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「オンライン接客」は、新しい『マーケティング』手法。オフライン顧客の可視化への可能性

ブラザー販売株式会社様:
営業本部コンシューマ営業部 部長 水野氏
企画グループ 曽根氏

中小規模オフィス向け、店舗向け、SOHO向けに「高性能・多機能」でありながら、コストパフォーマンスの高い「プリンター」を作り続ける『ブラザー販売株式会社』。販売の7割を占める「家電量販店」に【接客オンデマンド】を導入し、リソース的に手の届かなかった「地方・郊外」店にも商品説明ができる販売員を配置することが可能に。
すると、今まで「ブラックボックス」であった、家電量販店の顧客の動きが「可視化」できる可能性に気付きました。

その取り組みについて、営業本部コンシューマ営業部 部長の水野氏、企画グループの曽根氏に、ビーモーション秋山がお話を伺いました。

01:コロナ禍の影響は「二分化された」

– 新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、販売に何か影響はありましたか?

水野氏:2020年は「テレワーク・リモートワーク」などの影響で、家庭や小規模事業所向けのプリンターの販売は好調でした。もともとbrotherというブランドは、家庭・ホーム向けよりは、事業をされている方向けに、高機能を売りにしていたので、自宅で仕事をする方たちに多く購入していただきました。
2021年はそういった流れもひと回りし、需要は落ち着いてきていますが、今度は「サプライチェーン」の問題で、「商品がない」という事態が起こっています。

– 現在の販売「チャネル」として、家電量販店(オフライン)とECサイト(オンライン)の比率はどれくらいなのでしょうか? 

水野氏:現在の割合は、家電量販店:7割、ECサイト:3割り、オフラインでの販売が多くなっています。brotherのプリンターは「高性能・多機能」なため「説明商品」と呼ばれています。販売員が丁寧に機能を説明し、ご納得して買っていただく商品で、お客様も、事前の下調べなどをしっかりされている印象があります。特に「ビジネス向け」は、店舗での接客を受けたい、というお客様が多く、そのため家電量販店での販売が多くなっています。

曽根氏:全国の家電量販店「全て」に「販売員」を配置することは、リソース的に限界があったので、ビーモーションさんの「接客オンデマンド」は、私たちの手の届かなかったお客様にアプローチできる、良い機会だと感じました。特に、「地方・郊外」の量販店には、そもそもの販売員も少なく、なかなか、私たちの商品を丁寧に説明できる機会が少なかったのです。

– このコロナ禍になり「OMO(Online Merges with Offline)=オンラインとオフラインが融合した世界」「O2O(Online to Offline)=インターネット(オンライン)から実際の店舗(オフライン)へ顧客を誘導する、販売促進施策全般」といった言葉をよく耳にするようになりましたが、オンライン・オフラインの使い分けはどのようにされているのでしょうか?

水野氏:販売員を配置することで、お客様の「リアル」な声を聞くことができます。その声が製品に反映され、ブラッシュアップされていくので、オフラインがメインであることは変わりません

曽根氏:ただ、先ほどもお話しした通り、全ての量販店に販売員を配置できないので、brotherとしては、O2Oというより、OMOとして、オンライン・オフラインの融合を考えています。

水野氏:しかし、実際の量販店では「モック」といって、実際の機種ではなく、インクが入っていなかったり、そもそも電源も入らない「箱」だけのものが多かったのも事実です。そういった中「接客オンデマンド」は、オンラインの向こう側に販売員が待機していて、お客様に、実際に「動いている様子」をお見せできるので、そういった部分での「オンライン」のメリットは特に感じています。

02:「リアル」を超えるサービスの展開

– 「接客オンデマンド」を導入された背景を教えていただけますか?

曽根氏:私たちの商品を丁寧に説明したい、という想いと、このコロナ禍で「非接触」が求められる中で、どう「販売員」と「お客様」を結びつけるのかを検討していたところ、以前から、販売員の「教育」「派遣」といった分野でお付き合いのあった「ビーモーション株式会社」さんの「接客オンデマンド」を導入してみることにしました。

水野氏:最初は、店舗に「タブレット」を設置してみたのですが、そのことにより量販店さんに手間を取らせることになりました。機器のメンテナンス、動かない時や充電が切れたなどの「トラブル」の対処などです。そういったときに「接客オンデマンド」に「QRコード」をお客様の端末で読み込み、オンラインで説明を受ける機能が実装されたので、全国600店舗に導入を決めました。

– QRコードで読み込む「オンライン接客」の方法は、量販店さんにはどう受け入れられたのですか?

曽根氏:フィードバックは「比較的良好」なものでした。良い面として、プリンターはもともと「接客機会が少ない」商品であったので、お客様の質問などに答えられないことが多かったのです。そういった中、オンライン上に「専門」の販売員がいることは、とても頼りになったそうです。しかし、お客様も販売員も、まだ「オンライン接客」というものに慣れていなかったので、戸惑いがあった、という報告も聞いています。ですので、今後は「認知」という部分にも力をいれて「積極活用」していただく施策を考えています。

秋山:「接客オンデマンド」は、スマートフォンなどの画面を通した「平面」から「AR(Augmented Reality )=拡張現実」へとシステムを拡げています。今後は、AR上で「バーチャルショップ」が開設され、アバターが接客する、といった「リアルを超える」サービスを展開していきます。そういった認知が広まっていくと、もっと「積極活用」されていくと確信しています。

03:『機会損失の可視化』という「オンライン接客」の意外な可能

– 「接客オンデマンド」による「オンライン接客」は、説明をできるという明確なメリットがありますが、それ以外に何かお気づきのことはありましたか?

曽根氏:私たち「メーカー」にとって、販売店の売り場というのは「不可侵」の領域でした。量販店の販売データなどは、簡単なものでしか受け取ることができませんでした。私たちの知りたい「情報」として、購入いただいたお客様、「接客オンデマンド」を利用してくださったお客様の情報はもちろんのこと、「購入しなかった」「接客オンデマンド」を利用しなかったお客様のことを知りたいと思っています。なぜ「機会損失」が起こったのかを分析することで、より使いやすいサービスへとブラッシュアップできると思っています

秋山:現在、新たな機能として「接客オンデマンド」のQRコードの前にセンサーを設置して、利用した人、利用しなかった人の「滞在時間」などを計測できる機能が追加されます。それを分析することにより「機会損失」が可視化できるようになります。

– オンライン接客が、新たな「オフラインマーケティング」に、かなり役立つと感じられているのですね? -

曽根氏:今まで「不可侵」だった領域のデータを収集できる、ということは「地域」「売り場面積」「人口」などに合わせて、設置台数、機種の種類などを細かく決めることが出来、その場所において、最適化された商品展開ができると思っています。そういった意味では「オフライン」の、【新たなマーケティング手法】の可能性を感じています。

水野氏:データの蓄積は、私たちに「新しい」情報をもたらしてくれ、それが新商品の開発やお客様との「接点」の改善などに大いに役立つと思っています。ビーモーションさんとは、「二人三脚」で取り組み、常にフィードバック、改善を繰り返していますので、これからも「接客オンデマンド」を積極的に活用することで、「リアルを超えた」サービスを展開してきたいと考えてます。

04:<まとめ>

「オンライン接客」という新たな体験は、単に「利便性」の向上にとどまらず、時間や場所を超えて「メーカー」と「お客様」の新しい『接点』になっています。この「双方向性」が進むことにより、「顧客体験の向上」が図れ、オンライン・オフラインの垣根を超えた新しい「購入体験」を提供できるようになります。
めまぐるしいスピードで変化する「DX」という領域において「接客オンデマンド」の持つ可能性を、brother様と共に作り上げていきたいと思います。

本日は、お忙しい中、インタビューのお時間をいただき、誠にありがとうございました!