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人事評価AIで何ができる?メリットや機能、注意点を紹介

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人事評価AI

人事評価にAIを活用できるのか、人事評価AIで何が変わるのか、導入したいけれどリスクや注意点が気になると思っている人もいるのではないでしょうか。

人事評価は社員の納得感やモチベーションに直結する重要な業務であり、導入の判断を誤ると不信感や評価制度の形骸化につながる可能性があります。そのため、人事評価AIの仕組みやメリット・デメリットを正しく理解しておくことが重要です。

この記事では、人事評価AIの現状から、機能や導入のメリット・デメリット、導入時の注意点までを解説していきます。

人事評価とAIの現状

人事評価にはどのような課題があり、現状AIがどのように利用されているのでしょうか。

人事評価の課題

多くの企業で人事評価制度は導入されているものの、その運用には課題が残っているのが現状です。

2023年人事評価の実態調査」によると、全体の83.9%が「人事評価制度がある」と回答していますが、人事評価に不満があると回答した人は75.2%にのぼります。なかでも360度評価を採用している回答者では、77.0%が不満を感じているとされており、評価の納得感を得られていないケースが多いことがわかります。

そして、評価によって「モチベーションが低下した」と回答した人は78.7%に達しています。その理由として最も多かったのが「成果と報酬が見合っていない」という回答でした。

人事評価における主観性や評価基準の曖昧さ、評価結果と処遇の不一致が、社員の不満やモチベーション低下につながっていることが読み取れます。

人事評価におけるAI

人事評価においてAIの活用はどのような状況にあるのでしょうか。現時点では、本格導入している企業はまだ多くないものの、人事・労務部門を中心に徐々に活用が広がっています。

「AIエージェント」をテーマにしたリサーチによると、業務におけるAI利用率は全体で16.8%にとどまる一方、「人事・労務」や「情報システム」部門では3人に1人以上がAIを利用しているという結果になりました。人事評価においては、履歴書や評価シートのレビューなどにおいてAIが利用されています。

実際、AIを人事評価に活用する具体的な事例も登場しています。JCOMではコールセンターで働くオペレーターの人事評価にAIを導入しています。これは、AIが通話記録をすべて要約・分析し、顧客の課題解決につながったかどうかを判定する仕組みです。約60万件に及ぶ全通話データを分析できるようになり、評価の網羅性と客観性が向上しているとのことです。

人事評価AIの機能

人事評価AIはどのようなことができるのでしょうか。人事評価AIの機能を解説します。

評価データの収集・分析の自動化

人事評価AIでは、評価データの収集・分析を自動化することができます。

人事評価を行うには、目標達成度、行動評価、業務成果、勤怠情報、アンケート結果など、多様かつ大量のデータを扱う必要があります。これらを人の手で集計・分析すると、工数がかかるだけでなく、集計ミスや主観的な判断が入りやすくなってしまいます。AIを利用すれば、データ収集と分析を自動化できるので、こういったリスクを減らすことができます。

また、AIは過去の評価データや傾向も踏まえて分析できるため、特定の上司による評価のばらつきや評価基準の属人化といった課題の軽減にもつながるでしょう。

評価結果のスコアリング・ランキング化

人事評価AIでは、評価結果のスコアリング・ランキング化の機能があります。これは、目標達成度や業務成果、行動評価、勤怠情報などの評価データをAIが数値として整理・集計し、社員一人ひとりの評価をスコアや順位として可視化する機能です。

スコアリングやランキング化においては、これまで評価者が評価項目ごとに点数を付けたり、複数の評価結果を手作業で集計したりする必要がありましたが、AIを活用することで評価基準に沿った集計・算出を自動で行えるようになります。

評価業務の負担を軽減できるだけでなく、人的ミスの防止や評価プロセスの効率化にもつながります。

フィードバック・レポートの自動生成

人事評価AIでは、評価結果をもとに社員向け・管理職向けのフィードバックやレポートを自動で生成することができます。

これは、人事評価AIが評価データをもとに、社員一人ひとりに対する評価内容や改善点、強みなどを文章として自動でまとめる機能です。数値化された評価結果や過去の評価履歴、目標達成度などを総合的に分析し、評価コメントやレポートを自動作成します。

この機能により、評価者がコメントをイチから作成する手間を省けるだけでなく、評価基準に沿った一貫性のあるフィードバックを提供できます。

人事評価面談

人事評価AIの中には、AIが面談を実施し、人事評価を支援・代行する機能を備えたものもあります。企業があらかじめ設定した評価基準や評価ロジックにもとづき、AIが社員に対して面談を行い、その回答内容をもとに評価を行います。

AIによる人事評価面談では、事前に設計された質問に沿って回答を収集し、その内容をテキストデータとして整理・分析します。回答内容が評価基準にどの程度合致しているかをAIが判定し、評価結果をレポートとして自動でまとめるため、評価プロセスを効率化できます。

既存の人事システムとの連携

人事評価AIは、既存の人事システムと連携することができます。以下のような社内で利用している各種人事関連システムとデータを自動でやり取りを行うことで、評価業務をよりスムーズに行えるようになります。

  • 勤怠管理システム
  • 人事評価システム
  • 給与・労務管理システム
  • タレントマネジメントシステム

このようなシステムとAPIやCSV連携を行い、必要なデータを自動取得・反映することができるのです。

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人事評価AIのメリット

人事評価AIを利用することで、さまざまなメリットが得られます。「2025年 人事評価の実態調査」によると、AIによる人事評価について期待する点としては、「公平で客観的な判断」が48.3%で最も多く、「上司の主観を減らす」が45.8%、「評価基準の透明性」が35.5%となっています。これらも参考にメリットを紹介します。

公平で客観的な判断ができる

人事評価AIを活用するメリットとしては、公平で客観的な判断を行いやすくなる点が挙げられます。従来の人事評価では、評価者の経験や価値観、印象といった主観が入り込みやすく、評価のばらつきや不公平感が課題とされてきました。

人事評価AIであれば、あらかじめ設定された評価基準やルールにもとづき、目標達成度や業務成果、行動データなどを同一条件で分析します。そのため、「誰が評価したか」に左右されにくく、社員一人ひとりを同じ物差しで評価することが可能になります。

評価が客観的かつ一貫して行われることで、社員は自身の強みや課題を正確に把握しやすくなり、どのスキルや行動を伸ばすべきかが明確になるでしょう。

評価基準を明確にできる

人事評価AIを導入することで、評価基準を明確にしやすくなります。AIを活用するためには、あらかじめ「どの項目を、どのような基準で評価するのか」を定義する必要があるため、評価ルールや指標が自然と整理されます。

評価項目や重み付け、スコア算出方法が明文化されることで、全社員に対して共通の基準で評価を行えるようになります。また、評価プロセスが可視化されることで、「なぜこの評価になったのか」を説明しやすくなり、評価結果に対する納得感の向上にもつながります。結果として、評価制度そのものの透明性と信頼性を高める効果が期待できるでしょう。

工数削減

人事評価AIを活用することで、人事評価にかかる工数を削減できる点も大きなメリットです。

従来の人事評価では、面談の実施、評価データの収集・集計、評価シートの作成、コメント記入、評価結果の取りまとめなど、多くの作業が発生していました。そのため、人事担当者や管理職にとって大きな負担となりやすく、本来注力すべきマネジメントや育成の時間が圧迫されがちでした。

人事評価AIであれば、評価面接や評価データの自動収集・分析、スコアリング、レポート作成までを一元的に行うことができます。これにより、評価業務にかかる時間や手間を削減でき、人的ミスの防止にもつながります。削減できた工数を、社員との対話や育成施策の検討、組織改善といった付加価値の高い業務に充てられる点も、人事評価AIを導入する大きな利点といえるでしょう。

評価データの蓄積・分析

人事評価AIでは、日々の評価結果や面談内容、目標達成度、業務成果などの評価データを継続的に蓄積し、分析することができます。

人事評価では、評価シートが点在していたり、過去データが十分に活用されていなかったりするケースも少なくありません。人事評価AIを活用すれば、社員一人ひとりの評価履歴を時系列で一元管理でき、成長の変化や傾向を可視化できます。

また、蓄積された評価データをAIが分析することで、個人だけでなく部署や職種ごとの傾向、評価の偏り、ハイパフォーマーの共通点などを把握することも可能です。評価制度の見直しや育成施策の改善、人材配置の最適化といった戦略的な人事判断につなげやすくなるでしょう。

人事評価AIのデメリット

人事評価AIにはデメリットもあります。

不安を与える可能性

人事評価AIを導入すると、社員に不安を与えてしまう可能性があります。

人事評価AIは評価プロセスを自動化・高度化できる一方で、「どのような基準で評価されているのか分かりにくい」「人ではなくAIに判断されることへの抵抗感がある」と感じる社員が出る場合があります。

評価は昇給や昇進、配置転換にも関わる重要な要素であるため、不透明さがあると心理的な不安につながりやすくなるので注意が必要です。

評価にバイアスが生じるリスク

人事評価AIのデメリットとして、評価にバイアスが生じるリスクが挙げられます。AIは人の代わりに判断を行える一方で、その判断はあくまで与えられた評価基準や学習データにもとづいて行われるため、設計次第では偏りを含んだ評価をしてしまう可能性があります。

過去の評価データや人事データには、特定の職種や属性、評価者の傾向などが反映されている場合があります。こうしたデータをそのまま分析・学習に用いると、過去の評価傾向を引き継いだ判断が行われやすくなる可能性があるので注意が必要です。

導入・運用コストがかかる

人事評価AIのデメリットとして、導入時および運用時に一定のコストがかかる点が挙げられます。

人事評価AIの導入にはシステム利用料だけでなく、設計や設定、社内データの整備などが必要になります。自社の評価制度に合わせて基準を設計したり、既存の人事システムと連携したりするには、外部ベンダーへの依頼や社内工数が発生します。

また、導入後もAIの精度を保つために、評価基準の見直しやデータ更新、運用ルールの調整などが継続的に求められます。

感情や背景を反映できない可能性

人事評価AIを導入する際には、社員一人ひとりの感情や背景を十分に反映できず、評価が画一的になってしまう可能性があります。

人事評価AIは、目標達成度や業務成果、行動データなど、あらかじめ設定された評価項目や数値データをもとに判断を行います。そのため、個々の社員が置かれている状況や心理的な変化、業務に取り組む姿勢といった定量化しにくい要素を評価に組み込むことが難しい可能性があります。

例えば、業務成果が一時的に下がっている社員がいた場合、その背景に業務負荷の偏りや体調不良、家庭の事情などがあったとしても、AIはそれらを正確に把握することができないのです。

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人事評価AI導入時の注意点

人事評価AIにはさまざまなリスクやデメリットがあるので、それらを防ぐためにも、導入する際には注意すべきポイントがあります。

目的を明確にする

人事評価AIを導入する際には、まず「何のためにAIを使うのか」という目的を明確にしましょう。

人事評価AIは、公平性の向上や工数削減、評価基準の統一など、さまざまな効果が期待できますが、目的が曖昧なまま導入すると十分な成果を得られない可能性や、成果を正しく評価できない可能性があります。

そのため、導入前には自社の人事評価における課題を洗い出し、「どの業務をAIで効率化するのか」「AIの判断結果をどのように活用するのか」を明確にすることが重要です。目的を明確にしたうえで人事評価AIを導入すれば、導入効果を測定しやすくなり、人事評価の改善につなげやすくなるでしょう。

AIと人の役割分担を行う

人事評価AIを有効に活用するためには、AIと人がそれぞれ担う役割を整理し、併用する運用体制を構築することが重要です。

人事評価AIは大量のデータ処理や傾向分析が得意ですが、すべての判断を代替できるわけではありません。評価には数値で測れる成果だけでなく、行動の背景や成長過程なども関わるため、AIと人の強みを分けて活用しなければ、評価の納得感や精度が低下してしまいます。

例えば、勤怠情報や業務実績といった客観的なデータの集計・分析はAIに任せるとともに、社員の個性やチームへの影響、今後の育成方針を踏まえた判断は人が担うことで、より実態に即した人事評価が可能になるでしょう。

評価結果の透明性を確保する

人事評価AIを導入する際には、評価結果の透明性を確保することが大事です。

評価プロセスや判断根拠が見えないままAIを活用すると、社員が評価内容に納得できず、不信感や不満を招くおそれがあります。人事評価は処遇やキャリアに直結するため、どのような基準・データにもとづいて評価されたのかを理解できる状態を整える必要があります。

評価項目や重視している指標、AIがどこまで関与しているのかを事前に共有し、評価後のフィードバックで補足説明を行えば、評価への納得感は大きく高まるはずです。

データの偏りやバイアスに注意する

人事評価AIを導入する際には、データの偏りやバイアスに十分注意する必要があります。

人事評価AIは、過去の評価データや人事データをもとに判断を行うため、学習データ自体に偏りが含まれていると、その影響を受けた評価結果を出してしまう可能性があります。意図せず不公平な評価を生み出さないためには、データの質や内容を慎重に確認することが欠かせません。

学習データを定期的に見直したり、複数の評価軸を取り入れたりすることで、偏りを抑えた運用が可能になるでしょう。

セキュリティ対策を徹底する

人事評価AIを導入する際には、セキュリティ対策を徹底することが不可欠です。

人事評価AIでは、評価結果だけでなく、個人情報や勤怠情報、人事データなど機密性の高い情報を扱うため、情報漏えいや不正アクセスが発生すると企業や社員に大きな影響を及ぼします。そのため、十分なセキュリティ体制を整えなければ、安全に運用することはできません。

例えば、アクセス権限の管理が不十分なまま運用すると、本来閲覧できない社員が評価情報に触れてしまうリスクがあります。通信やデータの暗号化、権限管理の厳格化、定期的なセキュリティチェックを行うことで、こうしたリスクを大きく低減することが重要です。

人事評価AIの導入事例

人事評価AIの導入事例を紹介します。

人事評価面接にAIを導入した事例

松屋フーズホールディングスでは、店長昇格試験における評価のばらつきを解消するため、AI面接サービスを導入。従来は面接官ごとに評価基準が異なり、昇格可否の根拠が分かりにくい点が課題でしたが、AI面接サービスを活用することで店長に求められる資質を定義し、同一基準での評価が可能になりました。

面接内容はデータとして可視化され、評価理由も明確化。これにより、評価の納得感向上と業務効率化を同時に実現し人材育成にも役立てられているそうです。

組織分析にAIを活用した事例

日立ソリューションズでは、人事ソリューションにAI分析を組み込み、組織状態の可視化に活用しています。勤怠データや社員属性データ、過去の人事データなどをAIに学習させることで、ストレスが高まっている部署や傾向を早期に把握できる仕組みを構築しました。

AIによって算出・可視化されたストレススコアをもとに、離職リスクの高い部門を特定し、配置転換やフォロー施策などの対策を講じやすくなっています。このようにAIを活用することで、経験や勘に頼らないデータドリブンな人事判断が可能となり、組織全体の健全性向上につながっているとのことです。

AI活用で評価と育成の質を高めた事例

DeNAでは、人事領域にAIを意思決定の代替ではなく「アシスタント」として活用することで、複数の成果を上げています。

目標設定AIの導入により、従業員とマネージャー間の目標すり合わせにかかる時間が短縮され、より本質的で成長につながる対話が可能になりました。また、360度フィードバックのAI要約によって、膨大なコメントの把握負担が軽減され、行動改善につながる気付きが得やすくなっています。

さらに、新卒配属や組織サーベイ分析では、人間では見落としがちな視点を提示することで、人事判断の質向上を支援しています。

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まとめ

人事評価AIは、公平性や客観性の向上、評価業務の効率化、データに基づく人材育成など多くのメリットがあります。

なかでも、面接や評価面談は評価者ごとの判断差や主観が入り込みやすく、評価結果への納得感が課題になりがちな領域です。AIを活用することで、評価基準の統一や発言内容の整理・可視化が進み、評価の根拠を明確にしやすくなります。その結果、評価の透明性が高まり、被評価者の理解や信頼の向上にもつながるでしょう。

ビーモーションの面接AIは、評価面接をAIが担うことで業務負荷を軽減し、人事担当者やマネージャーが本来注力すべき判断や対話の時間を創出します。AIに学習させた評価基準や人事データをもとに、発言内容を整理・分析することで、面接官による評価のばらつきを抑えた客観的な評価が可能です。

また、評価をレポートとして自動で可視化できるため、評価理由や判断根拠を関係者間で共有しやすくなります。これにより、評価後のフィードバックやすり合わせにかかる工数を削減でき、評価プロセス全体の効率化にもつながります。ぜひお問い合わせください。