「営業活動を効率化したい」「営業の人手不足を解消したい」「営業BPOって実際どんなことをしてくれるの?」などのように考えている人もいるのではないかと思います。
営業活動は成果に直結する一方で、アポイント獲得やリード管理など多くの時間と労力を必要とします。そのため、専門知識と経験を持つ外部パートナーに営業業務を委託する営業BPOは、効果的な手段といえるでしょう。
この記事では、営業BPOの意味や市場の状況、営業BPOに依頼できる業務、導入のメリット・デメリット、そして営業BPOで成果を出すためのポイントについて詳しく解説します。
まず、営業BPOとはどのようなものなのか、その意味や現況を説明します。
営業BPOとは「Business Process Outsourcing」の一種で、企業の営業活動に関する業務を外部の専門業者に委託することを指します。リード獲得やアポイント取得、商談設定、テレアポなど、営業プロセスの一部または全体を外注することができます。
自社で営業組織を構築するには、人材採用・教育・管理など多くのコストと時間がかかります。そのため、専門知識やノウハウを持つ外部業者に任せることで、効率的に成果を上げられる可能性があるのです。
特に、スタートアップや人手不足に悩む企業、営業力を強化したい企業には営業BPOは重要な選択肢となるでしょう。
営業BPO市場は、近年ますます拡大傾向にあります。矢野経済研究所の国内のBPO市場調査によると、2023年度のBPOサービス全体(IT系・非IT系を含む)市場規模は前年度比3.9%増の4兆8,849億2,000万円に達し、うち営業BPOを含む非IT系BPO市場は1兆9,379億2,000万円とされています。
また、「フィールドサービスBPO市場の現状と展望 2024年度版」によると、フィールドサービスBPO(3分野11業務)の市場規模は2027年度に2,080億円に達すると予測されており、そのうち営業支援関連が約50%を占めると分析されています。これは、企業が自社営業力を補完・強化する目的でBPOを活用する動きが加速していることを示しています。
さらに、アウトソーシングの導入状況に関するインターネット調査によれば、営業代行や採用代行などのアウトソーシングを利用している企業のうち、3年未満の利用歴の企業が約30%を占めています。これは、営業BPOの導入が比較的新しい企業にも広がりつつあることを示唆しており、市場の拡大余地がまだ大きいことが分かります。
営業BPOに依頼できる業務にはさまざまなものがあります。
営業BPOではリードの獲得やリスト作成を行ってもらえます。営業活動の成果を左右する顧客候補の質を高めるために、BPO事業者は専門的なデータ分析やツールを活用して、ターゲットに適した企業・個人の情報を抽出します。
そして、業種・規模・所在地・購買履歴・Web行動データなどをもとに、受注につながりやすいリードを選定します。企業データベースやSNS、オウンドメディアなど複数の情報源を組み合わせて精度の高い営業リストを構築します。
単なるリスト作成だけでなく、ターゲットの優先順位付けやスコアリングも行うことで、営業チームが効率的にアプローチできる環境を整えるなども行ってくれます。
営業BPOでは、テレアポやメール営業といったアプローチ業務も代行してもらえます。営業リストをもとに、見込み顧客へ電話やメールでコンタクトを取り、商談機会の創出を目指します。
テレアポ業務ではオペレーターがスクリプトに沿ってヒアリングを行い、顧客の課題やニーズを把握したうえで商談につなげます。商品やサービスの特徴を的確に伝えるトーク技術を活かし、単なるアポイント取得だけでなく質の高いリードの育成にもつなげてもらえるでしょう。
メール営業でも、顧客の業種や課題に合わせたパーソナライズドされた内容を作成し、反応率の高いメール配信を実施。開封率やクリック率の分析を行い、改善を重ねながら最適なメッセージ設計を行うケースもあります。
営業BPOでは、単にアポイントを取るだけでなく、顧客の興味度合いや検討状況を見極め、商談化の精度を高めるなども行ってもらえます。
商談設定を行う際には、顧客の課題や関心に合わせた最適な提案内容を想定し、営業担当者がスムーズに商談へ移行できるようサポートします。たとえば、商談目的や顧客情報、過去の接触履歴などを整理して共有することで、担当者が事前に効果的な準備を行えるようにします。
また、BPO事業者によっては、オンライン商談ツールやCRMと連携してスケジュール管理や進捗確認を自動化し、営業活動全体の効率化を図るケースもあります。これにより、営業担当者はアポイントの調整や事務作業に時間を取られず、提案やクロージングなどのコア業務に集中することができます。
営業BPOでは、営業活動に欠かせない資料作成や提案書の作成サポートも依頼することができます。提案内容をより魅力的に伝えるための資料構成やデザインの工夫、顧客の課題に合わせたカスタマイズなどを行い、営業担当者の負担を軽減します。
具体的には、会社紹介資料、製品カタログ、プレゼン資料、見積書、提案書などの作成を支援してもらえます。営業現場で得られた情報をもとに、顧客の業種やニーズに最適化した内容へブラッシュアップすることで、より高い成約率を目指すことが可能です。
また、営業BPO事業者がデータ分析や生成AIを活用し、顧客の関心度や過去の商談履歴を踏まえて、訴求ポイントを自動で抽出・提案する仕組みを導入しているケースもあります。これにより、営業担当者は短時間で質の高い提案資料を準備でき、商談に集中できる環境が整います。
営業BPOでは、商談後のフォロー業務も依頼できます。営業活動での初回アプローチ後は、顧客との関係を継続的に育みながら、関心や検討意欲を高め、受注へと導くことが重要です。
商談後の追加情報の提供や課題の整理、導入効果の再提示、競合比較への対応、導入スケジュールの調整など、検討段階にある顧客を後押しするフォローを行います。顧客の疑問や不安を丁寧に解消し意思決定を支援することで、受注確度を高めることが可能です。
BPO事業者によっては、CRMや営業支援ツールを活用し、顧客の検討状況や反応を可視化しながら最適なタイミングでフォローを実施する仕組みを整えています。これにより、営業担当者が全ての見込み顧客を個別に追う負担を軽減し、優先度の高い顧客への対応に集中できる環境を整えることができます。
営業BPOでは、受注後のフォローや顧客育成といったカスタマーサクセス業務も依頼できます。契約・納品後の顧客に対して継続的に価値提供を行い、満足度や利用率を高めることで長期的な取引やアップセル・クロスセルにつなげていくことは重要です。
営業BPOでは導入後の利用状況の確認や活用支援、課題のヒアリング、定期的なフォローメールやオンライン面談の実施などを通じて、顧客がサービスや製品を最大限に活用できるよう支援します。
また、顧客の声を収集・分析し、改善提案や新たな提案機会の創出を行うことで、営業部門や開発部門へのフィードバックサイクルを構築することも可能です。
営業BPOを利用するメリットにはさまざまなものがあります。上の「アウトソーシングの導入状況に関するインターネット調査」では、アウトソーシング利用者に効果が出た項目として、「人材不足を解消できた」「コストを削減できた」「業務を効率化できた」「コア業務に集中できるようになった」「品質が安定・向上した」という回答が多くなりました。
営業BPOを活用することで、人材不足を効果的に解消することができます。
近年、多くの企業では営業職の採用難が続いており、経験豊富な営業人材の確保が課題となっています。営業BPOを利用すれば、営業活動の一部または全体を外部の専門チームに委託できます。これにより、人手不足の状況でも安定した営業活動を継続することが可能になります。
また、営業BPO事業者の多くは、AIやCRMツールを活用して営業効率を最大化しており、人手だけに頼らない体制を構築しています。こうした仕組みによって、人材不足の影響を最小限に抑えながら継続的に成果を上げることができるでしょう。
営業BPOを導入することで、営業にかかるコストを大幅に削減することができます。
営業活動には、採用費・人件費・教育費・営業ツールの費用など、さまざまなコストが発生します。特に自社で営業組織を構築・維持する場合、固定費が高くなりやすく成果に対して費用対効果が合わないケースも少なくありません。営業BPOを活用すれば、必要な業務を必要な期間だけ外部に委託できるため、固定費を変動費化し、コスト構造を柔軟に調整することが可能です。
また、ツール利用料やインフラ整備費もBPO事業者側が負担するケースが多く、初期投資を最小限に抑えられるのも大きなメリットでしょう。このように、営業BPOを活用することで、コストを削減しながら効率的に成果を上げる体制を構築することができるのです。
営業BPOを活用することで、営業業務の効率化を進めることができます。自社で営業活動を行う場合、アプローチ先リストの作成や架電・メール送信、商談設定、データ入力、進捗管理など、多くの工程に時間と手間がかかります。これらをすべて社内で対応すると、担当者の負担が増大し、結果として全体のスピードが低下してしまうこともあります。
営業BPOではこうした煩雑な業務を外部の専門チームが一括して対応してくれます。BPO事業者は、営業支援専用のツールやCRMシステムを駆使して業務フローを自動化・標準化しており、効率的かつミスの少ない運用が可能です。
また、複数のクライアント案件で培ったノウハウをもとに、最適な営業プロセスを設計してくれるため、社内でイチから仕組みを構築するよりもスムーズに成果を上げられるでしょう。
営業BPOを活用することで、社内リソースをより戦略的に配分し、最適化することができます。
営業活動には、リード獲得・アプローチ・商談・契約・アフターフォローなど、さまざまなプロセスがありますが、すべてを自社の人員でまかなうとリソースの分散が起こりやすくなります。特に限られた人員で営業・マーケティング・企画などを兼任している企業では、重要な業務に十分な時間を割けないケースも少なくありません。
営業BPOを導入すれば、たとえば新規開拓やリードナーチャリングなどの特定の工程を外部に任せることで、社内の人材を自社の強みを活かせる領域やコア業務に集中させるといったことが可能です。これにより、人的リソースを効率的に活用しながら全体の生産性を高めることができるでしょう。
営業BPOを導入することで、営業活動の品質を向上させることができます。
営業BPO事業者には営業経験の豊富な専門スタッフが多数在籍しており、成果を出すためのノウハウやスキルを体系的に持っています。自社で新たに営業チームを立ち上げる場合と比べ、経験値の高い人材による高品質な営業活動を短期間で実現できるでしょう。
また、BPO事業者は多数の企業を支援する中で、業界や商材に応じた最適なアプローチ方法やトークスクリプトを蓄積しています。そのため、ターゲットに合わせた提案やスムーズなコミュニケーションが可能となり、成約率や顧客満足度の向上につながります。
上の「アウトソーシングの導入状況に関するインターネット調査」では、BPOのデメリットも調査をしています。これによると、「コストが高い」「担当者が指示待ちが多い」「柔軟性がない」ということが上位になりました。
営業BPOを導入する際には、コストが高くなる可能性がある点に注意が必要です。
営業BPOは営業活動を専門的に代行するサービスであり、熟練した人材や高度な営業ツール、分析システムなどを活用して運用されます。そのため、単純に社内の営業担当を増やすよりも、初期費用や月額料金が高くなる場合があります。
また、成果が出るまでに一定の期間が必要となることが多いので、短期的には費用対効果が見えにくいこともあります。そのため、長期的な視点で費用対効果を見極めることで、結果的にコストを抑えつつ、安定した営業成果を得ることができるでしょう。
営業BPOを導入する際には、委託先の担当者が受け身な姿勢になりやすい点に注意が必要です。
営業BPOの担当者は複数の企業を並行して対応していることが多く、クライアント企業の商材や文化を深く理解するよりも、与えられた指示やマニュアルに従って動く場合があります。そのような場合、主体的に提案したり課題解決のための改善を行ったりする姿勢が弱まる可能性があります。
結果的に、営業活動全体がマニュアル的になり、クライアント企業が本来期待していた柔軟な対応や提案力が発揮されにくくなるリスクがあるのです。このようなBPO担当者の受け身な姿勢は仕組み次第で改善できるため、委託する企業は任せきりにしない運用体制を整えるのがよいでしょう。
営業BPOを利用する際に注意したいデメリットのひとつが、柔軟性の欠如です。営業BPOの担当者は基本的に契約内容やマニュアルに基づいて業務を遂行するため、突発的な方針変更や新たな施策への対応が遅れることがあります。
特に、クライアント企業の商材が多様化していたり、顧客ニーズが頻繁に変化したりする場合にはBPO側が柔軟に対応しきれないケースが見られます。その結果、商機を逃してしまったり、競合他社に後れを取ったりするリスクがあるのです。
営業BPOで成果を出すには、抑えておくべきポイントがあります。
営業BPOで成果を出すためには、まず自社の営業課題と目的を明確化することが重要です。営業BPOでは委託前に「何を目的としてBPOを活用するのか」「どの業務がボトルネックなのか」を明確にしなければ、成果を最大化することはできません。課題と目的を明確にすることで、最適な業務範囲の切り分けや委託先選定、成果指標の設定が行いやすくなり、BPOの効果を正しく発揮できるようになるでしょう。
また、営業課題と目的を明確にすることで、社内の関係者間で共通認識を持てるようになるという利点もあります。目的が曖昧なまま外部委託を進めると、社内での意思統一が取れずBPO業者とのコミュニケーションにもズレが生じてしまいます。結果として、求める成果が得られない、改善施策が打ちにくいといった問題が起きやすくなります。
営業BPOを成功させるためには、まず自社の営業課題と目的を正確に把握し、チーム全体でその目的を共有することが重要です。
営業BPOを成功させるためには、信頼できる会社に業務を委託することが欠かせません。営業活動では、商談成立や顧客関係構築に必要なノウハウやスキル、さらにターゲットに合わせた質の高い顧客リストの活用が求められます。そのため、成果が期待できるような信頼できるBPO会社に委託することが重要です。
ノウハウやリストが不十分な会社に任せると、アプローチの精度が低くなり、成約率や商談成立数が伸び悩む可能性があります。一方で、実績のあるBPO会社に依頼すれば、業界特性やターゲット企業の動向に合わせた戦略的な営業が可能でしょう。
このように、実績があり信頼できるBPO会社に依頼することが成果を安定的に上げるための重要なポイントとなります。
営業BPOで成果を出すためには、進捗共有とフィードバックを定期的に行うことが重要です。
営業BPOでは、社内と外部委託先の間で情報のズレが生じやすく、目的や目標の共有が不十分だと成果につながりにくくなります。そのため、進捗状況をこまめに共有し、成果や課題についてフィードバックを行うことで、方向性のすり合わせと改善がスムーズに進みます。
また、定期的なミーティングや報告書を通じて、数値的な成果だけでなく商談の質や顧客反応といった定性的な情報も共有することも重要です。これにより、委託先が自社の営業方針や顧客ニーズをより深く理解でき、次のアクションに活かすことができます。
営業BPOを活用する際には、自社内に営業ノウハウや知見を蓄積することも大事です。
営業BPOを導入することで、営業活動を効率化し成果を上げることができますが、外部に業務を完全に依存してしまうと、自社にノウハウが残らず自立した営業力を育てることが難しくなります。自社に知見を蓄積しておくことで、外部委託後も社内で戦略立案や改善を進められるようになり継続的な成長につながります。
たとえば、委託先が実施した効果的なアプローチ手法や顧客対応のノウハウをマニュアル化したり、定期的に社内勉強会を開催してチーム全体で学ぶ仕組みを整えると良いでしょう。
営業BPOは、人材不足の解消・コスト削減・業務効率化・品質向上を実現できる手段です。自社リソースをコア業務に集中させながら、専門知識とノウハウを持つ外部パートナーの力を活用することで、より高い営業成果を目指すことができるでしょう。そして、営業BPOで成果を最大化するにはパートナーの選定が重要です。
ビーモーション株式会社では、これまでメーカーをはじめとする多くの企業の営業活動を支援してきた経験を活かし、現場力とデジタルを融合した営業BPOサービスを提供しています。SFAやGPS管理システム、勤怠システムなどが充実しているので、現場の動きをリアルタイムに把握しながら、報告やフィードバック、ヒアリングを丁寧に行うことで、クライアントの営業活動を継続的に最適化します。
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