紹介

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AIエージェント

「AIエージェントの活用事例にはどんなものがある?」「AIエージェントはどんな業界や会社で有効?」「自社で導入したいけれど成功イメージが湧かない」のように考えている人も多いのではないかと思います。

AIエージェントによって業務効率化や自動化を大きく進められる一方、活用方法を誤ると期待した効果が得られないため、導入前に実際の活用シーンや事例を知っておくことが重要です。

そこでこの記事では、AIエージェントの活用シーンや最新のAIエージェント活用事例を紹介します。AIエージェントの活用で失敗した事例なども解説するので参考にしてください。

AIエージェントとは

AIエージェントとはどのようなものを指すのでしょうか。AIの発展は目覚ましく、さまざまなAIが登場しており、AIエージェントの意味も幅広い領域で使われる言葉へと変化しています。特に近年では、単なる応答型AIではなく、自ら状況を判断し目的に沿ってタスクを実行する、自律型システムとして語られることが増えています。

AIエージェントの定義

日経新聞によると、「AIエージェント」は『人間が具体的な指示をしなくても、AIが必要な作業を自ら考えて実行するサービスを指す』とされています。また、Wikipediaによると、『AIエージェント(AI agent)とは、一種の人工知能的機能を有するソフトウェアエージェント。ユーザーを補助し、繰り返し行うべきコンピュータ関連のタスクをユーザーに代わって行うエージェントである。通常のエージェントは、固定的なプログラムされた規則に基づいて操作者の補助やデータマイニング(ボットなどと呼ばれる)に使用されるのに対して、知的エージェントは学習し「適応」する能力を有する』とされています。

つまり、AIエージェントとは、人間の代わりにタスクを理解し、学習しながら最適な行動を自律的に選択・実行する存在を指します。

さらに、WikipediaではAIエージェントは以下のように分類されています。

  • バイヤーエージェント:ユーザーの代わりに商品やサービスを検索・比較し、最適な購入判断を支援するエージェント。
  • ユーザー/パーソナルエージェント:個々のユーザーの好みや行動を学習し、スケジュール管理や情報収集などのタスクを自動化するエージェント。
  • 監視エージェント:システムやネットワークの状態を常にチェックし、異常時に通知や自動対応を行うエージェント。
  • データマイニングエージェント:大量のデータから規則性やパターンを抽出し、分析結果を基に意思決定を支援するエージェント。

AIエージェントの導入状況

現在ではAIエージェントはどれくらい浸透してきているのでしょうか。ここでは導入状況を調べてみました。

ボストン コンサルティング グループのAIによるビジネスへの影響に関する調査によると、「従来型AIの導入率は過去8年間で72%、生成AIは3年で70%に達した一方、AIエージェントは登場からわずか2年ですでに35%の企業が導入を進めており、44%の企業が近く導入を計画していることがわかりました」とされています。

また、2025年に行われたAI活用に関するアンケート調査によると、『「生成AI」の次なる一手として「今後(も)活用したいAI」の回答結果に目を向けると生成AIに続き「AIエージェント」(10.6%)』が位置しているとされています。

このように、AIエージェントはすでに多くの企業で実証段階から本格活用へと移行しつつあり、次に取り組むべきAI領域として注目度が高まっていることがわかります。

AIエージェントの活用シーン

AIエージェントはどのような場面で利用することができるのでしょうか。

接客・顧客対応

AIエージェントは接客・顧客対応に活用することができます。

AIエージェントは問い合わせへの自動応答や案内、顧客情報に基づくパーソナライズ対応が可能であり、営業時間外でも迅速なサポートを提供できます。人手不足が課題となる企業においても、AIが一次対応を担うことでスタッフの負担を大きく軽減できるでしょう。

AIエージェントのなかには感情を分析するものやAIアバターなどがあり、より人に寄り添ったコミュニケーションを実現できる点も魅力です。AIエージェントを接客・顧客対応に導入することで、スピーディかつ丁寧な応対を実現でき、顧客満足度の向上と業務効率化の双方に大きく寄与することができるでしょう。

営業

AIエージェントは営業部門でも活用できます。AIが顧客データや過去の商談履歴を分析することで、顧客のニーズや購買可能性を高精度で予測し、営業担当者が優先すべき見込み客を自動で抽出できます。

さらに、AIエージェントがメールの自動返信、商談日程の調整、資料作成の補助などを行うことで、営業担当者はより付加価値の高い業務に集中できます。ほかにも、AIエージェントは商談中の会話内容をリアルタイムで分析し、最適な提案内容や次の質問案を提示する「営業アシスト」としても活用できます。これにより、経験の浅い営業担当者でも質の高い商談を進めやすくなり、商談全体の成功率向上につながります。

ヘルプデスク

AIエージェントはヘルプデスク業務においても利用できます。ヘルプデスクで問い合わせ対応の一次受付としてAIが稼働することで、ユーザーが抱えるトラブルや疑問に対して、24時間いつでも迅速に回答することができます。

AIエージェントは問い合わせ内容を自動で分類し、必要に応じて適切な担当部署へエスカレーションすることもできます。これにより担当者は自分が処理すべき案件だけに集中できるようになり、業務効率が大幅に向上します。ユーザーから寄せられた質問を自動で学習し、FAQを自動生成してくれるAIエージェントなどもあります。

人材育成

AIエージェントは人材育成の分野でも有効です。AIエージェントを利用することで、社員のスキルレベルや学習履歴をもとに必要なトレーニング内容を自動で分析し、それぞれに最適な学習プランを提示できるため、教育の質を均一化しながら育成効率を高められます。

AIエージェントが対話形式でロールプレイングを行ってくれるツールなどもあり、営業や接客、クレーム対応といった実践的な練習を行うことも可能です。相手役をAIが務めるため時間や人員を確保する必要なく、いつでもどこでも繰り返し練習ができます。

さらに、応対内容をAIが分析し、改善ポイントや評価フィードバックを自動で提示してくれるため、従来は属人的になりがちだった指導品質を一定水準に保てるのも大きなメリットです。

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戦略立案

AIエージェントは戦略立案の領域でも大きな力を発揮します。市場データや顧客情報、競合状況、社内の業務データなどを横断的に収集・整理し、意思決定に必要なインサイトを自動で導き出せるため、従来よりもスピーディかつ精度の高い戦略策定が可能になります。

さらに、AIエージェントは意思決定後の実行フェーズでも、KPIの進捗を自動でモニタリングし、状況に応じた改善案をリアルタイムで提示してくれるなど、戦略のPDCAを加速させる役割も果たします。

マーケティング

AIエージェントはデータ分析から施策の実行・改善などマーケティングに関わる業務において幅広く活用できます。

顧客データやアクセス解析データ、SNSの反応、過去のキャンペーン結果などをAIが自動で収集・分析し、ターゲット設定や最適な訴求ポイントを導き出します。たとえば、AIエージェントが「どの顧客層が購入しやすいか」「どのチャネルに予算を配分すべきか」などの洞察を提示したり、広告文案やSNS投稿案を自動生成して、担当者の作業時間を大幅に削減することも可能です。

さらに、顧客ごとに最適なコンテンツを自動生成するパーソナライズ施策や、見込み客の行動をもとにスコアリングを行うリードナーチャリングにも活用できます。

資料作成

AIエージェントは資料作成の業務効率化にも貢献します。企画書、提案書、報告書、社内プレゼン資料など、目的に応じて必要な構成案を自動で生成し、文章・図表・スライドデザインまで一括で作成できます。担当者はゼロから資料を作る必要がなくなり、短時間で高品質な資料を整えられるようになります。

また、AIエージェントは与えられたデータや議事録、既存資料を読み取り、要点の整理や構成の修正も自動で行うため、論理性の高い資料を効率よく作成できる点もメリットです。

バックオフィス業務

AIエージェントは、経理・総務・人事などのバックオフィス業務でも有効です。請求書処理や仕訳、勤怠管理、社内問い合わせ対応といったルーティン業務を自動化できるため、担当者の作業負担が大きく軽減されます。

また、社内規程やナレッジを整理して必要な情報を即時に提示できるため、業務の属人化防止にも効果的です。AIが事務作業のアシスタントとして機能することで、スピーディで正確な運用が可能になります。

プログラミング

AIエージェントはプログラミング作業の効率化にも活用できます。コードの自動生成やデバッグの補助、リファクタリングの提案などを行い、開発者がより本質的な設計や改善に集中できるようになります。

また、仕様書や要件を入力するだけでサンプルコードを生成したり、既存コードを解析して改善点を指摘したりすることも可能です。初心者の学習サポートから実務レベルの開発補助まで、幅広い場面で役立つでしょう。

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AIエージェントの活用事例10選

ここからは、実際に企業で活用された事例を紹介します。

1.AIアバターとの対話で新入社員の顧客応対スキルを育成

オリックス生命保険では、新入社員のコールセンター研修でAIアバターによるロールプレイングを導入。従来は新入社員に対し、約5人のベテラン社員が2カ月間マンツーマンで教育を行っていましたが、人員負担が大きく研修品質の均一化にも課題がありました。そこで対話型AIロールプレイングサービスを採用し、実際のコール対応に近いシナリオをAIアバター相手にトレーニングできる環境を構築。

コールセンターに蓄積されたノウハウやスクリプトを基にAIが発話内容を分析し、不適切な発言の有無まで自動でチェックします。これにより、新入社員の学びの質が向上し、研修担当者の負担軽減にもつながったとのことです。

ビーモーションでは、教育AIやロープレAIを提供しています。詳しくはこちらのサービスページをご覧ください。

参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/27834

2.AIエージェントが模擬面接を実施

室蘭工業大学のキャリア・サポート・センターでは、AIエージェントによる模擬面接システムを導入。学生が志望企業名を入力し、エントリーシートをアップロードすると、AIが内容を分析して個別に質問を生成します。回答内容に応じて追加質問も行い、実践的な面接練習が可能です。

終了後には「成果を具体的に述べられていた」「話すスピードを意識するとさらに良い」など、改善点を含むフィードバックを提供してもらえます。年間200〜250人の学生が利用する同センターでは指導リソースが不足していましたが、AI導入により対応力が向上。蓄積された学生カルテを活用することで、室蘭工業大学の学生に最適化された面接支援が実現したとのことです。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD300YK0Q5A930C2000000/

3.チャット応対を学習しサポート窓口対応

KDDIとKDDI総合研究所は、チャットサポート窓口で人間の応対履歴を学習し、高精度で再現するAIエージェントを開発しました。

従来のシナリオ型チャットボットでは難しかった複雑な問い合わせにも対応できるよう、複数の応対事例を構造化し、必要に応じて社内マニュアルから追加情報を取得、整合性を自動チェックする仕組みを採用しています。これにより誤情報の生成を抑えながら約90%の回答精度を実現。すでにauチャットサポートで一部運用が始まっており、応対時間を約70%短縮できる見込みとされています。

参考:https://ledge.ai/articles/kddi_human_chat_learning_ai_agent_release

4.企業間AIエージェント連携でサプライチェーンを最適化

ロート製薬はマザー工場においてデジタルツイン基盤を整備するとともに、富士通の「マルチAIエージェント連携技術」を導入することでサプライチェーン全体の最適化を行っています。

この技術では、各企業のAIエージェントが自律的に判断・交渉しながら、仕入れ・物流・販売までを連携して最適化。仮想環境での実証では、物流ルートやスケジュール改善により運搬コストを最大30%削減する効果も確認されています。

今後は実データを用いた検証を進め、生産計画の自動最適化や在庫補充の高度化、災害時のリカバリーなどにも応用し、効率化やCO2削減、人手不足の解消にもつなげていく予定とのことです。

参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/28680

5.営業ログをAIが解析し見込み顧客リストを自動生成

株式会社ライトアップでは、AIが膨大な営業データを解析し、最適な見込み顧客リストを自動生成する「インサイトセールス」を提供。5万件以上の販売データと約20万件の営業ログ、業種・業態別の成功事例データベースをもとに、契約可能性の高い企業をスコアリングして抽出できるため、営業活動の属人化を防ぎ、効率的なリード獲得が可能になります。

自社情報と商材の特徴を入力するだけでAIが理想的なペルソナを設計し、精度の高い企業リストを作成。導入企業では商談数が平均30%向上するなど成果も出ており、少人数の企業でも再現性の高い営業体制構築が期待されています。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000372.000042366.html

6.AIエージェントがベテランの知識とノウハウを回答

トヨタ自動車では、ベテランエンジニアの知識や過去の設計データをAIに蓄積し、誰でもいつでも専門的な回答を得られる社内向けAIエージェントシステム「O-Beya(大部屋)」を導入しています。これは“仮想の技術相談室”として機能し、パワートレーン開発部門の約800名が日常的に活用しています。

エンジン設計や最新の法規情報などについて質問を入力すると、AIが設計書や技術資料を横断的に検索し、最適な回答を即座に提示します。振動、燃費、規制など9つの専門エージェントが連携して応える仕組みのため、従来のように個別でベテランに確認する必要がなくなり、複雑な課題でも一度で包括的な回答を得られます。その結果、開発スピードの向上や知見共有の促進につながり、技術力の底上げを実現しています。

参考:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/063000494/082200003/

7.AIに依頼することで作業時間を大幅に短縮

パナソニック コネクト株式会社では、社内向けAIアシスタント「ConnectAI」を活用し、業務生産性の大幅な向上を実現しています。2024年にはAI活用によって年間44.8万時間の業務時間を削減。

これは社員のAI活用スキルが向上し、従来の「AIに聞く」という使い方から、資料作成・分析・レビューなどをAIに直接「依頼する」使い方へとシフトしたことが大きく影響しています。実際、1回あたりの作業削減時間は平均28分にのぼり、コード生成、ドキュメント作成、アンケート分析など幅広い業務で効率化が進んでいます。

参考:https://news.panasonic.com/jp/press/jn250707-2

8.マーケティングの工数を大幅に短縮

株式会社Hakuhodo DY ONEでは、マーケティング領域にAIエージェントを活用する取り組みを進めており、企画から制作、レビューまでのプロセス全体で大幅な効率化を実現しつつあるとのことです。

マーケターの思考プロセスを模倣する「マーケティングプランニングエージェント」では、要件整理から訴求設定、関係者調整までを支援し、スムーズに次工程へつなげます。また、素材生成から最適化、複数クリエイティブの自動生成まで行う「コンテンツ生成エージェント」により、記事制作コストは約40%削減しています。インタビュー記事では、従来1週間かかっていた初稿作成が、AI活用により約5分で完了するようになるなど、リードタイムも劇的に短縮されています。

マーケティングプロセス全体のさらなる効率化が期待されています。

参考:https://solutions.hakuhodody-one.co.jp/blog/ai-agent-2025-issues

9.データ分析で企画業務の分析・レポート作成を効率化

セブン銀行では、AI・データ活用による業務変革を進める中で、企画業務におけるデータ分析ニーズの高まりに対応するため、AIエージェントの導入を進めています。社内向け生成AI環境「7Bank-Brain」にAIエージェントテンプレートを組み合わせることで、特別なスキルがなくても自然言語でデータ分析ができる仕組みを整備しました。

PoCでは高い回答精度を確認し、その後は社内データベースと連携させて全社導入を実現。これにより、企画担当者は必要なデータをAIに指示するだけで分析結果やレポート案を即座に取得でき、施策立案や意思決定のスピードが大幅に向上しています。今後は資料作成やリスク管理など、さらに幅広い業務への適用が予定されています。

参考:https://it.impress.co.jp/articles/-/28585

バックオフィス業務の自動化に成功

ユーザックシステム株式会社では、フライスター株式会社と共同で、受注業務の完全自動化を目指した受注AIエージェントの実証実験を実施しました。AIエージェントとRPAを組み合わせることで、FAX注文書の情報取得から基幹システム連携データの出力までを自動化し、全体で93.6%以上という高い精度を達成。

これまで人手に頼らざるを得なかった非定型作業や判断業務をAIが担うことで、業務の属人化や誤入力による手戻り、物流コストの増加といった課題の解消に寄与する結果となりました。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000204.000012889.html

AIエージェントの活用で失敗した事例

ここまで、AIエージェントの成功事例を紹介してきましたが、AIエージェントの活用に失敗する企業などもあるので注意が必要です。

「AIを導入した企業の95%が投資回収できていない」という調査結果があります。これは、AIが自律的に学習して改善する仕組みがまだ十分でなく、企業が期待する“業務の核となる成果”につながらないケースが多いためとされています。

また、後払い決済大手のKlarnaでは、AIエージェントによる職務の全面自動化を進めた結果、一部領域で成果が出ず、数カ月後に従業員を再雇用する事態となりました。マッキンゼーの分析でも、同様に多くの企業で「AIエージェントが期待通り機能せず、人員を戻すケース」が確認されているとのことです。

このように、AIエージェントは導入すれば必ず成果が出るわけではなく、活用設計や運用体制を誤るとかえってコスト増や業務停滞を招くリスクがあることに注意が必要です。

参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/f7f88de533249efbd7ef4846c7c48e3382e3d894

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まとめ

AIエージェントは、企画・マーケティング・バックオフィスなど多様な業務で効率化と生産性向上をもたらす強力な手段です。導入の際は事例を参考にしつつ、自社の課題に合ったサービスを選定するとともに、より成果につながるように活用範囲を明確にし、段階的に運用するのがよいでしょう。

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