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AIロープレでできること・メリットとは?おすすめサービス9選も

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ロールプレイングAI

生成AIの進化により、接客や営業、新人研修などの「ロールプレイング(ロープレ)」にAIを活用する動きが広がっています。AIをロープレに取り入れることで、トレーニングの効率化や対応品質の均一化など、従来の課題を解決する新たなアプローチが可能になります。

本記事では、「ロープレを自動化したい」「ロープレにAIを取り入れたい」と考えている方に向けて、生成AIによるロープレの活用メリットや導入に適したシステム、実際の活用事例、注意点までを幅広くご紹介します。

生成AIのロープレ活用とは

生成AIのロープレ活用とはどのようなものかを解説しておきます。

AIによるロープレの概要

営業・接客・カスタマーサポートなど、対話が求められる業務において、ロープレは実践力を高める重要な手段です。生成AI、特にChatGPTのような対話型AIの登場により、実際の顧客を想定したリアルなやりとりをAIが再現できるようになりました。

近年では、生成AIの進化、特にChatGPTのような対話型AIの登場により、AIが人間の発言意図を理解し、自然な日本語で応答できるようになっています。このような生成AIをロープレに活用することで、実際の顧客を想定した質問ややり取りをAIがリアルに再現し、より実践的なトレーニングが可能になります。

AIとのロープレは、時間や場所を選ばずに実施でき、繰り返し練習が可能です。結果として、個々の対応力向上だけでなく、組織全体のスキルの底上げにもつながります。

ロープレでのAI活用シーン

生成AIは、さまざまな業界や職種におけるロールプレイング(ロープレ)に活用できます。ここでは、特にAIを活用したロープレが効果的なシーンをご紹介します。

ロープレは、顧客との対話が中心となる業務や、定型的な対応が求められる業務において特に有効です。事前に繰り返し練習することで、実際の現場でも落ち着いて受け答えができるようになり、対応品質や業務効率の向上につながります。

AIによるロープレが有効に機能する代表的な職種には、以下のようなものがあります。

  • 営業職
  • 小売店での販売職
  • コールセンタースタッフ
  • 店舗の接客スタッフ
  • 施設の受付スタッフ
  • 金融・保険業のカスタマー対応
  • 不動産業の営業担当
  • 企業の採用担当

このように、人とのコミュニケーションが欠かせない多くの現場で、生成AIによるロープレは実践的なトレーニング手段として活用できます。

ロープレAIの機能

ロープレAIにはさまざまな機能があります。

AIチャットボットとの会話練習

AIロープレの中心的な機能のひとつが、AIチャットボットとの会話練習です。

営業・接客・クレーム対応など、さまざまなシチュエーションを想定した対話を、AIがリアルタイムでロールプレイしてくれます。ユーザーは、実際の現場に近い練習環境の中で、返答の仕方や話し方をトレーニングできるため、対人スキルの向上や実践的な応答力の強化に効果的です。

また、会話の内容はログとして保存されるため、振り返りや課題の可視化が可能となり、継続的なスキル改善にも効果的です。

動画での録画機能

AIロープレには、会話や対応の様子を動画として録画できる機能が備わっています。

この機能により、自分の表情や声のトーン、話し方などを客観的に見返すことができ、言葉遣いだけでなく印象面のチェックも行えます。とくに営業や接客など、非言語コミュニケーションが重要な職種においては、話している自分の姿を視覚的に確認することで、実践的なブラッシュアップが可能になります。

また、録画データはAIによる分析や人によるレビューにも活用できるため、フィードバックの質も向上するでしょう。録画機能は自分自身を客観視し、スキルの可視化と改善を同時に実現するうえで有効な機能です。

会話・シナリオのカスタマイズ

AIロープレでは、会話内容やシナリオを自由にカスタマイズできます。業界や職種に合わせた会話の流れを設定したり、特定の顧客タイプや状況を想定してシナリオを作成したりすることが可能なのです。

それによって、営業シーンでの価格交渉、飲食店でのクレーム対応、カスタマーサポートでの問い合わせ対応など、現場で直面しやすいケースを想定したさまざまな練習を行えます。

さらに、会話の難易度や相手の性格設定を変更することで、初級者から上級者まで段階的なトレーニングも可能になります。これにより、ユーザーは自身の課題や目標に合わせた最適な学習環境を作り出すことができ、効率的かつ実践的なスキル強化が行えるでしょう。

AIによる分析・フィードバック

AIロープレには、ロールプレイ中の会話内容をもとに、客観的かつスピーディに分析・フィードバックを行う機能が搭載されています。

AIは、ユーザーの発話内容や会話の流れに加え、ポジティブ・ネガティブの傾向、表情、声のトーンなども解析し、話し方の癖・語彙の使い方・伝わりやすさ・敬語の正確さ・印象の良し悪し・マニュアルに沿った対応ができているかなどを多角的に評価を行います。これにより、自分では気づきにくい改善ポイントを可視化し、より効果的なスキルアップにつなげることができます。

さらに、過去のロールプレイ結果と比較することで成長の推移を把握することも可能です。苦手な項目を重点的に練習したり、一定のスコアを目標に設定したりすることで、継続的かつ戦略的なトレーニングが実現できます。

進捗管理

AIロープレには、トレーニングの進捗を可視化・管理する機能が搭載されており、学習状況の把握と改善に役立ちます。

この機能では、実施回数や達成度、項目別スコア、改善履歴などが時系列で記録されるため、どのスキルが向上しているのか、どの分野に課題が残っているのかがひと目で分かります。これにより、個々の成長スピードや習熟度に応じた効率的なトレーニング計画が立てやすくなります。

進捗を定期的に確認することで、自身の成長を実感しやすくなり、学習モチベーションの維持にもつながります。目標設定やフィードバックと組み合わせれば、何をどのように改善すればよいかが明確になり、やみくもな練習を防げるのも大きな利点です。

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生成AIをロープレに利用するメリット

生成AIをロールプレイングに活用することで、これまでのロープレでは難しかった課題を解決し、より効果的なトレーニングが可能になります。ここでは、生成AIを導入することで得られる主なメリットをご紹介します。

対応品質を均一に保てる

生成AIをロールプレイ研修に取り入れることで、接客や応対の品質を一定水準に保つことが可能になります。従来のロールプレイでは、指導者や練習相手のレベルや指導方針により、対応内容にばらつきが生じやすく、対応品質の均一化が課題とされてきました。

しかし、生成AIに正しい対応例やシナリオをあらかじめ設定することで、すべてのスタッフに対して同一条件のトレーニングを提供することができます。このような形式の研修により、評価やフィードバックの基準も統一され、指導のばらつきがなくなります。その結果、チーム全体で均質なスキルを身につけることが期待できます。

さらに、生成AIは自然な日本語での会話が可能なため、言葉遣いや敬語表現のチェックにも有効です。場所や時間にとらわれず繰り返し練習できる環境を整えることで、個々のスキルアップだけでなく、組織全体の対応力向上にもつながります。

多様なロールの実現

生成AIをロープレに取り入れることで、さまざまな役割やシチュエーションを柔軟に再現できるようになります。

人間同士のロープレでは、相手役のバリエーションがその人の経験や想像力に依存し、対応できる役割の幅が限られてしまいます。生成AIであれば大量のパターンを学習しているため、多様な性格や反応パターンを即座に生成でき、再現性も高くなります。

例えば、「常連客」「クレームを言う客」「外国人観光客」といった複数タイプを簡単に切り替えて練習できます。ほかにも、営業職の訓練では「価格交渉を強めに仕掛ける顧客」「導入に慎重な意思決定者」「即決しやすい顧客」など、実際の現場で遭遇するリアルなケースを何度でも再現して対応力を磨けます。また、相手の応答速度や難易度、感情の起伏も設定できます。

時間や場所を選ばずトレーニング可能

生成AIを活用することで、時間や場所に縛られず、いつでもどこでもロールプレイング研修や練習を行うことが可能になります。

従来のロープレ研修や練習は、参加者同士のスケジュール調整や会場の確保が必要で、実施までに手間と時間がかかっていました。しかし、生成AIを使えば、パソコンやスマートフォンさえあれば24時間365日、自宅や外出先でも即座にトレーニングを始めることができます。

周囲の環境に左右されずに実施できるため、トレーニングや練習の頻度を高めやすく、短期間でのスキル習得にもつながります。また、他人の協力を必要とせず、自分のペースで繰り返し練習やトレーニングができるため、効率的かつ継続的なスキル向上が期待できます。

振り返りの効果を高められる

生成AIをロープレに活用することで、トレーニング後の振り返りの質を大きく向上させることができます。

近年のAIシステムには、会話の内容を自動でテキスト化したり、口調や話し方、声のトーンなどを解析してスコアリングする機能が搭載されているものもあります。これにより、「適切な対応ができていたか」「話し方に改善の余地があるか」などを、客観的な視点から確認することが可能になります。

従来のロープレでは、フィードバックが感覚的で、人によって評価がばらつくことも少なくありませんでした。生成AIを使えば、統一された評価基準のもとでフィードバックを受けられるため、公平性と精度が高まります。

また、多くのAIシステムではロープレの録画機能も備わっており、良かった対応や改善すべき場面を繰り返し見返すことができます。これにより、学びを定着させやすくなり、スキル向上につながります。

多言語対応も可能

生成AIを活用すれば、さまざまな言語に対応したロールプレイングを簡単に実施できます。

外国人のお客様への対応が求められる企業では、各言語を話せるスタッフが必要になるケースがあります。しかし、複数の言語に対応できる人材を揃えるのは容易ではなく、特にトレーニング用に人手を確保するのは大きな負担です。

一方で、生成AIを使えば、AIに必要な学習データを与えることで、多言語でのロープレが可能になります。特定の人員を確保する必要がなく、1つのシステムで複数言語の対応ができるため、効率的かつ柔軟に多言語対応のトレーニングを行うことができます。多様な言語を使う現場においても、AIを導入することで高品質な接客や応対スキルの習得が期待できるでしょう。

ロープレにおすすめのAIシステム9選

ロープレにおすすめのAIシステムを紹介します。

1.接客オンデマンド ロープレAI

接客オンデマンドAI
「接客オンデマンドAI」は、人型のアバター(デジタルヒューマン)が利用者の音声を認識して、適切な回答を行う対話AIエージェントの開発運用を提供しています。

シナリオを設定することで接客や営業の流れをAIに学ばせることができ、AIアバターと対面で会話をしながらロープレを行うことができます。GPT連携なので膨大なデータを学習させることができ、あらゆる質問に対して適切な回答をすることができます。

目的に合わせた口調や、アップセルや誘導対話のような営業手法の学習も可能です。やりとりをテキストで表示することもできますし、アバターとのロープレ後に会話ログに対して〇×やコメントなどのフィードバックを追加することができ、ロープレの振り返りも効率的に行うことができます。

サポート体制が充実しており、学習素材の準備や初期環境の開発・検証、稼働後のレビュー、FAQ作成まですべて代行してくれるので、社内に担当者を用意せずとも導入や運用ができるようなシステムとなっています。自社でAIへの設定や学習をする手間がありません。

2.iRolePlay

iRolePlay
引用:iRolePlay(https://www.interactive-solutions.co.jp/service/iroleplay.html)

iRolePlayは、スマートフォン1台でオフラインでも利用可能なAIロールプレイングシステムです。外出先や電波の届かない場所でも使用できるため、場所や時間を選ばず、営業や接客などのトレーニングが行えます。開発元はインタラクティブソリューションズ株式会社です。

このシステムでは、動画・テキストなどの学習データをもとにAIが自動対話を生成し、シナリオなしでも即座にロールプレイが開始可能です。これにより、利用者は柔軟にさまざまなシチュエーションに対応する練習ができ、現場で求められる臨機応変なコミュニケーション力を養うことができます。

また、AIはやりとりの内容を分析し、発言の適切さや表現力、話の組み立てなどを評価。その評価を基に、より良い対応のポイントや改善点を具体的にフィードバックしてくれます。

3.AIロープレ

AIロープレ
引用:AIロープレ(https://videotouch.jp/ai-roleplay)

「AIロープレ」は、コンタクトセンター業務に特化したAIロールプレイングシステムです。コールセンター向けのAI・動画トレーニングプラットフォームを提供しているVideoTouch株式会社によって開発されました。

このシステムでは、AIが多様な顧客役をリアルタイムで演じてくれるため、オペレーターは待機時間なく、24時間いつでもトレーニングが可能です。AI顧客は、クレーム対応、問い合わせ処理、契約変更など、さまざまな応対シナリオに応じて会話を展開するため、オペレーターは実践に近いかたちで、幅広いパターンの対応力を身につけることができます。

さらに、AIはロールプレイ後に発言内容や対応のスムーズさ、顧客への配慮などを自動評価し、構成や表現の適切さについてのフィードバックを即時に提供します。これにより、従来の属人的な指導によるばらつきが解消され、対応品質を組織全体で標準化することが可能になります。

4.Sansan Labs

Sansan
引用:AIロールプレイング(https://videotouch.jp/ai-roleplay)

Sansan株式会社は、営業DXを支援するサービス「Sansan Labs」において、対話型AIを活用した新機能「AI営業ロールプレイング」を提供しています。

この機能では、AIが顧客役としてチャット形式で営業担当者と対話し、実際の商談を模したロールプレイを行うことができます。ロールプレイは初級・中級・上級の3段階に分かれており、営業担当者のスキルレベルに応じた実践的なトレーニングが可能です。

ユーザーが想定される顧客の業界や部署名などの基本情報を入力すると、AIは業界動向や有価証券報告書などの公開情報を基に顧客像(性格や業務上の関心事、課題など)を自動生成します。これにより、より現実に近い商談シナリオを再現でき、単なる反復練習ではなく、状況に応じたヒアリング力や提案力の向上につながります。

また、会話内容のフィードバック機能も備えており、ユーザーの応対内容に対するアドバイスや改善点の提示を受けることができます。これにより、自己学習型のスキル向上が可能となり、実務へのスムーズな応用が期待されます。

5.カルティロープレ

カルティ
引用:カルティロープレ(https://kartie-cloud.jp/roleplay/)

カルティロープレは、実践的な営業スキルを効率的に磨けるAIロープレツールです。「テクノロジーで個と組織を強くする」をビジョンに掲げている株式会社カルティブが提供しているサービスです。

カルティロープレは、多様な応答パターンと自然な会話設計により、人間同士の対話に近い臨場感を提供しています。AIとの会話を通じてリアルな営業シーンを再現でき、トークの改善点や表現の癖などを自動でフィードバックしてくれるため、実践力を高めるのに効果的です。

また、ロールプレイの様子は動画として録画保存され、トレーニング後にはAIによる評価だけでなく、マネージャーやトレーナーによるフィードバックも行える仕組みとなっています。これにより、客観的な振り返りと個別指導が可能となり、現場で即戦力となる人材育成をサポートします。

6.gaccoロープレ

Gacco
引用:株式会社ドコモgacco(https://gacco.co.jp/service/ai_roleplay/contact.html)

「gaccoロープレ」は、株式会社ドコモgaccoが提供する法人向けのAIロールプレイング研修サービスです。

このサービスでは、AIアバターとの対話を通じて、自由に設定したシナリオに基づいたロールプレイングが行えます。アバターは年齢、性別、職業、性格などをテキストで柔軟にカスタマイズできるため、実際の業務に近いシチュエーションを再現可能。

ロールプレイングの内容はAIが自動で評価し、100点満点でスコアを提示するとともに、フィードバックも自動生成されます。フィードバックの基準は企業ごとの方針や文化に応じてカスタマイズできるため、自社に最適な育成環境を構築することができます。また、受講者の進捗や練習履歴を一括で管理できる機能も備えており、企業全体での育成状況の可視化にも役立ちます。

7.mimik

mimik
引用:mimik(https://ai.peers.jp/mimik-ai)

「mimik」は、営業や接客における実践的なロールプレイを支援するAI対話プラットフォームです。実在する顧客データやシナリオに基づき、リアルな対話をAIが再現することで、実戦に近い訓練が可能です。

mimikは、ハイパフォーマーの対話データをもとにトークの構成・言い回し・間の取り方をAIが学習しスコアリングするので、成功している話し方を身につけることができます。また、ロープレの結果はAIが自動で評価し、トークの構成、話し方、質問の切り返し方などの観点から詳細なフィードバックを提供。トレーニング後の振り返りが効率的に行えます。

8.steach

steach
引用:steach(https://jaic-steach.jp/)

「steach」は面接練習に特化したAIアプリで、ユーザーの話し方や表情、声のトーンなどを自動的に解析し、客観的なフィードバックを提供します。

話すテーマ/質問セットを入力し、回答する人、回答を評価する人を設定することで、AIが自動で質問を作成。ユーザーがスマートフォンやパソコンを使って面接の練習を録画・録音すると、AIがその映像や音声をもとに話の構成や説得力、表情の豊かさ、姿勢、視線の動きなどを数値化して評価します。

こうしたフィードバックはグラフやスコアとして表示されるため、ユーザーは自分の強みや弱点をひと目で把握することができ、繰り返し練習を重ねる中で着実にスキルを向上させることができます。

9.AmiVoice RolePlay

AmiVoice RolePlay
引用:AmiVoice RolePlay(https://salesboost.advanced-media.co.jp/roleplay/)

AmiVoice RolePlayは、株式会社アドバンスト・メディアが提供するAI搭載の営業・接客トレーニングプラットフォームで、ユーザーはAIアバターやお客様役とのロープレの動画を録画・アップロードするだけで、AIが内容・話速・表情などを解析し自動採点・フィードバックを行います。

評価パターンやNGワードの加点/減点設定、話速や笑顔判定など柔軟なカスタマイズが可能で、自社の基準に応じたトレーニング設計に対応することができます。

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ロープレAIシステムのタイプ

このように、ロープレAIにはさまざまなサービスがありますが、いくつかのタイプに分けられます。自社の目的に合ったサービスを選ぶのがよいでしょう。

接客・カスタマーサポート型

接客・カスタマーサポート型は、主に店舗やコールセンターなどでの顧客対応を想定したロープレAIシステムです。顧客からの問い合わせやクレーム対応、商品の説明や案内といった、日常的に発生するシチュエーションをAIが顧客役となって再現します。

利用者は、実際の現場に近い状況で練習することができ、言葉遣いや応答のスピード、態度などを確認・改善できます。また、会話ログを振り返ることで、自分では気づきにくい課題を客観的に把握し、継続的にスキルを高めることが可能です。

特に接客業やカスタマーサポート業務では、顧客ごとに異なる要望や感情への柔軟な対応が求められるため、このタイプのAIシステムは現場力を磨くうえで大きな効果を発揮します。

営業・商談シミュレーション型

営業・商談シミュレーション型は、営業担当者が顧客との商談や交渉を想定して練習できるロープレAIシステムです。価格交渉や契約条件の提示、商品説明や導入提案といった営業現場特有のやり取りを、AIが顧客役となってリアルに再現します。

このタイプでは、顧客のタイプや状況を細かく設定できるので、予算に厳しい顧客や導入に慎重な意思決定者など、実際の営業現場でよくあるシチュエーションを再現することができます。

提案の説得力や論理展開、クロージングのタイミングなど、営業力を構成するスキルを総合的に鍛えることが可能です。ロープレの内容は記録され、改善点のフィードバックもAIから受けられるため、個人の営業スキル向上だけでなくチーム全体の営業力強化にも役立ちます。

採用面接・人材評価型

採用面接・人材評価型は、面接官と応募者のやり取りを想定して練習や評価を行うためのロープレAIシステムです。AIが面接官役や応募者役を担い、質問の出し方や回答の仕方をシミュレーションできるため、面接官側・応募者側の両方で活用できます。

面接官側にとっては、応募者に対する質問の切り出し方や深掘りの仕方、評価のポイントを確認・改善でき、より公正で一貫性のある面接スキルを身につけられます。一方、応募者側にとっては、自己PRや志望動機の伝え方、想定外の質問への対応力を繰り返し練習できるため、本番の面接に強くなれます。

さらに、会話の内容や態度を記録して評価基準に沿ってフィードバックすることで、主観に左右されない客観的な人材評価が可能になります。このように、採用面接・人材評価型は、面接の質を高めるだけでなく、公平性と効率性の向上にも貢献します。

教育・研修型

教育・研修型は、学習やスキル習得を目的として設計されたロープレAIシステムです。学校教育から企業研修まで幅広い場面で活用でき、知識のインプットだけでなく、実際のコミュニケーションを伴うアウトプットの練習を効果的に行えます。

例えば、語学学習ではAIがネイティブスピーカー役を担い、日常会話やビジネス会話のトレーニングを繰り返し行うことができます。企業研修では、新人社員が顧客対応を体験したり、コンプライアンスの研修を行ったりと、AIが教育や研修を支援し、現場で求められるスキルを学べる環境を提供します。

また、学習者の回答や行動をAIが分析し、フィードバックを提示することで、自分の強みや課題を客観的に把握できます。繰り返し練習と改善を積み重ねることで、知識の定着だけでなく、現場で即戦力となる実践的なスキルの習得につながります。

ロープレAIを活用するときの注意点

ロープレにAIシステムを導入する際には注意すべき点があります。

AIへの学習が必要

ロープレに生成AIを活用するには、事前にAIへの学習が欠かせません。実際の接客や営業の現場で発生しうる質問や会話の流れを、AIにあらかじめ学ばせておく必要があります。

そのためには、シナリオや実際の顧客対応履歴、よくある質問(FAQ)など、現場に即したデータを整理・作成し、AIにインプットする作業が必要です。学習させるデータの質と量が充実していれば、それだけAIの応答の精度も高まり、より実践的なロープレが可能になります。この準備には一定の時間と手間がかかるため、導入前にその点を理解しておくことが重要です。

自社で管理画面で質問やペルソナなどの設定をするシステムでは、データの準備の手間やAIへの学習のための時間と手間がかかるということを理解しておきましょう。ロープレAIシステムの提供会社によっては、こういったデータの作成を支援してくれる会社もあるので、システムを選ぶときにはそれらの支援があるかどうかも確認するのがよいでしょう。

社内でサポート体制を作る

ロープレAIシステムを導入する際には、社内スタッフへのレクチャーや不明点への対応を行うためのサポート体制を整えることが重要です。

従来、対面でロープレを行っていたスタッフにとって、AIを活用したシステムはなじみが薄く、操作に戸惑ったり、活用方法が分からなかったりするケースも少なくありません。こうした戸惑いが原因で、せっかく導入したシステムが十分に活用されなくなるリスクもあります。

ロープレAIの効果を最大限に引き出すためには、操作方法の説明や活用支援、質問対応などを担う社内のサポート担当者を設けるとよいでしょう。また、導入を検討する際には、運用サポートが充実しているベンダーを選ぶことも、安心して活用を進めるためのポイントです。

調整を行う

ロープレAIは、導入して終わりではなく、運用を開始した後も継続的な調整が必要です。

実際の運用を通じて、会話の流れが不自然だったり、AIの回答内容に改善の余地があったりする場面が出てくることがあります。そうした課題に対しては、フィードバックをもとにシナリオの修正や追加学習を行うことで、AIの応答精度を高めていくことが求められます。

また、ロープレの評価に関しても、どの項目を重視するか、どういった基準でスコアリングするかといった点を見直しながら、運用目的に合った評価設計をしていくことが大切です。このように、細かな調整を積み重ねることで、より実践的で効果的なロープレAIシステムへと育てていくことができます。

AIまかせにしない

ロープレAIを活用する際には、「AIにすべて任せてしまう」という姿勢は避けたほうがよいでしょう。AIはあくまで支援ツールであり、トレーニングの質を高めるためには人の関与が欠かせません。

AIは客観的なフィードバックや定量的な評価には優れていますが、会話の文脈や感情、相手の表情の裏にある意図など、繊細な人間の機微をすべて理解することは難しいです。たとえば、敬語の使い方や表情の印象といった点は評価できても、話し手の気遣いや場の空気を読む力といった暗黙的なスキルは、AIだけでは十分に判断できません。

そのため、AIの評価結果を鵜呑みにせず、人が内容を補足・確認しながら、必要に応じてアドバイスや再トレーニングを行うことが重要です。指導者や教育担当者が確認をし、適宜指導をすることで、より実践的で状況に即した学びが得られます。

AIの利点を活かしつつ、人の判断力や経験を組み合わせることで、効果的かつバランスの取れたロールプレイング教育が実現できるのです。

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AIをロープレに活用した事例

AIをロープレに導入した企業の事例を紹介します。

アフラック生命保険

アフラック生命保険は2022年春、保険代理店向けの「募集人教育AI」の機能として、AIによるAIロールプレイング研修を提供しました。AIロープレによって、保険会社や代理店の営業担当者は、AIアバターを相手にロールプレイングを繰り返すことで、営業話法の型を身に付けることができるようになります。

営業担当者のロールプレイング内容をもとに、挙げるべきキーワードを盛り込んでいるかどうかをAIが分析・評価。研修を受講し終えた営業担当者は、未完了の営業担当者よりも約1.3~1.5倍の成績となっているとのことです。

日本化薬株式会社

日本化薬株式会社はe-Learningを用いた一方向型の研修に課題を感じており、若手MRのロープレにAIを採用しました。

実際の営業と同じようなAIエクササイズを行い、その動画を提出することでアウトプット力向上とメンターの労力削減を実現。医師としっかり話し込みができるような力を身につけていきました。話すことへの苦手意識が軽減し、自身の課題に気づき、意識・行動が変化するという効果を得られたとのことです。

NTTビジネスソリューションズ株式会社

NTTビジネスソリューションズ株式会社では、中堅・中小企業向けのインサイドセールスを担当しており、人手を介するOJTの限界や育成の属人化といった課題を抱えていました。そこでAIによるロールプレイングの可能性に注目し、AIロープレの導入を進めています。

営業資料や商談シナリオをAIに学習させることで、AIが顧客役となりリアルな商談形式で対話を行える仕組みを構築。営業担当者はいつでも、想定顧客のペルソナや商談内容に応じた実践的なトレーニングを行うことができます。

また、AIがロープレを自動でスコアリングし、結果をダッシュボード上で可視化。個々の営業担当者の課題や成長度合いをデータで分析できるため、定量的で再現性の高い人材育成が実現しました。

同社ではAIロープレツールを「業務遂行に不足するスキルや経験を補完してくれるもの」として高く評価しています。今後は、商談解析による現状把握とAIロープレを組み合わせた育成モデルの定着化を図り、全センターへの本格展開を目指しているとのことです。

日本生命

日本生命では、営業職員の教育やスキル向上のためにAIを活用したロールプレイングを導入しています。

従来の集合研修やメンターとの対面ロープレでは、時間や場所の制約が大きく、評価の基準にもばらつきが出やすいという課題がありました。そこで、営業職員がスマートフォンを使って自撮り動画形式でロープレ演習を行い、その内容をAIが自動的に解析・評価する仕組みを取り入れました。

AIが発話内容に盛り込まれるべきキーワードや話す速度、表情などをチェックし、客観的なフィードバックを返します。これにより、職員は自分の課題を客観的に把握でき、繰り返し練習を重ねることで営業トークの質を高めていけるようになったとのことです。

また、日本生命では営業職員向けだけでなく、社内の事務作業や情報照会業務にも生成AIを導入。契約マニュアルや事務処理規程をもとに照会業務を効率化したり、文書作成やメールの校正を支援したりと、バックオフィス業務の生産性向上につながったそうです。

まとめ

ここまで、生成AIをロープレに活用するメリットや注意点、システムなどを解説してきました。ロープレにAIを利用することで、多くのメリットが得られます。現在ロープレに課題があるという人は、AIシステムを導入するのがおすすめです。

「接客オンデマンドAI」は、LLMを活用した高精度なRAG構築により、ロープレに必要となる難解な日本語の解釈や、自然対話を実現するAIシステムの開発が可能。GPT連携なのであらゆる質問に回答でき、接客や受付、営業など幅広い業務のロープレを行うことができます。多言語対応も可能です。

シナリオを設定することもでき、シチュエーションごとの正しい対応方法の習得に活かすことができます。やり取りをテキスト化し問題箇所を振り返ることができるので、効率よく成長を促すことができます。ぜひご相談ください。